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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第二章 冒険のはじまり

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第十六話 修行の後と、命名と。

草原の夜は暗い。

アイネの言う通り魔獣の気配は感じなかったが、

焚き火の明かりがなければ何も見えない暗闇だっただろう。


「アラタ、ごめん!本当に……大丈夫?」

アイネは、心配そうに言った。


正直、大丈夫ではない。

あちこちに石がぶつかって、あざになっている。

が。


「うん。大丈夫。アイネは何も悪くないから、気にしないで」


「まるで私が悪いみたいな言い方じゃーん。で?発動した?」

エルデネは俺のあざを治療しながら言った。


母さんほどじゃないが──みるみるうちにあざが消えていく。


「何度かは。でも、あの時ほど強いのは出なかった」


「うーん。結構危機的状況じゃないと出ないのかな?

まあ、少しずつ練習しよっか。で、名前は決めた?」


名前……そうだった。忘れてた。


「僕の方は、決めたよ!」

キセキは嬉しそうに言った。


「何にしたんだよ」


「紫炎!」


「そのまんまじゃねえかよ……」


俺が呆れて言うと、キセキはちっちっ、と指を振った。


「形状によって名前を変えるんだよ。紫炎・剣型とかね。

剣型で木を伐採するのはできるようになったよ」


む……それは悪くない気がする。


「……応援と防御じゃ駄目かな」


俺が言うと、エルデネは首を横に振った。

なんでそんなにこだわりあるんだよ。


「じゃあ……ブースターとガーディアン」


俺が言うと、一同がしーんとなった。


「なんだよ!力を増幅するブースターと、身体を守るガーディアン!いいだろ!」


俺は少しむきになった。


「うん……アラタっぽくて……いいんじゃないかな」

キセキが、少し大人な目をしながら言った。


「むきになってて可愛いな」

メイはふっ、と笑った。


「まあ、本人がいいならいいだろ」

ラウルはこっちも見ないで言った。


……どいつもこいつも分かってない!


「まあ、それでいっか。皆も覚えておこう。いざというときに指示出せるように」

エルデネは、どっか無理やり納得したように言った。


「エルデネのその炎はなんて名前なんだよ!」

俺は腹いせに言った。


「一番でかいのは、〝インフェルノ〟。あとは、〝フレアバースト〟とか、〝フレアショット〟とか」


む……なんか、かっこいい。


「まあ、つけたのはタツオなんだけどね。私は特に名前つけてなかったから」

そういうとエルデネは笑った。


「父さん……やるな」

キセキは顎に指をあてて呟いた。


確かに。人は見かけによらないものだ。


少なくとも俺の知っているタツオ叔父さんは──技の名前とか考えそうにない。


「さて、今日はもう休もうか。明日はパルファムに向かってしゅっぱーつ!だね」


「俺は明日操舵しねえからな!」

ラウルが言った。


「ラウルは多分筋肉痛で腕上がらないもんね」

メイが笑った。


「うっ、うるさい!上げられるわ!っ……いててて」

ラウルは腕を上げると痛そうにした。


──相当、修行したんだろう。


俺も、頑張ろう。


少しずつでもいいから──役に立てる人間になりたい。


横に座るアイネをちらっと見ながら、俺はそう誓った。


焚き火の明かりが、アイネの顔を美しく照らしていた。


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