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紡がれるの物語〜紡がれる因縁「第6章《過去の惨劇》」

 過去の記憶を辿れば未来が見え来る

 この話の発端から

 この話の結末まで……

 偶然なんて言葉は無かった


 第6章 過去の惨劇


 気が付くと私は暗闇の中にいた――。

 なぜ私はここにいるんだろう?

 覚えてない……私……? 私って誰?

 どうやら記憶喪失ってやつみたい。

 なんだかさっきから私ってば冷静だなぁ、こういう状況の時ってみんなこうなのかな?

 まぁいいや、そんなことより今は私の置かれている状況を把握するのが大切だよね。

 ゴン!! 痛い……動こうとしたら頭打っちゃった。どうやら箱の中で横になってるみたい。なんで私はこんな箱の中にいるんだろう。この箱は人が一人入れる位の大きさ、しかも私にピッタリ合う大きさに作られているような……まさかね、まさか柩なんてことはないよね。私死んだのかな?

「誰かいませんか?」

 人のいる気配もないし、小さな箱の中で大声だしたら耳が痛くなっちゃった。

 バンッ!! 箱はびくともしない。はぁ……仕方ないから寝ちゃお。

 ――寝ていたので時間がどの位経ったのかわからないけど、私は目覚めた。

 まぶたに強い光を感じた。眩しい……眩しいけど仕方なく目を開ける事にした。

 私の目の前には誰かが立っていた。……奇麗な人だ、純粋にそう思った。ぼやけてよく見えなかったのにそう思ったのはこの人から感じられる雰囲気のせいだと思う。

 しなやかで細い手が差し伸べられた。私はその手を掴み立ち上がった。

 私の目の前にいる人はやさしくささやいた。

「おはよう。今日から君の名前は薔薇姫だ」


 私がこの屋敷に来てから2ヶ月の時が過ぎ去っていった――。

 ここでの生活にも少しずつ慣れてきた。この屋敷の主はこの辺り一帯を領土にしている大貴族ゼメキス・ヴィリジア様。大貴族といっても私にはそんなに悪い人には見えないけど?

 未だに私の記憶は戻らない。私は誰だったのか?

 ゼメキス様に聞いても何も教えてくれません。でも私はそれでもよかった、今が幸せだったから。

「ゼメキス様、何かお飲み物をお召し上がりになりますか?」

「紅茶を頂けるかい?」

「畏まりました」

 私はゼメキス様に紅茶を入れて差し上げると、ゼメキス様の元へ紅茶を運ぼうとしました。けれど――。

「あっ!!」

 ガシャーン!! 紅茶を入れたカップは床に落ち砕けてしまいました。

「ごめんなさい、今片付けますから」

「薔薇姫がそんなことをする必要はない、後で他のものにやらせるからそのままにして置きなさい」

「いえ、私がやりますから――痛っ!」

「大丈夫か!?」

 私の指は陶器の破片で傷付き、見る見るうちに紅く染まっていった……私は、私は……。

「……血」

「薔薇姫?」

「いやーーーっ!!」


 気が付くと私は暗闇の中にいた――。

 なぜ私はここにいるんだろう?

 覚えてない……私……? 私って誰?

 どうやら記憶喪失ってやつみたい。

 なんだかさっきから私ってば冷静だなぁ、こういう状況の時ってみんなこうなのかな?

 まぁいいや、そんなことより今は私の置かれている状況を把握するのが大切だよね。

 ゴン!! 痛い……動こうとしたら頭打っちゃった。どうやら箱の中で横になってるみたい。なんで私はこんな箱の中にいるんだろう。この箱は人が一人入れる位の大きさ、しかも私にピッタリ合う大きさに作られているような……まさかね、まさか柩なんてことはないよね。私死んだのかな?

「誰かいませんか?」

 人のいる気配もないし、小さな箱の中で大声だしたら耳が痛くなっちゃった。

 バンッ!! 箱はびくともしない。はぁ……仕方ないから寝ちゃお。

 ――寝ていたので時間がどの位経ったのかわからないけど、私は目覚めた。

 まぶたに強い光を感じた。眩しい……眩しいけど仕方なく目を開ける事にした。

 私の目の前には誰かが立っていた。……奇麗な人だ、純粋にそう思った。ぼやけてよく見えなかったのにそう思ったのはこの人から感じられる雰囲気のせいだと思う。

 しなやかで細い手が差し伸べられた。私はその手を掴み立ち上がった。

 私の目の前にいる人はやさしくささやいた。

「おはよう。今日から君の名前は薔薇姫だ」

 ――そうこれの繰り返し。

 私が思い出してはいけない記憶を思い出す度にゼメキス様は私の記憶を消した。

 私には特殊な能力がある。だから記憶を消されていた。その能力のせいで私はさらわれかけた……。


 硝子の割れる音を共に部屋に突風が吹き荒れ、男は私の前に姿を現した。

 白衣を纏った銀色で短い髪の男は悪魔のような笑みを浮かべていた。顔半分には獣の鋭い爪で傷つけられたような3本の爪痕が付いている。

「君が薔薇姫だね、迎えに来たよ」

 男の後ろから5匹のゴブリンが現われ私を捕まえようとした。

 大きな緑色の腕が何本も私に掛かる。私はどうすることもできなかった。抵抗すらできなかった。

「あなた方は何者ですか!?」

「僕の名はゼオス、君の能力を使ってこの世界いる全ての貴族を支配しようと考えている者だよ」

「私の能力を使って貴族を支配するですって!? 私にはそんな能力なんてありません!!」

「それはゼメキスに記憶を消されているからだよ。強いショックを受けると記憶は戻るんだけど、すぐに奴は記憶を消すんだ。心当たりがあるだろ?」

 この男に言われたように心当たりがある。この屋敷のこともゼメキス様のことも全てを私は前から知っていたような感覚に襲われることがある。でも私がここに来たのは2日前の筈、そう筈……。

 その時突然、部屋のドアが音も無く開かれ音も無くゼメキス伯爵が現れた。

「薔薇姫を放せ」

 放せと言われて放すような者たちではなかった。薔薇姫を捕らえているゴブリンとゼオスが逃走を謀ると同時に残りのゴブリンがゼメキス伯爵に襲い掛かった。

「こんな雑魚では相手にならんな」

 私はゴブリンの腕に抱えられ夜の暗い森の中を運ばれていた。私はいったいどこに連れて行かれるのだろうか?

 ゼオスの足が不意に止まり、彼は後ろを振り向いた。

「早いね、でも計算通り」

「私を誰だと思っているのだ、大貴族ヴィリジア・ゼメキスを敵に回した事を後悔して死ぬがいい」

「後悔なんてした事が無い、されてもらえるならありがたい話だね、くくっ」

 ゼオスの目の色が黒瞳から紅瞳に変わり、背中からは白衣を貫き漆黒の悪魔のような翼が生えた。

 それを見たゼメキスの目は大きく見開かれ、顔付きが狂気の相を浮かべた。

「キサマ何者だ!?」

「くくく、貴族を支配する者だ」

「貴族を支配するだと、私たち貴族は絶対の存在だ。お前などに支配される筈がなかろう」

「それはどうかな?」

 何が起こったのか私にはわからなかった。ただ私が見たのはゼメキス様が倒れる姿。ゼメキス様がやられてしまった――。

「くくく、大貴族も対したことないな……ぐはっ」

 ゼオスが突然口から血を吐いた。その形相は悪鬼のようになり、腹からは槍が突き出ていた。

 肩越しにゼオスは後ろを振り向いた。

「生きていたのか?」

「私を誰だと思っているのだ?」

 そう言って槍は引き抜かれ、槍は再びゼオスを襲い身体を肩からわき腹まで真っ二つに切り裂いた。

 それを見たゴブリンは私のことを放して、血相を描いて闇の奥へと逃走してしまった。

 自由になった私はゼメキス様に駆け寄ろうとしたのですが――。

「くくく、この程度の攻撃で僕を殺せるとでも?」

 切り離された筈のゼオスの胴体は互いを引き寄せるようにくっ付き身体を起こした。起き上がった身体には傷一つ無い。

 その光景を目撃したゼメキス伯爵は再び槍を振り下ろそうとしたが、ゼオスの動きのほうが早かった。

 ゼオスの腕は伯爵の腹を貫いていた。

「お返しするよ」

「小癪な!!」

 二人の戦いを見て恐くなった私はこの場から駆け出した。

 暗い森の中を走り、恐怖が私を包み込む。

 行く当ても無い私の視線の先で小さな光が見えた。それは家の明かりだった。森の一角を切り開き、その中に立てられた家。

 私が自分で気付いた時には家のドアの前に立ちノックをしていた。けれど返事はなかった。誰もいないのだろうか……けれど明かりは付いている。

 不思議の思いドアに手を掛けると扉が開いてしまった。

 扉を開けた瞬間、血の匂いが私の鼻をついた。

 血まみれになり倒れている人々。女の子とその両親と思われる大人、モンスターか何かに襲われて殺されたに違いない。

「……う…う…助けて」

 小さな声であったけれど私の耳にはしっかりと届いた。少女の声だ、少女はまだ生きていた。

 私は少女の横で膝を付きその顔を見た。

「こんな可愛い子……可愛そうに助かる見込みは……」

 私はこの時あることを思い立ちそれを実行した。


 ここにいた者たち全ては目を覚まし身体をゆっくりと起こした。

 どの位気を失っていたのかはわからない。だがここにいた者たちは全員同じモノを見ていた。

「今見て頂いたのは私の記憶です」

 まだ少し痛みの残る頭を押えながらジェイクとクィンは目を大きく見開いた。

 二人の目の前に立っていたのは、あの森で助けた少女ソフィアであった。

「ソフィアさんがなんで!?」

「そうだソフィアがなんでこんなとこに!?」

 目を白黒させる二人に対してゼロは質問を投げかけた。

「知り合いか?」

「この人は僕たちが森でゴブリンに襲われているところを助けてあげた方で」

「その彼女がなぜこんなところにいる?」

 この問いに対してゼメキスもまた疑問を抱いていた。

「なぜ……いやそれよりも先程『今見て頂いたのは私の記憶です』と言っていたが……もしや!?」

「ゼメキス様、私は薔薇姫で御座います」

 この発言に元から無口であるゼロを除いて全員が絶句し驚かされた。

 まさかソフィアが薔薇姫であったなど、ジェイクとクィンには信じがたい事であった。しかし、なぜソフィアが薔薇姫なのだろうか?

「私はこの身体に乗り移り、身を隠したのです。そのお陰で敵に狙われる事もなくここまで難なく来る事ができました」

 そう薔薇姫は追跡者の目を眩ますために瀕死の重症であった少女に乗り移ったのだ。そして彼女はこの場に姿を現した。しかし何故?

「私は全ての記憶を取り戻しました。そして能力も……白騎士と黒騎士は敵の手に……もうすぐここに敵が来ます、そして私は……」

「どうしてソフィアさん、いえ薔薇姫さん、もうすぐここに敵が来るとはどういうことですか?」

 薔薇姫が答えを発しようとした刹那ゼロの言葉がそれを遮った。

「敵が来た」

 ドアが強い衝撃によってぶち破られた。

 ゴブリンの大群が部屋の中にどっと流れ込み、あっという間に部屋を占拠し取り囲まれてしまった。だがこの場で焦る者はただ一人とていなかった。

 武器を手に取り敵を一掃する。勝負は呆気にとられてしまう程の大差である。もちろんやられたのはゴブリンたちである。

 ゼロとゼメキス伯爵が敵の9割を難なく倒し、残りをジェイクが倒す。クィンは物蔭から応援し、薔薇姫は――? 姿が見当たらない!?

 伯爵がそのことにいち早く気付き叫んだ。

「薔薇姫は何処だ!!」

 その声に反応した残りの者たちは辺りを見回し、その視線は一転に集中された。

 顔に傷を持った銀髪の男がそこには立っていた。

「くく、何たる偶然だろうね……SK-M00、いやゼロと呼んだ方がいいかな?」

 普段何事にも動じないゼロの表情がこの時ばかりは驚愕の色を浮かべた。ゼロを驚愕させた男は薔薇姫をさらおうとしたゼオスであった。しかし、なぜ? ゼオスとゼロは知り合いなのか? そしてSK−M00とはいったい?

「ゼオス……なぜキサマが!?」

「あれから400年以上も経つのに僕の顔を覚えていてくれるなんてうれしいね。君の噂は聞いていたよ、ハンターなんてものをやってるそうじゃないか?」

 しゃべりながら辺りを見回していたゼオスの瞳が一点に注がれ、驚愕した。

「ま、まさか!? なぜだ!? なぜ、メフィストと同じ、いや違う半分だけだ」

 この言葉を掛けられた本人であるクィンの顔色が変わった。メフィストとはいったい?

「あのひとの事をご存知で?」

 クィンの顔からは笑みなど一欠けらもない、失われている。クィンがあのひとと呼ぶメフィストとはいったい誰なのか?

「わけかんねぇ〜!!」

 突然ジェイクは叫んだ。

「わけかんねぇよ。なんなんだよいったいさっきっから、メフィストってクィンの親父の事だろ? あの変態親父がどうしたってんだ? ゼロとこの銀髪ヤローとどういう関係なんだよ!! 薔薇姫の能力って何だ!?」

 この言葉を聞いたゼオスは腹に手を当て大笑いをし始めた。

「くくく、くはははは、なんて偶然だ。この小僧が大魔王メフィストの息子だと、有り得ない。それにゼロか……薔薇姫に力は恐ろしいな」

 かつて古に時代大魔王とまで呼ばれた妖魔貴族メフィスト・フェレス。しかし彼は突如魔王であることを辞め、とある研究所で何かに取り憑かれたようにある研究をし始めた。そして研究所が謎の事故で炎上し、究所はすぐに再建されたがその研究所にはメフィストの姿は無かった。メフィストは研究所を後にして忽然と姿をくらましてしまったのだ。彼の噂の中には人間の世界に溶け込み家庭を持ったなのどいう信じがたい物もあるが真実であるかどうかは定かではなかった。しかし、それは現実であった。

 ジェイクが発狂する。

「はぁっ!? あのクィンの変態親父が大魔王だと!!」

 以前ジェイクはメフィストに遭ったことがある。そして街中を追いかけられた思い出したくない記憶がある。しかし、あのメフィストが、『クィン愛してるよぉ〜』なんて言いながら息子に抱きつく男が大魔王であったなど誰が信じようか?

 ここにいる者は全員個々に絶句し言葉を失っていた。全員が何らかのイトで繋がっていたのだ。

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