表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/44

#5静かな違和

※理解できない相手と、離れられない話です。


食事を終えて部屋に戻ると、ハルモンはすぐにまた机に向かった。


俺は、窓から外を見ていた。


「今日は、ここで寝るでしょ?」


俺は一瞬、躊躇した。


……断る理由はなかった。














しばらくすると、扉が叩かれる音がした。


「ハルモン様、お湯のご用意ができました」


「はーい」


扉が開き、女中が部屋に入ってきた。


部屋の隅にある戸を開くと、桶でお湯を運び始める。


「手伝おう」


「あら、ありがとうございます」


俺は、女中から桶を借りると、小部屋に置かれた木製のバスタブにお湯を運んだ。




女中は部屋から出ていき、バスタブに入れる香草や石鹸、体を拭くための布を準備してくれた。




「お湯が冷めましたらお呼びください」


そう言って、女中は部屋から出ていった。




静かな部屋に、またハルモンと二人きりになる。


ハルモンは椅子から立ち上がると、


「ライ君も一緒に入る?」


なんでもないような口ぶりで言う。


「いや、いい」


「お湯冷めちゃうよ」


「俺は後でいい」


「ふーん、そっか。じゃあ、先に入るね」


そう言うと、ハルモンはバスタブの置かれた部屋に入っていった。




しばらくすると、隣の小部屋からお湯の音が聞こえてくる。




桶で水をすくう音。


水が落ちる音。


桶の触れる音。




部屋が静かすぎて、それらの音がやけに鮮明に聞こえてくる。


聞かないようにしても、どうしても意識がそちらに向いてしまう。




(俺は、どうしてこんなに落ち着かないんだ…?)






しばらく耐えていると、小部屋の扉が開き、濡れた髪を布で拭きながらハルモンが出てきた。


お湯の温かさで、頬には少し赤みがさし、体に湯気をまとっている。


ゆるい部屋着の首元が緩み、首筋にはまだ水滴が残っている。




俺は、咄嗟に視線を逸らした。




「お待たせー。ライ君もどうぞ」


ハルモンに促され、俺は小部屋に入り、服を脱いだ。


湯が張られた大きな木の桶。


俺は、家でこういう風呂に入るのは初めてだった。


手を入れると、まだ暖かい。


湯に体を浸す。




(……薬の匂いが残っている)


(……落ち着かない)




理由は、分からなかった。















ここまで読んでいただきありがとうございます。


この関係がどう転ぶのか、見守っていただけると嬉しいです。


次回、『触れないまま』。

さっぱりした後は、あたりまえのように一緒に寝る。

ライは違和感を覚えながらも、断る理由もないからと受け入れる。

ただし、一緒に風呂に入るのだけは嫌らしい。

ハルモンの方は、看病生活でライにすっかりお世話されたこともあり、あんまり抵抗ないみたいですね。


よければブクマや評価、コメントなどいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ