佐藤俊夫(60歳、自称ミリオタで内閣参与?)顔出しでYouTube 登場!高橋さなえ総理も出るよ
佐藤俊夫はノートPCに表示されているコメント欄を総理に向けた
「総理、これ読んでください」
「……これって」
「そうです、最新の動画は、昨日押収品の返却を受けてる最中にゾンビが現れまして、そこから脱出する際の動画を簡単に纏めてアップした動画ですね」
「それよりも前のコメントで、視聴者さんたちは俺の動画を参考に建物に避難していた事がわかると思います」
「続けてください」
「だから思ったよりゾンビによる被害が少なかったのだと思います」
「国民はすでに対応策をあなたの動画で知っていて、それをもとに行動した結果感染を免れていたと?」
「まあ、そんな感じですかね~」
「少しはお役に立てたかなと、少々自惚れてます。えへへ」
「佐藤さん!それは少しどころじゃないです!」
「テレビ局が確保できるまで、あなたのチャンネルで国民に情報を流して広く知らせましょう!」
「え、マジで言ってます?」
「内閣公式チャンネルは、今現在、管理出来る者がここにはいません」
「はぁ、そういう事でしたらお手伝いさせて頂きます!」
「何と言っても内閣参与?ですもんね」
「そうです!私が任命した内閣参与ですから!」
「それではコメント欄に緊急ライブの告知を出しますね」
「Xの公式アカウントなら私がポストできます!」
近くで話を聞いていた内閣広報本部長の鈴木たかえが答えた。
「じゃあ、そこでも私のYouTubeチャンネルでの緊急ライブの告知をしていただけると?」
「たかちゃん、お願いできる?」
「はい、そのように告知して、緊急ライブの準備も任せてください!」
こうして艦内の士官用の一部屋がスタジオへと変わった。
「初めまして、私がこのチャンネルを運営しておりますソルティシュガーと申します」
佐藤俊夫は緊張しながらカメラに向かって一礼した。
「みなさん、チャンネル主がこんな年寄りでびっくりされた事とおもいますが、本人です」
「そして、本日緊急ライブとして高橋さなえ内閣総理大臣に来て頂いております。どうぞ」
「高橋さなえでございます」
「今回、国民の皆様に向け、この騒動の状況をリアルタイムで報告させていただく為にこのチャンネルを利用させて頂く運びとなりました」
「昨日午前に発生いたしました、いわゆるゾンビ騒動は品川駅前から始まりました。この原因は、某国の工作員によって拡散された謎のウイルスによるモノであると判明いたしております。
これは、米軍からの情報と検証によって確定されたものです。
政府としては、米軍からの警報が出された時点で半信半疑でしたが、まずは国民の皆様の安全を優先し、警察、防衛省の協力体制を整えている最中に事が起こってしまい、後手に回ってしまった事は否めません。
ですが、先般の記者会見でも申しましたが、どう建物から出ることなく、ご自宅や、避難先の建物にて立て籠り、救出の手が届くまでどうか耐えて頂きたく思っています。必ず救助に参ります」
高橋総理は深々と頭を下げた。
「それでは、なぜ、私ソルティがここで、高橋総理と一緒にライブをしているのかを話したいと思います。どうか、視聴者のみなさんは、納得いかなくても最後までお聞き頂くことを願っています」
「私は今年の七月初旬、この日本をヨットで出発し、アメリカ西海岸を目指していました。ヨットは順調に東へ進んで日付変更線を超えた翌日、六十歳だった私は、なぜか三十歳に若返っていたのです」
「そして、短波放送で聞いたのは、1996年だと言うことだったのです」
佐藤俊夫は激しく流れ去るコメントが落ち着くのを待って続けた。
「そして、それが本当の事なのか、一番近いハワイに行って確かめようと思ったのです」
「オアフ島に着き、ワイキキの高級ホテルでランチを食べていました」
「三十年前に行ったワイキキは、何もかも1996年当時のままでした」
「そのランチの途中でゾンビが現れたのです」
「もちろん逃げました。ワイキキを逃げ回り、飛び込んだお店で立て籠って一夜を明かし、運河まで逃げ、放置されていた長いサーフボードに乗ってマリーナまで下り、自分のヨットに帰り着いたのです」
「そのマリーナの岸壁にはゾンビが溢れてましたが、幸い桟橋の入口には扉が付いていて、岸壁とは隔離されていたのです」
「そこでゾンビの習性?行動パターンを見つけました」
「ゾンビには知性がありません、目の前に人間が居ればどこまでも追ってきます」
「岸壁で私を見つけたゾンビは躊躇うことなく近づいてきました」
「そして、私に辿り着く事無く海へ落ちていったのです」
「これは私のチャンネルにアップしてある動画でも確認できると思います」
「逃げている時にも、決して走ることは無かったです、しかし、囲まれたらさすがに不味いとは、本能的に感じていました」
「この習性がわかった時、ゾンビに対する過度な恐怖心は無くなりました」
「音にも注意が必要です、不自然な音には非常に敏感です」
「これらの事から、逃げる際には決して音を立てず、囲まれず、水に飛び込めば追ってこられない、痛みを感じませんので、倒す際には頭を攻撃するしかありませんが、民間人のみなさんは、逃げる事に専念して頂けたらと思っています」
流れていたコメントもすでに止まっていた。
昨日まで生成AIで作られた動画として楽しんでいたソルのチャンネルが現実の体験を撮影し、編集したマジモンだと、改めて全世界に知れ渡った瞬間だった。
『高橋総理は信じたんですか?』
恐る恐るコメントが流れて来た。
「はい、やはり最初は信じられませんでした。それで、一度御本人と会ってみたいと思い、秘密裏にお会いする機会を設けて頂いて一晩中お話を聞かせて頂いたんです。それはもう信じるしかありませんでした」
「それで、いわゆる対処法ですが、詳しくは私の動画を見て頂ければ解ると思います。これは決してチャンネルの宣伝ではありませんです」
『宣伝でも何でも良いです!そのおかげで私と家族は助かりました!』
その後もソルティに対する好意的なメッセージが流れ続けたが......
『なぜ早くこの事実を公表して騒動を未然に防がなかったのですか!』
それは誰しもが思うであろう問い掛けだったが、その答えは誰にも答えられないものだった。
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次回も、生き残れたらまたお会いしましょう




