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自称ミリオタはいつも通りだ

皇居からいずもへ移った高橋総理は、艦長に乗艦の許可を求めた。

「艦長、これより私と官房長官ほか数名を乗艦させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」

「乗艦を許可します」


「護衛艦いずもは、すぐにでもお使い頂けるよう準備は完了しております」

「よろしくお願いしますね、艦長」


「早速ですが、緊急対応手順は理解しましたか?」

「開封命令により対応手順書を見たのが、SNSなどから衝撃的な映像を観た直後でしたので、すぐに納得出来ました」


「前日にこの命令書を開封していたら、おそらく悪い冗談くらいに受け取ったとしても不思議じゃなかったです」

「だから、最初の発症事例が出なければ命令が出せなかったの。その点はお詫びするしか無いわね」


「米軍からの警報で、"おおすみ"と、"ようこう"の二隻が呉から回航されてきた時は、ただ事ではない状況だと覚悟はしておりました」

「今夜は作戦の細かい擦り合わせを行い、明朝"おおすみ"からLCACが96式と特戦を乗せて出撃し、東京湾人工島切り離し作戦に取り掛かります」


「まずはレインボーブリッジを封鎖して、お台場の掃討ですね」

「あのテレビ局が確保出来たら臨時の首相官邸を開いて、国民に向けて早期に放送を始めたいの」

「まだ日本は生きている!立て籠もっていれば必ず救出されると!」


高橋総理は艦長から刻一刻と変わる最新の報告を聞きながら、臨時政府指揮所として作戦室に案内された。

その作戦室には、壁面モニターや大型ディスプレイに東京湾の地図や各部隊の状況が表示され、それぞれに担当官が付いて忙しく操作していた


ウエルドック近くのブリーフィングルームでは習志野から招集した特戦の隊員達がレインボーブリッジやその他の橋梁の封鎖とお台場に入り込んだゾンビの掃討戦の手順を確認していた。


あらかた状況を確認し終え、みなコーヒーで一息ついていた所へ市ヶ谷から至急電が入った。

「二佐、これを」

「......そうか、これなら」


「どうしたの?市ヶ谷からなんて?」

総理が通信担当官にたずねた。


「はい、例の重要保護対象者の佐藤さんから、提案があったそうです」

「若返りの佐藤さんね、どんな提案?」


「橋の封鎖には、埠頭に放置されている空のコンテナを、ヘリで吊り下げて橋の中央付近に斜めに塞ぐ形で降ろせば、簡単に封鎖出来ると」


「ゾンビがすり抜けられない様に、隙間を塞げば侵入は不可能になると」

「さらに、斜めに置いた場合、欄干を破壊しておけば、ゾンビが押し寄せて来ても勝手に海へ落ちていくとの事です」


「......」

全員無言でその内容を咀嚼していた。

そして、それを飲み込めたものから声が上がった。


「これはいける!」

「チヌークをかき集めろ!」

「20ftコンテナならブラックホークでもいける!」

即座に作戦の詳細の詰めに入って行った。


コンテナでの封鎖が完了すれば、監視はごく少数で済む。

人員不足に悩む自衛隊にとって、これこそがこの作戦の最大の利点であることに、その場の全員が気が付いたのだ。


「さすがは経験者よね!目の付け所がシャ...違うわね」

「官房長官!佐藤さんを内閣参与として迎えられないかしら?」


高橋さなえ総理が超高速スライダーを投げ込んで来た。

「参与ですか......そうですね、非常時ですから良いんじゃないでしょうか」


「明日朝ヘリで迎えに行ってくれる?」

「はい、そのように手配いたします」

そして、佐藤俊夫は内閣参与という名目で強制連行されることが決まった。


その頃、福井県の敦賀に上陸した工作員が大阪を目指して移動し、残る最後の工作員は山口県萩市近郊の海岸から上陸を果たし、博多を目指していた。


振り切られた米軍の追跡チームからの情報で、予想上陸地点を捜索していた陸自の秘匿実戦部隊・追跡殲滅班はヘリで急行したが間に合わず、上陸地点に放置された工作船を発見し、目標を大阪、博多と定め、追跡を始めた。


この情報は、即座に市ヶ谷及び、いずもの臨時司令部と共有された。

追跡班の指揮命令は市ヶ谷に一任し、いずもは東京に専念するようだ。

翌朝、日の出と共におおすみから二隻のLCACが発進していった。


いずもからは接岸している国際ターミナルに陸自の戦闘部隊が降り立った。

半数以上はテレビ局の確保、残りは海の森公園と令和島の確保に動き出した。


慌ただしいヘリの発着作業の合間に、一機のUH60ブラックホークが夢の島から最重要人物を攫ってきた。


「これが護衛艦いずもですかぁ......大きいなあ」

「かがは艦首が改修されて四角くなってましたが、いずもはまだ改修前だったんですね」

「あはは、そうですね、改修前でもヘリの運用に不都合は無いですよ」


「そろそろ着艦します」

「あ、はい、了解です」

迎えに来たUH60は、あっさりと着艦して見せた。


出迎えた一等海尉が指揮所まで案内してくれた。

「おはようございます」

佐藤俊夫は民間人なのでこんなもんである。


「佐藤さん、乗艦を許可致します」

「あ、そうでした!改めて、艦長!乗艦の許可を!」

「はい、それでは、佐藤さん、乗艦を許可致します」


「えへへ、なんか良いですねえ。この遣り取りを一度やってみたかったんです」

「ハワイでは軍艦に乗せてもらった事は無かったので、感激です」


「あ、高橋総理もお元気でしたか?どうもお招き頂きましてありがとうございます」

「やっと解放されたところをお呼び立てしてしまい、申し訳ございません」

総理は深々と頭を下げた。


「いえいえ、私は高橋総理のファンですから、なんなりとお申し付けください!でへへ」

「ところで佐藤さん、昨夜、コンテナを利用して橋を遮断する提案なのですが、あれから検討を重ねた結果......」


「はあ、あれくらい既に考えてましたよね、素人が変に口出ししてすみません」

「いえ、そうではなく、検討した結果、全員一致して採用させて頂きました」

「ふぇっ?」


「正式な作戦として採用し、日の出と共に既に実行しています」

「そ、そうなんですね、お役に立てたなら良かったです」

「使える物が転がってるなら、使わないとですもんね!」


「ヘリでぶら下げて落とすだけですから簡単で経費が掛からず、人も少なくて済むのでお得な作戦ですよね!あはは」

「そのお得な作戦を思い付けなかったんです......」

「はぁ......」


「それで、私のそばで直接アドバイスを頂けないかと思い、内閣参与として攫ってきてしまいましたの!オホホ」

「あははは......?え、内閣参与って、マジだったの?」

「はい、マジです、逃がしませんよ、うふふふ」


佐藤俊夫はYouTube動画の編集と投稿をどうしたものか悩むのだった。

お読み頂きありがとうございました!

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次回も、生き残れたらまたお会いしましょう

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