表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47歳営業マンが幼児から始める異世界中古武具店~刀で魔物を倒し、正直商売で客も商売敵も救います~  作者: 田島久護


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/21

第七話 初めての予約客

「おい坊主、平気か? 顔色が良くないが」


 刀を収めていると声をかけられたので見ると、馭者さんだった。


「え、あ、すいません大丈夫です。それより先ほどは危ないと言ってくださり、感謝しています」

「お礼を言うのはこっちのセリフだ。それより大丈夫か? 今しまった武器は使えないのか?」


 そう問われたが言葉に詰まる。


一本は刃が欠けたので使えなくなった。


そしてもう一本も同じ製法なので欠ける可能性が高い。


出来れば馭者さんを警護しながら、町まで退却したいところだが、まだゴブリンの声がしているのでどこかにいる。


このまま逃げれば町まで誘導することになるので、それだけは決してできない。


「これは刀っていう武器です。今納めた刀は使えないです。申し訳ないんですけど、もう一本の方で対応できるか不安なので、いざとなったら一人で逃げてもらっていいですか?」


 覚悟を決めて残る一振りを引き抜き敵を探そうとした瞬間、馭者さんの後方からこちらに見える位置にゴブリンの顔が現れる。


(回り込んだんじゃ間に合わない! 馭者さんに当たらないよう、喉を突くしかない)


確実に当たらないよう、御者席の縁に足をかけ飛び、馬の尻に乗ってゴブリンに対して突きを放つ。


「ギ」


 刀を引き抜き地面に降りると、短い悲鳴を残してゴブリンは倒れた。


「おお凄いな。助かったよ坊主!」

「無事でよかったです」


 馭者さんも無事だし馬も多少暴れたくらいで済んだ。


二人の確認後、切っ先を確認したが、割れたり欠けたりしておらずほっとする。


もういないか馬車の周りを急いで見て回り、最後に馬車の下をのぞいた瞬間、馬車の下からゴブリンが飛び出してきて、町とは逆方向へ走って逃げる。


正直なところ精神的にもうきつい。


吐き気を抑えるのも限界だ。


だがあれを逃すと増援を呼ばれてしまう。


自分を奮い立たせて全力で後を追う。


「ギャアアアア!」


 何とか追いつき背中からバッサリと切りつける。


他にもゴブリンがいないとも限らないので、馭者さんのところに急いで戻った。


「おい坊主、その刀って武器は凄いな! 俺の剣は一回で折れちまったのに」

「いえ、全然だめです。先の一本は二体切っただけで欠けました。これでは持ち手の命を預かれない。商人としてはお客さんに売れません」


「子供に見えるのにジジイみたいなことをいうな」

「祖父に育てられたので」


「祖父?」

「ジークっていう名前です。町でアテナ屋っていう中古武具屋を営んでいて、僕はその孫のヒサミツです」


「刀売ってくれない? 俺欲しいんだけどな……百五十くらいだすよ?」

「安全性が確保出来たら売りますけど、まだ試作段階なんで売りません」


 しばらく周囲を確認していたが、ゴブリンは見つけられなかった。


少し経ってから冒険者や騎士が来たので、事情を説明した後で引き上げることにする。


「坊主、俺の馬車に乗って行けよ!」


 そう馭者さんに言われ、警護も兼ねて町に一緒に戻ることにした。


戻って着替えて混雑する店を手伝っていると、先ほどの馭者さんが店に来た。


「いらっしゃいませ! 何が入用ですか?」

「よう坊主。さっきは助かったぜ」


「お礼なんて別に要らないですよ、ゴブリンは災害なんで。それをわざわざ言いに?」

「いや、お前さんの使っていた刀、あれっていつ売りに出るのかなと思ってさ」


「予定は今のところ未定ですね」

「そっか。予約とか出来たらしたいんだけどどうかな?」


「予約をもらってもいつ出来るか約束できないんですが」

「それでもさ。俺はお前が百五十でも安全じゃないから売らない、っていう言葉に痺れてね。大金でも売らないのに、こいつが売るって言ったものなら信じられる、そう思ったから買いたいんだ」


「売り物になるようになったら声をかけるので、ぜひその時は手に取って見てください。それで良かったら買ってください」

「じゃあ予約成立ってことだな! 俺は買うって決めてるし! 楽しみにしてるよ!」


 馭者さんはそう言って去っていった。


まだ完成していない、価格も分からない商品を馭者さんは買うと言ってくれた。


ただ売ればいい、というのではなく、買う人も犠牲にならない、そういう商売こそが大切だと思った。

読んで下さって有難うございます。読んで面白いと感じた時には、ぜひ評価を頂ければ嬉しいです。

また誤字脱字報告に関しましては、誤字報告機能の利用をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ