↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨て値の呪物を買い漁る俺、外した呪いで無双する〜誰も使えない神話級遺物、俺だけ全部使えます〜  作者: 渋谷 爽月
第2章 三百十二点、全部訳あり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/25

第11話 銅貨二枚の盾で、金貨の道を開ける

 盾を握ると、親指の下へ文字が浮いた。


〈迎撃:防ぐべき力を受けた場合、使用者をその方向へ二歩分押し出す〉


 俺は文字を読み上げた。

 ゼンが盾を見つめ、短く息を吐く。


「盾を構えて、矢の方へ走らされるのか」

「前の調査で肩を打った人、それだと思う」


 試す場所には、床の青い線が通っていない隅を選んだ。

 命綱を短くする。

 足元には、縄で縛った重い木箱を置いた。

 リシェは遠くから見守り、エダが俺の腰綱を持つ。


「石を投げる。痛そうなら言え」


 ゼンが小石を放った。

 俺が盾を向けると、表面の前に薄い光が生まれる。

 石は弾かれた。

 同時に、身体が前へ持っていかれた。


 綱が張る。

 胸が詰まり、俺は膝をついた。


「痛い!」

「言うのが遅い」


 ゼンが俺を起こす。

 今の一回で、二つ分かった。

 盾の防御は働く。

 飛ばす呪いは、それを台無しにしている。


 古い籠手の足止めは、使わないことにした。

 飛ぶ力と止まる力を、自分の膝で受け比べる必要はない。

 最初から綱で確かめればよかったのだ。


「見た目より、真面目に反省するんだな」

「見た目は余計だ」


 俺は盾の縁を左手で押さえ、右手で空の鉄筒を握った。

 黒い糸を引く。

 細い。鎧のときほど重くない。

 それでも、ゆっくり移した。

 傷の治った指を、また裂く気はなかった。


 筒へ糸が落ちた後、盾を格納台へ戻す。

 帰庫の糸は残したままだ。

 青い線に、乱れはない。


「もう一度」


 今度の石も弾かれた。

 俺の足は動かなかった。


 リシェが、握っていた筆を置く。


「防御範囲は盾より少し広い。強い力を続けて受けると、縁の魔石が熱を持つ。使用間隔が必要ね」

「売れる?」

「試験が終われば。まず、ここで使いましょう」


 彼女の視線の先には、奥へ続く細い通路があった。

 そこだけ、埃が積もっていない。

 壁の穴から、一定の間隔で風が吹いていた。


     ◇


 義眼で見ると、青い線は壁の穴へ集中していた。

 人が通ると、光が強くなる。

 道を掃除する仕掛けか、侵入者を押し戻す仕掛けか。

 分からない以上、身体で確かめたくはない。


 ゼンが槍の柄に布袋を結び、通路へ出した。

 布袋は横へ吹き飛んだ。

 槍を握っていた腕まで引かれる。


「これを越えられず、前回は反対側から回った」

「その先で床が動いた?」

「ああ」


 俺は盾を持ち上げた。

 リシェが、エダの結んだ腰綱を確かめる。


「一回目は、通りきろうとしないで。風を一度受けたら戻ること」


 うなずいて、通路へ入る。

 音が変わった。

 風が盾へぶつかり、光の板が白く震える。

 足は動かない。

 縁の魔石へ、熱が溜まる。


 俺は数を三つ数え、後ろへ下がった。

 エダが盾へ濡れ布を当てた。

 しゅ、と小さな音がした。


「冷ます間があれば、行ける」


 次はゼンが盾を持った。

 槍を置き、盾を両手で握る。

 俺たちは風の切れ目に合わせ、短い距離を進んだ。


 一人では、熱を逃がす布も、背中の綱も持てない。

 四人で動くと、二銅貨の盾が道を開いた。


 奥の扉へ着く。

 ゼンが盾を下ろし、俺を振り返った。


「これ、前の七組にも欲しかったな」

「前の七組が、風の間隔を調べてくれたから使えた」


 彼は少しだけ黙った。

 それから、扉の取っ手へ手を伸ばす。


「じゃあ、次へ渡せる記録も残そう」


 扉が開いた。

 中では、小さな金属の鳥が、逆さになって吊られていた。


次話、奥の部屋で見つけた金属の鳥。助ける前に、足元を確かめる必要がありそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。