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ユグラシア冒険記 —幼なじみに連れられて、未知の大陸を冒険することになった件—  作者: ヨダカカツキ
第九章 ランクA国家バドール

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第百一話 サーラとの戦い

「アバロンさん。俺の近くにいてください」

俺はアバロンとキセキの前に出て言った。


「お前の式術か。俺と会った時も使っていたな。

──それは何色の式術だ」

アバロンは言った。


「分かりません。名前は、ガーディアンとつけましたけど。

──また来ます。俺の後ろに」


サーラは再び雷を準備している。

何回見ても──震える。


まるで神の力そのものだ。


後ろを見ると──メイとラウルがエルデネと交戦しているようだ。


──やはり、説得は通用しなかった。

いや、話が通用しなかったのかもしれない。


本当に──記憶をなくしてしまったのか?


雲が一か所に集まる。

サーラの顔に、いらだちを感じる。


「フルグル」


再び、俺たちのもとに雷が落ちる。


そしてそれは──再びガーディアンに弾かれる。


「なんだそれは……私の雷を防ぐなど……あってはならない」

サーラの表情が、変わっていく。


「もう戦いをやめて、話し合わないか!」

俺はサーラに問いかける。

──それが無駄だとしても、殺し合いなど──したくはない。


「無駄だ。死刑執行人としてのプライドを傷つけちまったからな」

アバロンが笑っている。


──死刑にされかけてたのはあんただろ。


「ねえアラタ。このままじゃ防戦一方だ。僕も仕掛けるよ」

キセキが言った。


「分かった。だけど、遠隔攻撃にしろ。俺から離れるな」


「オッケー。アバロンさん、隙を作れたらサーラを拘束できる?」


「馬鹿にするな。仮にも茶の六帝。土を自在に操るなど基本だ」

アバロンはふんぞり返って言った。


「よし。じゃあ僕が隙を作ってみるよ」

キセキが言った。


「ソラリスか?」

破壊力だけなら、今俺たちができる最強の技。


「うん。あれもいいんだけど、僕は〝紫炎〟のほうがやりやすいんだよね。

そっちで行ってみる」


ソラリスは、分離したエネルギーをブーストする技だ。

幼少期から紫と赤が一体化しているキセキからすると──紫炎のほうが体が覚えているのかもしれない。


俺が頷くと、キセキは両手を出した。


「紫炎・ブーメラン」


紫色の炎が、ブーメラン型に変わる。


「お前、ブーメラン得意だっけ」

俺が言うと、キセキは首を振った。


「はじめて。ちょっとやってみたくて」


──命の取り合いをしている最中に──なんという緊張感のないやつだ。

ある意味キセキらしい。


キセキはそれをサーラに向かって投げる。

──案の定、サーラはそれをあっさり交わす。


が、その瞬間、サーラの下の地面が割れる。


──まるで土が触手のように伸び、サーラに絡みつく。


アバロンの式術だ。


よし、これなら──。


そう思った直後。


サーラを包むように、水の塊が浮かぶ。

水が土を溶かし──触手は泥となって地面に落ちた。


青の式術──?

俺はアバロンを見る。


「忘れてた。サーラは全色の式術を使えるんだった」


マジかよ──。


それは──話が違う。

人を消し去る雷だけでなく、全色自在。

攻守ともに変幻自在、かつ一人でできるということだ。


体に少しついた土を払いながら、サーラがゆっくり近づいてくる。

——明らかに怒っている。

だが。


少しふらついたように見えた。

──疲れてきているのか?


いっそのこと、接近戦を──

いや、全色使える以上、うかつには踏み込めない。


──エルデネと戦いが終わるのを待ちたいところだが……

後ろから、ラウルの叫びが聞こえた。

安心はしていられない。


「ブーメランはダメか。次はどんな形にしてみようかな」

キセキは紫炎を色々と形を変えている。


「キセキ、遊んでる場合じゃない。来るぞ──」


四回目のフルグル。

恐らくサーラは──ガーディアンをぶち破る気だ。


矛と盾。力比べ。


上空に集まる雲が、これまでより大きく、そして広い。

──バドールの空は、一気に雷雲に囲まれている。


「あ、そういえば避雷針ってあったよね。あれやってみよう」

キセキは、細長い棒を作り出した。

「紫炎・避雷針!」

叫んで、それを上空に浮かべる。


工作の時間じゃねえんだぞ。

それに避雷針って……。

……ガーディアン発動前に受け流すってことか?


「フルグル!!」

怒りのこもった声と共に──まぶしすぎる閃光が走った。


だが。ガーディアンが発動していない。

——ということは。


「あれ……?なんだこれ」


キセキの避雷針が──とてつもない大きさに膨れ上がっている。


これまでの──数十倍。

「なんか変だな」

キセキが紫炎を見つめた。

「これ、僕の炎じゃない。……雷が、中にいる」



「まさか……フルグルを取り込んだのか?」

俺は呟いた。


「アラタ、これどうしよう」


「……サーラに返せばいいんじゃないか」


「え、う、うん」

キセキはそういうと、膨れ上がった紫炎をサーラの方に向けた。


直後。


とてつもない電流がサーラに向かっていく。


サーラが一瞬目を見開いたのが見えたが──


次の瞬間。


サーラの姿はなかった。


残っていたのは──サーラの影だけだった。


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