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#4そういう関係

※理解できない相手と、離れられない話です。


ハルモンと一緒に、部屋へ戻った。


ハルモンはいつの間にか着替えていた。


ゆるいシャツ。

袖や襟元に、妙に布が多い。


「……それは、なんだ」


「部屋着だよ?」


「……そうか」


「変?」


「……いや」


本当は、判断がつかなかった。


視線が、もう一度だけ袖に向きかけて、止まる。

……やめた。


ハルモンは作業台に向かうと、紙に何かを書き始めた。


俺は、本棚の整理の続きをやることにした。


崩れた本を取り出し、上下をそろえて並べ直していく。






少しすると、部屋の扉が控えめにノックされた。


「お食事のご用意が整いました」


若い声だった。


ハルモンは机から顔も上げずに「はーい」と返事をする。


俺は立ち上がり、部屋の扉を開けた。


そこに立っていたのは、淡い色のエプロンをつけた若い女中だった。


年は十代後半くらいだろうか。


ぱっと見て、目が合った瞬間に分かる。


……よく喋りそうだ。


「あっ……」


女中は俺を見上げ、目を丸くする。


「……お客様、ですよね?」


一瞬だけ視線が上下に動く。


そのまま、ほんのわずかに、視線が止まった。


(……?)


違和感を覚えるほどでもない。


だが、なぜか少しだけ印象に残った。


それから、女中はにこっと笑った。


気がつくと、ハルモンがすぐ後ろまで来ていた。


「ハルモン様、お帰りなさいませ!」


「ただいま、ミア」


名前を呼ばれた女中――ミアは、ぱっと顔を明るくした。


「今回は長かったですね! 市場の方、どうでした? あ、でもまずはお食事ですね! 今日は温かいスープがありますよ!」


「それは嬉しいな」


ハルモンは軽く笑い、こちらを振り向く。


「行こっか」


まるで、最初から俺も含まれているかのような言い方だった。


ミアは廊下を先に歩きながら、ちらちらとこちらを振り返る。


「その……お客様は、ハルモン様の護衛の方、ですよね?」


「……ああ」


短く答えると、ミアは「ですよねぇ」と小声で言った。


「例の」


ミアが、ぽつりと呟く。


「……例の?」


思わず聞き返すと、ミアは慌てて両手を振る。


「い、いえ! なんでもないです!」


だが、顔が楽しそうだ。


食堂に入ると、長いテーブルの一角に二人分の食事が用意されていた。


俺が椅子を引くと、ハルモンは自然にそこへ座る。


俺も無言でハルモンの隣に座った。


ミアの目が、きらっと光る。


スープを置きながら、声を弾ませる。


「……お二人、仲がよろしいんですね!」


「普通だよ?」


ハルモンは首を傾げる。


俺はスープに視線を落とした。


ミアはくすっと笑うと、さっと一礼して下がっていった。








廊下に出た瞬間、小さく息を吸う。


(普通……?)


食堂の扉が閉まる。


中では、何事もないように二人が並んで食事を始めている。


ミアの中で、小さな確信が形になっていた。

















ここまで読んでいただきありがとうございます。


この関係がどう転ぶのか、見守っていただけると嬉しいです。


次回、『静かな違和』。

ライはまだ知りませんが、ハルモンの部屋の隣には小部屋があります。

そこにはバスタブが置かれていて、二人はようやく旅の汚れを落とします。

さっぱりして眠るのは、気持ちいいですよね。


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