#8近すぎる距離
※理解できない相手と、離れられない話です。
前の話が少し短めだったので、今日はもう一本更新します。
俺とハルモンは、なんとか日が落ちる前に次の街へ着いた。
しかし、時間が遅く、部屋の空きがなくなってしまっていた。
数軒あたってようやく空きを見つけたが、そこは夫婦で泊まる用の部屋だった。
しかし、このまま宿を確保できずにハルモンを野宿させるわけにはいかない。
自分が床に寝れば済む話だ。
その部屋で妥協することにした。
部屋に入ると、真ん中に二人で寝る用の大きめなベッドが置かれていた。
「ハルモン、俺が床で寝る。お前は病み上がりだからベッド使え」
「え?大丈夫だよ!」
そういうとハルモンは、ベッドの真ん中に持っていた荷物をドサっと置いた。
「これで問題なし!」
「……さすがに狭いだろう」
「そう?僕いつも薬道具に囲まれて寝てるからなー。むしろいつもより広いくらいだよ」
「そういう問題ではない…………はぁ……もういいよそれで」
俺は諦めて、共寝を受け入れることにした。
明かりの消えた暗い部屋で、俺はハルモンと同じベッドに横になっていた。
「ライ君、おやすみ」
「……おやすみ」
ハルモンは何度か寝返りした後、すぐに動かなくなった。
静かで整った寝息が、すぐ側から聞こえてくる。
ちらりとハルモンの方を見る。
閉じられた目を縁取る、長い睫毛。
窓から差す月明かりに照らされて、髪が白く光って見えた。
髪は枕の上に広がっており、思ったよりも近い。
寝返りを打って、ハルモンに背を向ける。
目を閉じるが、間に荷物があっても距離が近い。
なかなか寝付けなかった。
まだ外が明るくなりきらない早朝、俺は自分の腹に違和感を覚え、目を覚ました。
(……重い……?)
視線を移動させると、腹の上にハルモンの足が乗っかっていた。
「…………」
俺は、足を動かそうと手を伸ばしたが、起こしてしまうかもしれないと思い直し、手を引いた。
ハルモンは、相変わらず静かな寝息をたてている。
体温が、布越しに伝わってくる。
俺はハルモンの寝息と、足の重みと体温を感じつつ、そのまま目を閉じた。
目が覚めると、部屋の中はすっかり明るくなっていた。
「よく寝たー! ライ君が近くにいたら、なんだか安心してぐっすり寝れたよ」
「そうか……よかったな」
そう言うと、ライ君は欠伸をした。
ライ君は、なんだか少しだけ眠そうに見えた。
「……よかったらこれ飲む?『眠気が吹き飛ぶ薬』。眠気が一気に飛ぶよ」
ベッドに置かれた鞄から、包みを取り出して見せる。
ライ君は目を向けるが、「……いや、いらん」と断られてしまった。
「えー。元気になりすぎるくらいなのに。」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この関係がどう転ぶのか、見守っていただけると嬉しいです。
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