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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第十一章 近づく旅の終わり

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第百十九話 ロッドへの帰還。

翌朝。

草原の空は、晴れていた。

まるで──俺の心を表しているみたいに。


あれから。俺たちはなんだか恥ずかしくなって、すぐに帰った。

無言のまま歩いて——最後に少し。

どちらともなく、手を繋いだ。


アイネの小さな手は、柔らかくて——温かかった。

みんなにバレないようにこっそり戻ったけど、中はそんなこと気にしてないくらいの大盛り上がりだった。

ユルガン族全体を交えた大宴会。

それは——散々なものだった。

エルデネとガゼリアは途中でどっちが強いかの口論をしていた。

草原で決着をつけると外に出そうなところを、エイナに引っ張られ、強制ヒーリングでアルコールを抜かれていた。

そんな緑の式術の使い方もあるんだな、と感心した。

アイネは戻った後はずっと家族と話していた。

多分、さらわれた話を隠して——旅の話をしていたんだろう。

俺はキセキと一緒に、ユルガン族の子どもたちの遊び相手になっていた。

みんな、俺たちの知らない遊びを知っていた。

科学がないからこそ、生まれた玩具。

なんだか、知らないのに懐かしい気がした。


一番修羅場だったのが——ラウルの肩にザラミが手を回して酒を飲ませていた時だ。

ザラミは目が座っていたが、ラウルは酒が強いのか一向に酔う気配がない。


それを見ながら、酔っ払ったメイが剣をゆっくり抜いた時は、さすがに全力で止めた。

まさか再びこのゲルの中でガーディアンが発動するとは、思ってもみなかった。


キセキが紫の式術でメイを眠らせ、ことなきを得たが——戦闘力の高い仲間を持つとそれはそれで大変だ。


結局みんなで雑魚寝になった。


アイネは自分のゲルに帰っていったが、最後に少し目が合った。

その微笑みを見るだけで——俺は生きていてよかったと思えた。


俺が外で水を飲んでいると、エイナが出てきた。

「アラタ。全員叩き起こしました。出発します」


「え?もう?まだ朝早いんじゃ——」


「私の知的好奇心を舐めてるんですか?一秒でも早く私は行きたいのですよ。ロッド大陸に」


「……なんで倒置法なんだよ。でも、全員爆睡してたけど、本当に起きたのか?」

俺が起きた時、ほとんどみんな床で寝息を立てていた。エイナだけは優雅に紅茶を飲んでいたが。


「はい。黄の式で微弱な電流を流し、緑の式で回復する。それを繰り返せば、大体起きます」


……式術の無駄づかい。


ゲルから、皆がだるそうに出てくる。

無理やり起こされて、機嫌が悪そうだ。


エルデネに至っては——ラウルに背負われながら寝ていた。

そんだけされて、よく寝てられるな。


奥のゲルから、アイネが顔を出す。


隣に、テムルがいた。


昨日のうちに——話をしていたのだろうか。


「アイネさん。ロッドには行けるんですか」

エイナが聞いた。


いくらアイネがその気でも——テムルに反対されれば、連れて行くわけにはいかない。

俺は、緊張しながら返答を待った。


すると、テムルが俺の顔を真っ直ぐに見ながら歩いてくる。


顔は真剣だ。


——え?怒ってる?


まさか、昨日の件で——。


俺が構えると、テムルは俺の両肩に両手を置いた。


「娘を頼むぞ」


……ん?


どういう意味?


俺はアイネを見ると、アイネは顔を赤くして目を背けた。

え?一体——何を言ったんだ。


「ちょっと待て。察するに——まさか、アラタに先を越されたのか私は」


目が座ったザラミがこちらに近づいてくる。

先ってなんだよ。

——酒臭い。


全然抜けてねえじゃねえかよ。


「エイナ、なんとかしてくれ」

俺はエイナに言った。


「……起こし忘れてました。一撃で決めます」

エイナはそう呟くと、黄色の式を空に浮かべた。

……かなり出力を上げている気がする。

大丈夫なのか?


「待て待てい!ただの酔っ払いにガチな式術を放つな!」

ザラミはエイナに抱きつく。

エイナは鼻をつまみながら俺を振り向いた。


「……アラタ、ロッド大陸でこの方の相手は見つかりそうですか?早く身を固めさせた方がよいかと」


俺は首を振った。

酒乱は——ミサキ叔母さんだけにしといてくれよ。

それに、ザラミの条件に当てはまる独身男性なんて、思い当たらない。

エイナの言葉を借りるなら、〝砂漠で砂金探し〟だ。


なにはともあれ。


次は——いよいよ俺たちの故郷。ロッド大陸だ。

半年近く、帰ってない。


みんな元気かな。


特に母さんには散々怒られるんだろうけどな。

でも——なんだかそれさえも待ち遠しく思えた。

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