表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

学園という舞台と最初の歪み

魔法学園。


王都から離れたこの場所は、貴族と才能だけがすべてを決める世界だ。


(ここが分岐点、か)


私はカテリーナとしてここにいる。


王女モルガンであることは隠したまま。


「次、魔力測定」


教師の声が響く。


一瞬で空気が張り詰めた。


手を装置に置く。


その瞬間――


「……は?」


測定器が異常な数値を弾き出した。


「おい……これ壊れてないか?」


ざわつく教員たち。


視線が一斉に集まる。


(やっぱり抑えきれない)


「次、攻撃魔法」


空気が変わる。


本試験に入った合図だった。


的が設置される。


(ここは抑える)


「――火よ」


小さな火球。


最低限の出力。


だが次の瞬間、的は消失した。


後方の壁まで焦げ跡が走る。


「……今の、学生の魔法か?」


(やりすぎた)


ざわめきの中、教師が手を上げる。


「以上で本日の試験は終了する。各自解散」


その一言で、張り詰めていた空気がほどけた。


生徒たちはそれぞれ教室へ戻っていく。


私は廊下へ出た。


(……終わったか)


ようやく呼吸が落ち着く。


「ねえ」


振り向く。


金髪の少女が立っていた。


「私、レン・バートル。よろしく」


(この子はこのゲームの主人公。女の子だったんだな。)


「カテリーナ」


短く答える。


「さっきの魔法、すごかったね!」


その目には恐怖がない。ただ純粋な感想だけ。


(危なっかしいくらいだ)


「随分と目立ちますのね」


冷たい声。


振り向くと貴族の少女。


「ヴェルサイユ・コーネリア」


とレンが名前を言う


(ああ、こいつか…なんかゲームやってる時に出てきた悪役令嬢ってやつだな。)


「平民風情が、随分と騒がしいこと」


明確な敵意。


それだけ言って去っていく。


(面倒なのに目をつけられた)


その後数日は、何事もなく過ぎた。


授業、寮生活、魔法演習。


レンとも時折話すようになり、距離は少しずつ縮まっていった。


(……普通の学園生活、か)


そう錯覚できる程度には平穏だった。



ある日の夜。


王都からの報せが届く。


「レン・バートルが帰宅途中に行方不明」


その一文だけが、異様に重かった。


(……は?)


思考が一瞬止まる。


静かだった世界が、音を失う。


(まだ終わってない)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ