最終兵器セーラームーンを手に入れた!
その頃、ハワイ島では、ポハクロア演習場で司令部移設作業が終盤を迎えていた。
そこへ一台のハンビーが東から走って来た。
彼らは、ここからヒロ方面へ派遣されていた部隊の生き残りだった。
その知らせは、HF無線により、ワイメア仮設本部、フォード島の司令部やカネオヘの海兵隊基地へも、同時に届いていた。
「発生当時、州兵や警察がヒロの街へ繋がる道路の封鎖に動きました。しかし南部、11号線のケアアウまで押し込まれたところへ我々派遣部隊が合流。支えようとしましたが、人員が足りず崩壊しました」
「さらに後方へ下がり、11号線のパホア北で、ようやく阻止線の構築に成功。それ以南をグリーンゾーンとしております」
「その後、西方のボルケーノ方面を掃討できたため、今回、北上してポハクロア演習場へ報告に戻ることができました」
「現在、生存者は約六千名です」
「地熱発電所が無事でしたので、電力は生きています。しかし、通信は途絶したままです」
報告し終えた頃、ワイメアで、帰還の第一報を聞いたコバヤシ中佐がハンビーで駆け戻って来た。
「よく無事に戻って来た!」
「良かった、良かった......」
コバヤシ中佐は全員の手を握りながら何度も頷いた。
フォード島司令部では、作戦室で上級幹部たちがその報告を噛み締めていた。
「六千人が......」
「はい」
「それだけの人数を?」
「PGVが生きています」
海兵隊基地でも。
「ハワイ島南東部に六千人規模の生存圏がある」
「そうか、そうか......」
その場にいたジョンも聞いた。
ブラボーチームも聞いた。
「ヒロの街までは近づけなかったからなぁ......」
「その向こう側だもんなあ」
「ボルケーノから回り込んで帰還したらしいぜ」
「六千からの民間人を守り切ったんだとよ......」
「陸軍にもすげえ奴らがいるもんだ!」
この知らせは、アマチュア無線(HF無線)でのやり取りだったので、ハワイ諸島の他の島々でも受信した者が多くいた。
その者たちに希望の灯がともった瞬間だった。
さらに、いまだ、太平洋上で生き残っていた船舶にも届いたのだ。
「ハワイに行けば助かるかもしれない......」
感染を免れた小さな島々を転々とし、何とか生きていた船舶の乗員、乗客たちは残り僅かな燃料を見ながら目指せるものは皆、ハワイを目指した。
その頃ソルは、自分の2026年製のノートPCをどうにかこちらのプリンターに繋げないか悩んでいた。
「USB無いもんな~、繋げればセーラームーンも印刷してゾーイにプレゼント出来るのに......」
「困った時はYoutube先生に聞こう!これだ!」
『今のPC使ってWin95時代のプリンタで印刷してみた~』
「あったあった!」
「どれどれ!」
「な、なに?LANケーブルで何かと何かをかませれば......」
「お、おれのノートPCにも、有線LANポート付いてるじゃん!」
「勝った!な。フフフ」
早速司令部へ行き、プリントして貰おうとして......
「おお、ソル、ハワイ島で六千人程の生存者が見つかったぞ!」
「しかも発電所込みだ!」
「それは又......凄い事になりましたね!」
「そうなると、クルーズ船の移住先も変わりそうだな、たとえばカウアイ島とかな」
「あそこにはクルーズ船のターミナルも有るしな」
「それは良いですね」
「なんだ?どうした?」
「やけにあっさりしてんなぁ」
「六千だぞ!」
「それならパーカー牧場も満員ですね」
「いや、その生存圏は、そのままで独立してやっていけてる」
「地熱発電っていって、燃料無しで発電できてるからな」
「送電網に繋げればビッグアイランドのかなりに電気が届くかもな」
「それは凄い事ですよ!ジョン」
「だろう」
「コバヤシ中佐がその一報を受けた瞬間、ハンビーぶっ飛ばして帰って来て、みんなの手を握りしめて泣いたんだとよ」
「慣れない指揮で失ったと思ってた兵士が、六千守り抜いて帰って来たんだ、そりゃあ泣けるぜ」
「ああ、良い指揮官だ」
『ジェニファー・コバヤシ中佐......優しかったなあ。
ニコニコと銃を三本もくれたし、良い指揮官だ』
(ちょっと方向が違うと思う)
「じゃ、ちょっと通信室へ行ってきます」
「おう」
そそくさと通信室の技術士官の元へ向かった。
「あの~、少し相談が......」
「おう、ソルか、どうした?」
「あのですね、このノートPCと、こちらのPCをLANケーブルで繋いだら、画像を印刷できないかと思いまして......」
「どれ、見せてみな」
「これなんですけど、LANポートだけは付いてるんです」
「軽いなあ!これ」
「画面は14インチか......え!こんなにくっきり綺麗に映るのか......どこのだ?」
「日本の最新モデルです。まだアメリカには出てません」
「さすが、日本の技術は進んでるなあ」
「まあ、ちょっと待ってろ」
今までの提案や付け届けが効いて、ちゃんと話を聞いてくれた。
「まず、このノートPCを同じネットワークに入れてみよう」
「しかし……これ、日本で本当に普通に売ってるのか?」
「普通には売ってませんでしたね、いろいろオーダーしてカスタムして貰いました」
「そいつぁ高そうだなぁ」
「まあ、それなりにしましたね。えへへ」
(奮発して25万円は最高級とは言わない)
謎の先生のおかげか、追及はそこまでだった。
「プリントしたいファイルを、このFTPサーバーに送る」
「その後、こっちのPCからそのファイルをプリントでOKだ」
「で、どのファイルだ?」
「ん......これですね!」
SailorMoon.jpg
「ん?ムーンって名前の船員か?」
「えへへ、まあそうです」
「よし......ちょっと待ってろ、すぐにプリントできる」
そこから長かった。
ちょっと荒かったが、どこから見てもセーラームーンだった。
「……ああ、これか」
「知ってるの?」
「いや、うちの子供がテレビで見てるからな」
「よし、ゾーイのプレゼントができた!」
「ありがとう、またお願いしますね!」
最後の在庫、ポンカン飴をそっと差し出した。
(ソルは、"最終兵器2026年の情報"を、印刷する手段を手に入れた)
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次回も、生き残れたらまたお会いしましょう。




