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#6触れないまま

※理解できない相手と、離れられない話です。


風呂を済ませ、二人でベッドに入った。


ゆっくりと移動したとはいえ、一週間にも渡る長旅。


しかも、終盤はまともに眠れない日も多かった。


一気に、疲れが出る。


ハルモンも疲れていたのだろう。


ベッドに入ってすぐ、眠りかけていた。


……王都は、昼間は騒がしかったが、夜は静かだ。


静かすぎるくらい。


俺は目を閉じたまま、わずかに迷う。


それから、布団の上に置いた手を、ほんの少しだけ動かす。


触れない。


触れない距離。


だが、指先が布越しにかすめた。


ハルモンが薄く目を開ける。


「……なに?」


眠そうな声だ。


俺は、言葉を探す。


「……別に」


嘘だ。


少し、間があった。


ハルモンはぼんやりしたまま、手を伸ばしてくる。


指が絡むわけではない。

ただ、手の甲に手を重ねるだけ。


「……いるよ」


それだけ言うと、眠ってしまった。


俺はその重みを感じながら、しばらく動くことができなかった。






















次の日。


俺は夜明けとともに目を覚ました。


横を見ると、ハルモンはまだ眠っている。


昨夜は、久しぶりにゆっくり休めた。


ハルモンを残し、ベッドから降りる。


壁に立てておいた剣を持つと、静かに部屋を出た。






階段を降りて、玄関から外へ出る。




家の裏へ。




剣を抜く。


一振り。


風を裂く音。


――もう一度。


踏み込み。

振り抜く。


呼吸を合わせる。


吸う。

振る。

吐く。


一定の間隔で、刃が空を切る。


乾いた風切り音が、繰り返される。




汗を流す。




井戸の水を汲み、頭から被った。


「ライ様、おはようございます!」


顔を上げると、ミアだった。


「どうぞ、使ってください!」


ミアから布を手渡され、受け取った。


「悪い」


「いえ! ……お食事の用意ができております。食堂までお越しくださいませ」


ミアはにこりと微笑むと、一礼し去っていった。










布で頭と体を拭き、ハルモンの部屋に戻る。


ハルモンは、まだ寝ていた。


少し迷ったが、肩を軽く揺する。


「……ハルモン、起きろ」


ハルモンは呻きながら、ゆっくりと体を起こした。


「……おはよう」


「…………おはよ」


まだぼんやりしており、眠そうだ。


「……食事ができたそうだ。食堂に来いと言われた」


「……起こさなくてもいいのに」


目をこすりながら、小さく息を吐く。


「……別に急がなくてもいいし」


少し間。


「……行くけど」


ハルモンが立ち上がる。


眠そうにしながらも、ふらつくこともなく、当たり前のように支度を始める。


……来るのか。


さっきの言葉はなんだった。


急がなくてもいい、と言いながら。


俺は小さく息を吐く。


「……無理はするな」


言ってから、少しだけ後悔した。


別に、そんなつもりで言ったわけではない。


ハルモンは振り返らないまま、


「してない」


それだけ返して、部屋を出ていく。


……してるだろ。




















ここまで読んでいただきありがとうございます。


この関係がどう転ぶのか、見守っていただけると嬉しいです。


昨日、活動報告の方にAIによる二次創作をアップしました。

この作品は作者が人力で書いているのですが、書きあがったものをAIに読んでもらい、誤読されないか、意味が通りそうか、などの感想をもらいながら執筆を進めています。

ところが、AIはどうしてもライとハルモンをくっつけたいらしく、勝手に二次創作を書くことがあるのです。

本編では起こり得ないけど、ありそうなシチュエーションで笑ってしまったので、活動報告の方で供養しています。

よければ読んでみてください。

▼AI「もう見てられない」シリーズ第一回「事故で押し倒す」

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3058555/blogkey/3644890/


次回、『隣に座る理由』。

せっかく家に帰ってきたのに、起こされて朝寝坊できず、少々不機嫌なハルモン。

ライは見たことのないハルモンの様子に少し戸惑っています。

若干気まずい空気の中、ライはハルモンの隣に座るのでしょうか。


よければブクマや評価、コメントなどいただけると励みになります。

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