第百二十三話 ユグラシアについて
「えーと、まとめると。未知の大陸はユグラシアという名前で、文明がある。そこは人工知能が支配する社会。それを支えるのは六帝と呼ばれる式術者と、六賢と呼ばれる識者たち。それで、その十二人のうち、三人が今ここにいる、と。そういうことか?」
父さんは頭を押さえながら言った。
「はい。素晴らしい理解力ですね。感嘆します」
エイナが答える。
説明は、エイナからしてもらったほうが分かりやすいと思ってお願いした。
六賢だもんな。それくらいやってもらわないと。
「えー、ありがとう。エイ、ナ……さん。あーっ!!ダメだ!イエナと話してるみたいで頭がおかしくなる!」
父さんは頭を掻きむしる。
エイナと会った頃の自分を思い出す。
「そんなに似ているのですか?」
エイナがキョトンとする。
「似ているなんてもんじゃない!同じ顔だよ、同じ!あぁっ、失礼。コホン。——それで、その大陸には人工知能やスマホが存在し、車が空を飛ぶ、ってことか?」
父さんの質問に、俺は頷く。
「——正直、驚いたよ。アルカディアでも実現していないものばかりだったから」
俺の答えに、父さんはタツオ叔父さんの方を見た。
「どう思う、タツオ」
タツオ叔父さんは、なぜか目をキラキラ輝かせながら答える。
「元の世界より遥かに先の技術だ。これは、調べにいかないとね」
元の世界?アルカディアのことじゃなくて?
俺はタツオ叔父さんの言葉が気になった。
「……だよなぁ。しかし、それだけの社会を人工知能が支配するなんて、考えられるか?」
「シンギュラリティの先の話かもしれない。とにかく、一度向こうの大陸に行って、その人工知能と話をしてみたい」
「……子どもたちが帰ってきたばかりだぞ。落ち着け。アラタ、その世界で——戦争はないのか」
父さんは言った。
「今はないんじゃないかな。昔はあったみたいだけど。
——本人に聞けば?」
俺は答えた。
「は?本人?——その人工知能ってことか?」
父さんが変な声を出した。
俺は頷く。
「アーカーシャ。人工知能——AIの名前。電話できるよ」
「……どういうことだ」
「アーカーシャは、俺の友達になったから」
俺の回答に、父さんとタツオ叔父さんは顔を見合わせた。




