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目覚めたら“国を滅ぼした王女”になっていた

――目を覚ました瞬間、俺は理解した。


 「あ、これ俺死ぬやつだ」


「王女様。朝でございます」


 知らない声。知らない天井。


 そして――やけに重い身体。


 ゆっくりと起き上がり、自分の手を見る。


 白く、細く、明らかに“男じゃない”手だった。


「……は?」


 嫌な予感がして、鏡の前に立つ。


 そこに映っていたのは――


 長い白髪に、透き通るような肌。

 冷たい蒼い瞳。そして、明らかに女の身体。


 どこからどう見ても“美少女”だった。


 ――いや、違う。


 俺はこの顔を知っている。


「……モルガン……?」


 口から名前が漏れた瞬間、背筋が凍った。


 モルガン・ユ・ユースフォード。


 俺がやり込んでいたゲーム

『憂国のユースフォード』に登場するキャラ。


 そして――


 最終的に“世界に戦争を仕掛ける悪逆王女”だ。


「……転生、したのかよ……」


 笑えない。


 笑える要素が一つもない。


 なぜなら――


 このキャラの結末を、俺は知っている。


 王を殺し、王妃を殺し、世界に宣戦布告。

 そして最後は、祝宴の最中に毒殺されて終わる。


 つまり。


「……確定で死ぬじゃねぇか」


 思わず呟いたその瞬間。


 ――頭に、映像が流れ込んできた。


 焼けた匂い。

 崩れた街。

 逃げ惑う人間。


 そしてそれを見下ろしながら、


 楽しそうに笑う“自分”。


「っ……!」


 吐き気が込み上げる。


 膝をつき、床を掴む。


 今のは……記憶か?


 そうだ。


 これは“この身体”の記憶だ。


 モルガンは、すでにやっている。


 ――国一つ、消し飛ばしている。


「ふざけんなよ……」


 こんなの、ただの悪役じゃない。


 完全にラスボス側だ。


「王女様!?大丈夫ですか!?」


 メイドが駆け寄ってくる。


 だが、そんなことどうでもいい。


 問題は一つ。


 このままだと――


「……俺も、同じように死ぬ」


 毒殺。


 回避不能のバッドエンド。


 理由は簡単だ。


 モルガンは“やりすぎる”。


 敵を作りすぎて、最後に殺される。


 だったら答えは一つだ。


「……なら、そのルートに入らなきゃいい」


 王になるな。

 戦争も起こすな。

 そもそも目立つな。


 そして――


「王宮にいなければいい」


 そう考えた瞬間、道は決まった。



「お父様。お願いがあります」


 玉座の前で頭を下げる。


 国王がわずかに目を見開いた。


「……お前が願い事とは珍しいな。言ってみろ」


「私を――魔法学園に通わせてください」


 周囲がざわつく。


 当然だ。


 モルガンは天才だ。学ぶ必要なんてない。


 だが、そんなことはどうでもいい。


 重要なのは――


 ここから離れること。


 王宮にいれば、いずれ破滅ルートに乗る。


 だから外に出る。


 運命から逃げるために。


「……理由は?」


「王女として、外の世界を知りたいのです」


 嘘だ。


 だが、この身体が“それっぽい答え”を選んだ。


 しばらくの沈黙の後、国王は口を開く。


「……いいだろう。許可する」


「本当ですか!?」


「ただし条件がある」


 きた。


「王族であることは隠せ。そして力を無闇に使うな。何かあればすぐ戻れ」


 ――優しすぎる。


 こんな人を殺す未来とか、正気じゃない。


「……分かりました」


 頭を下げる。


 そして心の中で呟いた。


 絶対に、この結末は変えてやる。



 こうして。


 “世界を滅ぼす悪逆王女”の――


 死亡ルート回避が始まった。


ヴィレェェェェェ(破壊光線)

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