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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第九章 ランクA国家バドール

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第百三話 アーカーシャの入り口

「土と赤は相性がいい。俺が見張っていれば何とかなるだろう」

アバロンが言った。

「もう俺もアーカーシャからお尋ね者扱いされてるかもしれん。指示を破った上──査定官も死んでるからな」


「それは、僕が……」

キセキが言いかけると、アバロンは首を振った。


「——違う。あれは、俺たちみんなでやったことだ。お前が一人で背負うもんじゃない。むしろ、こうなったのは俺が原因だ。知ってるか?大人ってのはな。責任を取るためにいるんだぜ」

アバロンが言った。


「——長官の口からそんな言葉が聞けるとは思いませんでした。いつも現場に文句ばっかり言ってるのに」

エイナが言った。


「お前は相変わらず一言余計だな。俺もそうやって、大人に助けられてきたんだよ」


エルデネは黒の石で無力化され拘束されているものの、記憶を失った状態のエルデネがどんな動きをするか分からない。

誰かが見張っていた方がいい、ということで、アバロンとマテウスが名乗り出てくれた。


「ダビデタワーなら機密性も高い。しばらく生活できる施設もあるしな」

マテウスが言った。

「俺もお尋ね者になるかもしれないが——乗り掛かった船だ。お前らのぶっ飛んだゴールまで付き合ってやるよ」

煙草の煙を大きく吐く。


「もし、アーカーシャに会ったら、何で開発を止めさせたいのか聞いてきてくれ」

アバロンが言った。


俺たちは二人と——エルダーンとなってしまったエルデネに別れを告げ、ダビデタワーを出た。



「アーカーシャには……どうやって行くんだ?」

俺はエイナに聞いた。


「私も、当然初めてです。長官の話によると、六帝、六賢にはゲートの位置が知らされるとのことですが」

エイナは端末を見ながら言った。

「あ、メッセージが届いてますね。──行ってみましょう」


俺たちはエイナについていった。

バドールの中心部、ダビデタワーから近く。

エレベーターに乗り込んで、地下に向かう。


俺たちを乗せた箱は、ぐんぐんと下へ進んでいく。

どこまで行くんだろうか。


エレベーターが止まると、そこは。


駅だった。


正確には──駅のような場所だ。


俺たちが知っている、蒸気機関車の駅と雰囲気が似ている。

だが、そこに停まっているのは蒸気機関車ではなく。


無機質な真っ白い箱だった。

車輪が、ない。


「──リニアですね。磁力で浮かせて走る列車です」


蒸気機関の次の、電気の列車。

更にその先の技術──ということか。


俺から見ると、ただの箱にしか見えない。


ゲートで、音声が流れる。


『チップを検知しました。認証開始します。──エイナ=ウィザロッド。

科学の六賢。認証完了しました。乗車してください』


ゲートが開くと同時に、白い箱のドアが開いた。

中はそんなに広くない。


──そもそも六帝、六賢勢ぞろいでも十二人。

それ以上が乗れる設計になっていないのだろう。


俺たちは、エイナと一緒にゲートをくぐった。

チップがないと──本当に認証されないようだ。


俺たちが乗り込むとドアが閉まり、〝リニア〟と呼ばれる列車は発進した。


──音がしない。静かだ。


俺は、アルカディアの蒸気機関の激しい音を思い出す。

汽笛の音、車輪とレールがこすれる音。

辺りが蒸気に包まれるあの景色とは──まったく違う。


「これ、本当に走ってるのか?」

俺はエイナに聞いた。


「最大時速は八百キロメートルみたいですよ」


──八百?


自動運転のエアカーの……倍以上の速さだ。


「蒸気機関車の二十倍じゃん」

キセキが呟く。


もはや想像もつかない。

仕組みもまったく分からない。


俺たちが向かっているのは、そんな科学の中枢だということを改めて感じさせられた。


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