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自称ミリオタで内閣参与?で60歳の佐藤俊夫はコレクションを死守した

アメリカ人は、通路ではスモールトークから始めるようだ。

「貴方の動画全部拝見しました、ジェニファー大佐の若い頃も観ましたよ」


「そう言えば、向こうの世界の貴方も、たしか動画に撮ってあった様な気が......」

「そうですか......、次の新作には、ぜひ登場させてくださいね」


「こちらへどうぞ」

スタジオとは別の士官室へ案内された。


「で、直接しか話せない話とは?」

「総理はどこまで聞いていますか?北の国での事について」


「工作員が謎のウイルス兵器を持ちだして近隣の西側各国へばらまくつもりだと」

「そして、韓国、台湾は阻止できたが、日本へは何組か取りこぼしが出たと」


「まあ、そうですね。その前段階の話は?」

「そこは聞いてませんが」


「我々の武装偵察チームが、弾道ミサイルへのウイルス搭載を直前で阻止しました。しかし、その際の戦闘で負傷した隊員の一人が感染していたのです」

「負傷自体は軽い物でしたが、念の為本国へ移送して基地の医療機関に入院、そこで治療中に発症しました」


「即座にその区画は封鎖、隔離しましたが、危うく国内に危機を持ち込んだとして、この事が議会で問題になってしまったのです」

「それはわかります」


「それで、同盟国ではありますが、在日米軍以外の支援が出来なくなってしまったのです」

「つまり、本国は亀のように防備を固めたって事?」

「そう言う事です」


「お前たちはお前達で何とかしろと、我々在日米軍も当面本国に帰れなくなってしまいましたから、言い方はアレですけど見放されたようなものです」

「そうですね、ほんの少しでも国内へ侵入されたら大変な事になりそうですもんね」


「当然この話は外に出せません。しかも中の国の動きが静か過ぎるのです」

「日米の同盟関係にほんの少しでも違和感が出来たと思われたら、中の国は即座に与那国の先を取る為に軍事行動に出ると予想されます」


「わかりました。その件は私と佐藤さん、それに防衛大臣の三人だけの話としましょう」

「佐藤さんもそのつもりでお願いしますね」

「すべて恙無く了解しました」


「我々在日米軍は、日本近海、第一・第二列島線周辺の海域に出て、中の国の警戒に当たるよう命令を受けました」


「これは、武装した米軍兵士が日本国内で軍事行動を取るわけにはいかないからです。ですが、オキナワならば、多くの基地もありますし、多少行動しても違和感は無いでしょう」


「それはありがたいです。なんせ自衛隊は守る範囲の割に人手不足なものですから......、沖縄本島周辺はよろしくお願いします」

「幸い、九州方面は防げた様ですので、沖縄本島の先、先島諸島周辺の島嶼防衛のため、水陸機動団を送りだし、脅威に備えます」


「我々も、本国からの人的支援を受けられなくなり、局所的な協力しか出来ず申し訳ございません」

「お互い人手不足には悩まされますね」


「そして、佐藤さん。貴方に伺いたい事がありまして......」

「はい、なんでしょう?」


「太平洋を日本に向かって進んで来たヨットに心当たりはありませんか?」

「たまたま監視衛星が捉えたんですが、180度線あたりから急に現れたヨットがウェーク島で転進して小笠原方面に向かってるんです」


「どんなヨットでしたか?」

「衛星から確認する限り、ごく普通のヨットでした」

「普通じゃない点は、180度線以前の姿が確認できないのです」


「せいぜい5ノットくらいで走ってる船ですから映ってないのが不自然なのです」

「佐藤さんもあの辺りから現れたんですよね?」


「まあそうなりますね、でも心当たりは無いです。もしかして、米軍の秘密研究所で180度線あたりを通る際に何か起こる装置でも開発したんじゃないですか?」


「あはは、それはジョークですか?そんなローティーン病患者が喜んで読む小説のような装置は、我がアメリカでも開発できません!」

「それはまぁそうですよね、あはは」


「そ、そんな装置があるなら是非!」

(高橋総理は話の流れから若返りの装置だと勘違いして急激に反応しだした)


「え? 総理、何の話をしてるんです?」

(総理……そっちじゃないです)


「いえ、何でもないですわ。おほほほ」


「それで、あと十日程度で小笠原周辺の日本のEEZ内に入ります」

「コミュニケーションが取れて問題がなければ横須賀にご招待です」


「取れなければ?」

「ブルーマーリンが太るだけですね」


「じゃあ、私が横須賀に辿り着くまで何事も無かったのは?」

「それが普通ですね、今回フラグが立ったのは偶然です」


「一番近いアーレイバーク級駆逐艦が確認の為に向かっています」

「イージス艦がですか?」


「まあ私の同期の女性艦長です、階級も同じ中佐ですね」

「女性の艦長ですか」

「男でも優秀じゃなければなれませんよ」


「USS Voyagerの艦長、キャスリン・“ケイト”・ホーニマン中佐」

「海軍の中では結構有名ですよ」


「あ、彼女もジェニファー大佐の部下で、可愛がってもらってましたね、超優秀なので」

「はぁ、どこかで聞いたことがありそうな艦名と艦長の名前ですね」


「はい、よく言われてますよ、本人は喜んで受け入れてますけど」

「話が合いそうな気がしてきました!でへへ」


「では今日はこの辺で。この話の内容はくれぐれも内密に、指示だけ出しておいて頂けるとありがたいです」

「私はこの後、横田の総司令部に報告を入れて、このまま”観戦武官”として残ります」

「すべて了解しました。沖縄本島は宜しくお願いします」


在日米軍の立場と、行動指針の擦り合わせを済ませてこの場は解散となった。

(高橋総理はほんの少しだけ寂しそうだった)

(決して”装置”が無かったからではない!と思う)


秘密の会談後、総理とふたりだけになった佐藤俊夫は覚悟を決めて話しかけてみた。

「あのう、お願いしたい事があるのですが......」

「はい、なんでしょう?」


「実は、ここまで逃げて来る間、少々武器を所持し、しかも使用してしまいまして......」

「民間人ですから銃刀法に抵触するとまずいですよね?」


「たしかに民間人としてはまずいわね」

「防衛省との間ではどういう扱いになってたの?」


「持ち込んだ銃器類はあの”ヤマモト食品”で管理保管して、私が希望すればいつでも手に取って見たりは出来るという話でした」

「脱出してヨットに向かう時に、あのメンバーの武装がハンドガンのみだったので、私のコレクションを貸し出した形にして貰ってます」


「その際、私や家族も形だけ武装しました」

「せめて家族は緊急避難扱いで、逮捕しないで頂けると嬉しいです」

「まあ、そう言う状況だったなら御家族は無罪とするように法務大臣に話を通しておきましょう」


「しかし、貴方は別です!島流しの刑に処します!」

「ひぃっ、お、お代官様~何卒ご慈悲を......」


「当分はお台場で内閣参与の刑です!そして、銃の所持は内閣参与なら銃の携帯も認められています!」

「内閣参与って話はマジだったんですね、ですが、銃の携帯は認められるって本当ですかあ~?」

「言ってみただけです!あはは」


「貴方のコレクションは今後も佐藤さん!貴方の物で構いませんし、特別に携行も緊急避難として認めます!」

「ありがとうございます」


佐藤俊夫はホッとしたように腰の後ろのホルスターからL9A1を取り出してテーブルの上に置いた。

「いやあ、いつ話そうか迷ってたんですよ、よかった~あはは」

「道理で椅子に座っている時、やたらモゾモゾしてたのね!」

「あはは、すみません」


「これはブローニングハイパワーっていうオールドスクールなカッコイイ銃なんです!それで......」

「はいはい、解ったから仕舞って頂戴」


「銃のコレクションが大好きって資料に書いてあったけど、本当に好きなのね!」

「はい、自称ミリオタで内閣参与?で六十歳の佐藤俊夫です!はい」

(いつもながら待遇をもぎ取るところは神懸っている佐藤俊夫だった)

お読み頂きありがとうございました!

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次回も、生き残れたらまたお会いしましょう

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