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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第十一章 近づく旅の終わり

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第百十四話 エアバス内にて。

「エイナ、本当にやる気か」

俺はエアバスの中で呟いた。


「はい」

エイナは曇りのない目で答えた。

「蛇足ですから」


恐ろしい。

俺はこの女が本当に恐ろしいと感じた。


ウィザルを出発する時に、俺はこう言った。

「次は、コラルだな。ガゼリアとの約束を、守らないと」


それに対する、エイナの回答はこうだ。

「え?さっさとアイネさんの故郷に行きましょうよ」


つまり。


ガゼリアとの約束——やるべきことが終わったら、コラルに戻ってガゼリアと戦う、を一度ならず二度までも反故にしようとしているのだ。


「いや、蛇足って……なんやかんや世話になっただろ」


結果的に悲劇にはなってしまったが——

シードラでの戦い。

ボイド、タガロ、フューたちとの戦いは、きっとガゼリアがいなければ勝てなかった。


俺はその時、ふと気づき——タガロを見る。

少し、複雑な表情をしている。


なるほど、エイナは——タガロへの配慮をしているのか。


戦いの中とはいえ——フューを殺したのは、ガゼリアだ。

まだ会える精神状態ではないと判断したのだろう。


俺は、小声でエイナに耳打ちした。

「……お前もそういう配慮できるんだな」


俺の言葉に、エイナは不思議そうな顔をする。

「?なんのことです?ガゼリアとの約束はいつまでに、とは言ってないので、後回しでもいいと思ってるだけです」


……やっぱり怖い女だった。


かくして、エアバスはコラルとドラール、さらにはパルファムを突っ切って、ユグラシア大陸の最東端——ユルガン族の暮らす草原へ向かった。


アトル市長や、ファング、ガンダルにも会いたかった。

ダゴスとその取り巻きは——どっちでもいいや。


だけど——早くアイネを家族の元へ連れ帰るのも、大事だ。


不意に、アーカーシャから通信が入る。


『アラタ、今大丈夫ですか』


「おおっ、いいぞ。その配慮が人間関係では大事だ。

大丈夫だぞ。どうした」


『現在の有効通信範囲は、ドラールまでです。位置情報から、まもなく圏外になると見込まれます』


「え?アーカーシャと通信ができなくなるってこと?」


技術のことは全く分からないが——電波というものがあるのか。


『そういうことです。私と通信できないと、アラタは寂しいですか?』


「……そうだな。友達と連絡取れなくなると、寂しいな」


『その言葉が聞けてよかったです。では、マテウスに指示して、通信を衛星回線に切り替えます。そうすればロッドでも通じるはずです』


「……全然分かんないけど、ロッドでも話せるようにしといてくれると助かる。向こうでの問題は——端末の充電か」


ロッド大陸はまだ電気社会ではない。

いくら電波があっても、この端末そのものの充電が切れてしまえば使えない。


『大丈夫です。その端末は太陽光でも充電可能です。晴れた日であれば、半永久的に使えます』


……太陽光で充電?

太陽の光が電気になるってことか?

全然ついていけない。


「分かった。ついでだから聞くけど、ガゼリアの状況って分かるか?」


『コラルで豪雪地帯の雪を溶かしていますね。彼があの国の国王をやっているのも、式術を活かした社会貢献ができるからです。コラルは人が住むには厳しい世界ですから。特に今の季節は』


今の季節。

そう。

気がつけば——冬だ。


俺たちがテオロッドを旅立ったのは、春だった。

気がつけば、半年以上。

この旅を続けていることになる。


「なんか、お前話し方上手くなってきたな。ちょっとエイナっぽいけど」

俺はそう言って笑った。


「誰がAIですか。アーカーシャ、ガゼリアに『約束は忘れてない。しばらく待て』と伝えておいてください」

エイナが言った。


『分かりました。伝えておきます。ちなみに、私はエイナより人間らしいと自覚しています』

アーカーシャはそう言って通信を切った。


——なんか今、妙なライバル関係が誕生したか?


エイナもエイナで、仮にも帝国のトップを伝書鳩みたいに使っている。


まぁ、俺も人のことは言えないけど。


しかし確実にアーカーシャの態度や理解は変わり始めている気がする。


……本当に大丈夫か?


俺のせいで帝国がおかしくなって、世界の崩壊につながったりしないか?


少し不安になる。


でも、まぁ大丈夫だろう。


エイナをはじめ——ユグラシアには自分の足で立っている六賢、六帝がいる。


マテウスがアーカーシャにいいように使われてるのが少し気の毒だが——それだけ頼られているということだろう。


俺は知っている。


この大陸にも、自分で考え——自分の意志で歩いている大人たちがいることを。

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