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#2名前の距離

※理解できない相手と、離れられない話です。


宿で食事を済ませると、俺とハルモンは次の街に向かって出発した。


次の街へは、朝からゆっくり歩いて昼前後には到着できる予定だ。


今日のハルモンは、やけに静かだ。


しばらく、無言で歩いた。







道の途中にちょうどいい大きさの切り株を見つけ、腰掛けて一休みしていた時、ハルモンが口を開いた。


「……昨日、店で君の名前を出したら騒ぎになったでしょ?だから、もうあまり外で名前を出さない方がいいと思ったんだ」


「……そうだな」


「それで……ライ君、ってのはどう?もう騎士じゃない、新しい君の名前」


「……俺は分かればいい。好きに呼べ」


俺がそう言うと、ハルモンはにこりと笑顔になった。


「ふふっ。じゃあ今日から君はライ君だね!あらためて、よろしくね」







休憩を終えて、また歩き出す。


ハルモンは、もういつも通りだった。


今日は、『会話が終わった後に“楽しかったかどうか”だけ分かる薬』を試しているらしい。


本人は「記録用」と言うが、楽しかったかどうかは本人に聞けばいいと思う。


「……あ、今のは楽しかったみたいだね」


「その報告はいらん……」
















街に到着したのは、昼を少し過ぎた頃だった。


ハルモンは、この街に泊まったことはないらしい。


いつも通過するだけだそうだ。


食事をして、今日も早めに宿で休むことにする。


「前はもっと歩けたのにな〜。すっかり体力落ちてる……」


部屋に入って早々ベッドに倒れ込んだハルモンは、そうぼやいた。


「だろうな。……だが、急ぐわけではないんだろう?ゆっくり戻していけばいい」


ハルモンは何も言わず、ベッドの上でころりと寝返りを打つ。


その直後、「あ!」と言って起き上がった。


「明日は『疲れにくくなる粉』を使ってみようかな?」


「やめておけ……。どうせ限界超えて、後で倒れるやつだろ」


「確かに、その可能性は高いね」


「……お前は、実験に全力すぎだ」


俺は、ずっとハルモンの話を聞いているうちに、いつの間にかハルモンの薬の傾向を読めるようになっていた。

















僕は、鞄の中から薬道具を取り出してテーブルに広げ、作業していた。


昨日、ライ君が疲労回復薬を飲んでしまったので、新しいものを作るつもりだ。


配合バランスを調整し、完成した試作品を瓶に入れる。


「あれは回復効果は高かったけど、情動依存の副作用が強すぎた。配合のバランスがなかなか難しいね……」


すると、ライ君はギョッとした顔をした。


「お前……またアレを作ってるのか……!?」


「同じではないよ!ちゃんと改良してる。だから、今度は安心して飲んでね」


「飲めるか」


ライ君はこちらに歩いてくると、机の上の瓶を手に取った。


「自分で飲め」


「え、むぐ……うわ、苦っ!」

















次の日の朝、鍛錬を終えて一休みしていると、ようやくハルモンが目を覚ました。


「起きたか。……効き目はどうだった」


ハルモンは、まだ少し眠そうにしている。


「ん〜、良くも悪くも……。さらなる改良が必要だね」


「まだ作り続ける気か」














ここまで読んでいただきありがとうございます。

この関係がどう転ぶのか、見守っていただけると嬉しいです。

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