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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第二章 冒険のはじまり

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第十三話 テムルと、アイネと。

「テムル、あいつらなんなの」

エルデネが言った。


戦いの後、俺たちはアイネの煎れた茶を飲みながら、

状況の確認をしていた。


「……パルファムの騎兵隊。

パルファムはここから一番近い、アーカーシャ帝国の都市だ」


「あのガンダルっていう隊長が言ってたわね。

そのパルファムから、この土地は狙われているってことね」

メイが続けた。


テムルが頷いた。


「しかし……まさかいきなり剣を抜くとは。これまでは高圧的な態度はあっても、こんなことはなかった」


「なんか式術者に過剰反応していた気がするねえ。髪の色を見てすぐに気づいていたから──何かありそうだね」

エルデネが呟く。


「その……あなたたちの不思議な力は、一体何なのだ?それが式術というものなのか?」

テムルが聞いた。


「ユルガン族には──式術者はいないんだね。まあ、さっき私が見せたような、自然の力を使った力っていうのが説明になるけど……そういえば、アラタ式術使ってたね。キセキも」


え?俺?


キセキが紫の炎を出したのは式術だが──俺はそんな自覚はない。


「最初にメイの背中から式力を送り込んだ。その後──テムルとアイネを守るときに、見えない防壁を創り出した。あれは──式術だよ、多分」


「……多分ってなんだよ」


「だって、あんたみたいな色見たことがないもん。霊峰ライゼルにもそんな記録なかったし。

つまり、これから使い道探るしかないってこと。

でも、使えるようにしといたほうがいいね。これから戦いも増えそうだし」


「……これから?」


「え?パルファムに乗り込むでしょ?」

エルデネが、あっさりと言った。


……先ほど、命のやり取りをしたばかりだと言うのに。

危険な帝国に、乗り込む?


やはりこの女──危険な思想だ。


「この大陸の謎も解かなきゃいけないしね」

メイが指を鳴らす。


……ノリノリじゃないか。


「だったら、あいつら捕まえとけばよかったんじゃねえか」

ラウルが言った。


確かに。その方が、色々と交渉をしやすいかもしれない。

ラウルは経験豊富なだけでなく——頭も切れるのか。


「大丈夫。紫の式術で、あいつらの位置情報は把握できるようにしておいたから。

あえてあいつらを泳がすことで、私たちの危険性を帝国側に知らせようと思ってね」

エルデネが答えた。


「……そんなことしたら、俺たちは狙われるんじゃないか?」

俺は言った。


エルデネは、ふふん、と笑った。


「そう。それが狙い。帝国側から危険視されれば──どんどん敵がやってくるでしょ。

そしたら、その分早く真相にたどりつける可能性が高い」


──そんな考え方もあるのか。

だがそれは……いばらの道を突き進むということではないか。


「ねえ、アラタ。この際、最後まで真実を突き止めようよ」

キセキが言った。


──まるで俺の弱る気持ちを見透かしたように、背中を押す。


俺は……ここで待っているよ。


そう言いたくなる気持ちをぐっとこらえる。


男には、頑張らなきゃいけない瞬間があるのだ。


「そうだな。行こう。パルファムに」


俺は自分に言い聞かせるようにそう言った。


ふと、アイネと目が合った。


何かを言いたそうに──唇を噛んでいる。


ここは──俺が言うべきだ。


「アイネも、一緒に行く?」


俺がそう言うと、アイネは目を輝かせて、大きく頷いた。


「おい。アイネ。お前がついていっても邪魔になるだけだろう」


すかさずテムルが言った。


そうは言ったものの──本心は心配なんだろう。


「……私はパルファムに行ったことがある。道案内くらいできる」


アイネは言い返す。


まさかの反撃に驚いたのか──テムルは少しむきになった様子だ。


「お前は女なんだから、おとなしく家にいればいい。

戦いは──この人たちに任せなさい」


「随分無責任なんだね、族長って」


アイネが、はっきりした口調で言い返す。


「この問題は──私たちユルガン族の問題でしょ。何で別の大陸から来たアラタたちに全部任せようととするの。私は──ユルガン族を代表して同行するわ」


「そ、それなら私が行くべきだろう。お前が行くには危険すぎる──」


テムルが言いかけた途中で、アイネは畳みかけるように言った。


「〝留まることは退廃〟。それが、ユルガンの教えでしょう?

私は新たな世界を知りたい。この目で確かめたい。

お父さんが止めたって、私は行く」


──そこまでだった。

テムルは小さくため息をついて、エルデネに向かって言った。


「この通り、聞き分けのない子ですが……お願い致します」



……こんな、強い主張ができる子だったのか。


俺は驚いたと同時に、嬉しくなった。


アイネの新たな一面を知れたこと。


そして──旅をしたいと言っていたアイネと一緒に旅ができること。


世界が一気に明るくなった気がした。


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