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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第十章 主国アーカーシャ

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第百五話 エンパイアビル

「ここが——エンパイアビル、帝国の中枢」

俺は呟いた。


遠くからも分かっていたが——普通の建物だ。

恐らく十階建て程度。

他の建物が低かったせいで高く見えたが、雲を突き抜けるダビデタワーと比べるとはるかに低い。


「いよいよですね。私も六賢就任してすぐ、お尋ね者入りですね」

エイナは、知的好奇心を抑えられないのか、興奮して言った。


「みんな。必ずアイネを助け出そう」

俺は、振り返って言った。

「デュランと戦闘になれば——式術は効かない。剣士組のメイとラウルが頼りだ」


「修行の成果の集大成ね」

メイは胸を叩いた。

言葉は少ないが、それがメイらしい。

俺たちを冒険に誘ったのも、知らない世界を見てみたい、くらいの気持ちだったと思うが——

今となれば感謝している。


この旅がなければ、俺は何も知らないままだった。

世界の広さも、人が死ぬことの怖さも。

大切な人を奪われる絶望も。


それでも。俺たちの未来は、これから作れる。

未来を——取り戻すんだ。


「相手は多分一人だろう。俺たちが戦ってる間に、アイネを助け出してくれ」

ラウルが言った。

こんな時でも冷静で、クールなやつだ。

でもその中には、負けず嫌いな熱い血が流れていることを、俺は知っている。


「デュランの攻略法が見つけられなかったのは、私の責任です。が、やるしかありません。アイネさんを救って——世界の真実を掴みに行きましょう」

エイナが言った。


キセキが俺の背中をポン、と叩いた。


「はい。僕のブースター。アラタ、大丈夫。僕らなら、できるよ」


——ついこの前まで可愛い弟と思っていたやつが、気がつけば頼れる友に変わっている。


辛い出来事があったばかりなのに——それを受け止めて、キセキはもう前を向いている。


その瞳に迷いはなかった。


俺は、その手のひらから、ものすごい力をもらったように感じた。



俺は、この旅で出会った人々を思い出しながら、一人ひとりにブースターを込めた。


テムルさん——必ず、アイネを助けて連れ帰ります。

別の大陸から来た俺たちを、迎え入れてくれてありがとう。


ガンダル、ファング兄弟。そしてダゴス。

ダゴスの取り巻きは——なんだっけ、忘れた。

パルファムの街がなんだかすごく昔に感じる。

あそこから——俺たちの旅は始まったように思う。


そして、忘れられない。

ガリアの街。——ロイス。

あの時俺たちを守ろうとしてくれたこと。

一生忘れない。


あの時、アイネを奪われたあの時から——俺の時間は止まったままだ。


もう一度、時計を動かす。


そのために——アイネを取り戻す。


エイナの自動回復付与が終わると、俺たちはエンパイアビルの入口に立った。


「行こう」


俺が呟くと、みんな無言で頷いた。

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