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そろそろ帰り支度を......

現役の日本国内閣総理大臣の登場に佐藤俊夫は焦っていた。

「あ、初めまして、佐藤俊夫です」

『サナエあれば憂いなし』の、アノ総理ですよね!


「赤いポスター欲しかったです!」

「握手して頂いても......」

「衆院選の時の応援演説、見に行っちゃいましたよ、あはは」


「ど、どうもありがとうございます......」

吹き出しそうな官房長官がソファーを勧めた


「どうぞ、こちらに掛けてください」

「あ、どうも」


「それでですね、過去へ行って、戻って来られたとか?」

「まあ、そうですね。ヨットに乗って日付変更線を越えたあたりで1996年になってまして、私自身も30歳くらいになってました」


「それはもうびっくりしました。肌も若返って皺も無くなって」

「そ、それで?」

(総理の食い付き具合に回りは気付いたがスルーした)


「いえ、それで痛かった腰の具合も良くなってて」

「ほうほう」


「体力も全盛期にもどってましたね」

「ん、ん」ウラヤマシイ......


総理は無意識に右手を擦りながら聞いていた。

「それで、なんとかゾンビ溢れるハワイを切り抜けられたんです!」フンスッ

(佐藤俊夫の鼻の穴は広がりっぱなしだった)


「で、日本に戻る事になって日付変更線を反対方向へ超えたわけです」

「そうしたら、次の日にもとに戻っちゃってたわけなんですよ」


「びっくりするやらうれしくなったりするやらガッカリするやらで、混乱の極致でしたね」

「そうねえ、ガッカリもするわよね......」


「総理、そろそろ」

「あら、いけない。外がもう明るくなってきてるわね」


「是非また聞かせて頂けるかしら?」

「はい、いつでもお呼びください!」


「あ、宜しければ、赤いポスターにサインとかして頂ければ嬉しいのですが......」

「あははは、そんなモノいくらでも書くわよ!」


「なんだか話を聞いただけで力が漲ってきたように感じるわ!」

「少しは若返ったのかしら!フフフ」


佐藤俊夫は、出入り業者風のプロボックスに乗って別の班のセーフハウスへ送り届けられた。


「え、この会議が終わったら釈放じゃなかったんですか?」

「今、米軍に押収されているモノすべて引き取りに回ってるんですよ」


「横須賀にも残ってたらしいですし」

「肝心のあなたのヨットもこちらに回航してくる予定です」


「すべて揃ったら、確認して頂いて引き渡し」

「それで、お帰り頂けます」


「念の為、しばらくの間は我々が護衛に着くよう命令を受けております」

どこもお役所仕事は大変なんだなあと思う、佐藤俊夫だった。


その頃、横田ではこの情報を本国へ送った。

監視が途切れた事もあり、重要案件として関係部署を駆け回った。


また、その対処法は各国の大使館、海外基地を含む軍の施設でも共有されていった。

日本国内では、その扱いがかなり難しかった。


北の国がなにやら危なそうな事を企んでる等など、とても口に出来ない。

ましてや、過去へ飛んだ人間が戻って来たとは言えるはずもない。


対処法は知っていても周知させる理由が必要なのだ。

しかもどこから漏れるか判らない、スパイ天国である。


迂闊なことを口走れば、国会が持たない。

それほど困った野党なのだ。


それでも高橋総理は頑張れた。

その理由を知る者は、防衛大臣、官房長官、防衛省から派遣されていた、とある部隊の三名の、合計五名だけである。


墓まで持って行かねば!

その五人は心に誓っていた。


防衛省では、密かに命令指示書が作成されていた。

これは、市ヶ谷から全国にある基地、駐屯地、関連施設あてに、暗号通信で開封命令が発令された場合のみ開封できる機密文書である。


そこには、とあるウイルスに感染した者は凶暴化する恐れあり。

その場合の適切な対処法についてであった。


一等陸佐はこの文書を確認して頂くために、人目を忍んで官邸までやって来た。

「いいわね、これ」


「この文書を自衛隊関連のすべての施設に配布します」

「これ、全国の各警察でも利用できる?」

「そこまでは......」


「警察庁ね」

「官房長官を呼んで」

インターホンに呼び掛けた。


「なにか?」

「この機密文書ね」

「これを全国の警察本部に預けたいのよね」


「暗号通信の開封命令が発令された場合のみ開封できるように」

「それまでは絶対に開封してはならない!って感じで」


「警察庁にこの話できる?」

「内容は聞くなと?」


「まあそうなりそうね」

「......」


「そうね、たとえば、「未知のウイルスによるパンデミック時の緊急対応手順」とかどうかしら?嘘はついてないわよね!どう?」


「何年か前の時に初動で慌てて大変な事になったわよね?」

「ではそのように進めます」


「急ぎよ!」

「はい、直ちに」

「ふぅ、ひとつ片付いたわ」


「野党対応に頭を痛めてたのよね」

「それから、佐藤さんね。警護計画は?」


「常時二名、三班で六名が二十四時間近接で警護にあたります」

「ん~、少ないわね。常時五名は要るんじゃない?」


「はぁ、そのように致します」

「よろしくね!」


「また準備が一週間伸びたな......」

一等陸佐はレクサスに乗り込みながら呟いた。


その場で、課長、主任に電話で人数の変更を伝え、更に市ヶ谷へ機密文書の増刷(各警察本部向け)を依頼した。


文書が出来上がると、全自衛隊施設へ送られ、厳重に金庫に保管された。

各警察本部にも同様に送られ、金庫に保管されている。


そうこうしている内に、佐藤俊夫の解放が近づいて来た。

「明後日には家に帰っても良いそうだ」


「押収品もすべて揃うだろう」

「ぜんぶ持って帰れるのか?かなりの量だったけど」


「いやあ、どうでしょう。あはは」

「でも、銃はダメだぞ」


「それは......まあそうですよね。はぁ」

「こっちでちゃんとメンテしておいてやるし、見たい時にはいつでも見せてやるからそれで我慢してくれ」


「メンテナンスは有難いですね」

「これ以外は撃った事無いですけどね」

MP5SD6を取り上げた。


「持つくらい良いですよね?」

「まあそれくらいはな。本来はダメだけど」


「じゃあ、家族にハイエースでも借りて来てもらいます」

「......」


「だから、来てもらうんです......」

「それが良いかもな」


「じゃなくて、スマホだけでも返してくださいよ」

「あはは、そうだったな。どこにも連絡できないんだったな」


「ほら、充電は切れてるかもだけどな」

「ありがとうございます」

ご視聴(ご愛読)ありがとうございました!

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コメント欄の質問には、次の動画(本文)で答えるかもしれません。

次回も、生き残れたらまたお会いしましょう。


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