第十八話 帝国のルールと、市長の狙いと。
それから、数時間が経った頃だろうか。
三人は帰ってきた。
この街に着いたのは昼くらいだったのに、もう日が落ちかけている。
「おーっす。何か分かったー?」
あくびをしながら、エルデネが言った。
これまで寝ていたことを隠そうともしない。
「お前……寝てただろ。まあいいや。色々分かったぜ」
少し呆れた顔をしながら、ラウルが言った。
「──まずこの街、パルファムの市長はダゴスという男だ。
年齢は五十過ぎ。どうやら、別の街から最近こっちに来たらしい」
「なんで?引越し?」
説明を始めたラウルに、キセキが聞いた。
「いや──いわゆる左遷だ。元いたガリアという街の方が、ランクが高いらしい」
「ランク?街にランクがあるのか?」
俺は聞いた。
「どうやら、この大陸では街にランクが付けられているみたいだ。このパルファムはEランク。
──アーカーシャ領内では、最低ランクみたいだ」
「……私たちのような遊牧民は、ランク外だって。失礼しちゃう」
アイネが口を膨らませながら言った。
──ロッド大陸でも、冒険者のランクや、式術の式位などはあった。
だが、街や国にランクなんて存在しない。
……というか、その発想がない。
「そのランクはどうやって決まるの?」
「帝国への貢献度らしい。財政、技術、人材。総合的に判断されるんだと」
「もしかして、それ──ユルガン族の土地を狙っているのと関係ある?」
キセキが言った。
ラウルは少し驚いた表情をして笑った。
「お前、ガキのくせに頭いいな。その通りだ。
ダゴスは、近隣の土地を接収し、領土拡大を狙っている。
それを帝国への貢献とし、街のランクを上げるつもりだ」
「よくそんな情報、こんな短時間で集めたな」
俺は、感心した。
「私が声をかけたら、皆色々教えてくれたわよ」
メイが胸を張った。
「……剣を握りながら睨みつけながら、な」
ラウルが補足する。
なるほど。──脅しか。
「……あまり良いやり方ではないとは思ったけど……」
メイが目を伏せる。
良心の呵責というやつか。
しかし、メイは自分のやり方を貫く女だ。
逆らえるわけもないだろう。
「じゃあ、そのダゴスってやつをぶっ潰せばオッケーってことね」
エルデネが指を鳴らす。
──こいつもこいつで物騒だ。
俺たちがそこで話をしていると、門のあたりが騒がしくなった。
すると、そこから武装した兵たちが数十人、こちらに向かってくる。
「あ、やべえ。──つけられてたか」
ラウルが額を叩く。
なんでも完璧にこなすラウルでも、失敗はある。
だが──多勢に無勢。しかも敵地。
……どうする、俺たち。




