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捨て値の呪物を買い漁る俺、外した呪いで無双する〜誰も使えない神話級遺物、俺だけ全部使えます〜  作者: 渋谷 爽月
第2章 三百十二点、全部訳あり

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第24話 金貨より先に、名前が売れた

 報酬の袋は、二つあった。


 着手金と合わせて六金貨になる、検分の報酬。

 それから、事故の救助と施設の復帰に対する追加の四金貨。


 合計、十枚。

 経費は、別の明細で精算された。


「思ったより重いな」

「王冠はもっと重かったでしょうね」


 リシェが言う。

 俺は彼女を見た。

 彼女も俺を見て、同時に笑った。


 組合の公開検分は、小さな広間で行われた。

 大げさな表彰式ではない。

 机に並ぶのは、番号のついた十八点と、試験結果の紙だ。

 その後ろに、庫内へ残す二百九十四点の一覧がある。


 すべての呪いを外したわけではない。

 すべてを持ち帰ったわけでもない。

 触ってよい物と、今は触ってはいけない物を、三百十二点分、確かに分けた。


 その作業には、事故の後も十日かかった。

 俺は一日に移す呪いの数を決めた。

 残りは、測る仕事と、記録を確かめる仕事をした。

 急いで全部終えるより、誰でも続きをできる方がいい。


 セラが最後の確認欄へ署名した。


「十八点の搬出実証と、残存品の封印維持を確認。査定と搬出方法の提案は、完了とします」


 広間の端で、小さな拍手が起きた。

 前の調査に参加した探索者たちだった。


 一人が俺の前へ来る。

 肩に古い傷のある男だ。


「盾で吹っ飛ばされたの、俺だ」

「記録、役に立った」

「本当か?」

「綱を短くする理由が、最初から分かった」


 男は傷のある肩を撫でた。

 それから盾を見て、少しだけ笑った。


「じゃあ、痛かっただけじゃなかったな」


 俺はうなずいた。

 盾の試験記録には、彼の調査隊の番号も書いてある。


     ◇


 エルンは広間へ来なかった。

 出資者への報告には、事故の原因と証言が添えられたという。

 今後の検分からは外され、壊した備品と追加作業の費用について、組合との話合いが続いていた。

 従業員二人の給金から引くことは、認められなかった。


 俺たちは、その話を聞いてから席を離れた。

 誰かを追い出したところで、俺たちの売上が増えるわけではない。

 次は、運び出した物を働かせる番だ。


 リシェが車軸の検分票を取り出した。


「公開条件で買付けを出します。五金貨。店の運搬用です」


 俺は、一度彼女へ聞き返した。


「二人の取り分の、半分だぞ」

「だから、二人で決める。エダにも使い道と回収できる費用を聞いた。半年以上使えば、運搬を外へ頼むより安い」


 エダが、後ろでうなずいた。


「ただし、荷台の補強代は別。軽くなっても、木が丈夫になるわけじゃないから」


 俺は検分票を見た。

 荷を軽くする。

 停止したら、止まる。

 何度も試した、当たり前の二行。


「買おう。自分たちで使い続ければ、壊れ方も分かる」


 条件を確認した組合が、後日売却を決めた。

 残りの品は、利用希望者へ順次案内される。

 俺たちには、その保守点検の契約が来た。


 それから、ノル。

 組合所有として登録され、俺たちの店へ臨時に貸与されることになった。

 保守作業の継続に必要な、庫外権限を付けた上で。


 最初に外へ出た鳥は、少しも飛ばなかった。

 俺の肩に乗り、空を見上げていた。


『天井、検出不能』

「これが、外だ」


 金属の翼が、ゆっくり開く。

 胸の灯りが、夕日の色へ混ざった。


次話で第2章完結。持ち帰った宝と記録が、店の新しい仕事につながります。

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