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ワルキューレの地上戦と、スコフィールド奪還

翌朝、フォード島では接岸したクルーズ船が補給を受けていた。

乗員、乗客は一時上陸して、久しぶりに大地を踏みしめていた。


そして、あのオーディオ一式を組み込んだ檻の製作も進んでいた。

製作台数は五基。

今回、上手くいけば内陸での掃討戦に使えると司令部では考えた。


その前にヒッカムでも先日の作戦を実行し、かなりの数を減らす事が出来ていたのだ。

その光景はフォード島へ向かうクルーズ船からも見る事が出来た。

あと三回ほど繰り返せばホノルル空港も解放できそうだ。


音響兵器(仮)は三基が仕上がり、四基目の制作に取り掛った頃、先行させたジョン達の下準備が整った。


判明している生存者すべてに弾薬と食料を補給し、可能な限り滑走路南側へ移動させた。

移動が厳しい拠点は、そのまま死守できるように多めの弾薬を届け、滑走路殲滅戦の開始に備えた。


夜明けとともに、南からワーグナーの『ワルキューレの騎行』が聞こえ始めた。

「やるなって言ったのに、やっぱりやりやがった!」


「お約束ってやつか」

「んなCDやらスピーカーやら積むくらいなら弾積んで来い!」

「やっぱりヘリの編隊はこれだよな!」


「しかも、編隊が見え始めるまで鳴らすの待ってたな、ありゃあ」

「うん、良いタイミングでイントロが始まったしな。がはは」


編隊はジョン達が待機している外側でホバリング。

海兵隊とシールズの隊員がファストロープでつぎつぎと降下してきた。

音響兵器を吊り下げたヘリはそのまま素通りし、基地内でMJの『Thriller』を爆音で鳴らし始めた。


その音に惹かれてあちこちからゾンビが這い出して追い始める。

何度か周回して滑走路中央で鳴り響く音響兵器を降ろし、スリングを切り離してその場を離れた。

続々と滑走路目指して集まり始める。


先頭が檻に到達したが、スピーカーに手が届かない。

どんなに群がって来ても檻はびくともせずに鳴り続ける。

そうこうしてるうちに滑走路からはみ出るくらいまで集まった。


六機のブラックホークが低空でホバリングしながら一斉射撃が始まった。

外周で警戒中のジョンたちは未だ静かに気配を消して潜んでいる。

ヘリは、燃料ギリギリまで銃弾の雨を降らせ、あらかた片付いたら引き上げていった。


「これからは俺たちの時間だ」

「総員、配置に付け!」

「撃て」


滑走路を半包囲隊形で十字砲火を浴びせた。

弾薬の補給担当が走り回り、空になったマガジンを回収していく。


途切れる事のない弾幕。

サプレッサーからは炎が上がり、銃身からは煙も上りはじめる。

撃つ方も、撃たれる方も限界点が近づいてきていた。


「シースファイア、シースファイア!」

掛け声と共に静寂が広がっていった......



硝煙の立ち込める滑走路。

そのコンクリートを埋め尽くす倒れたゾンビたち。

そこには動くものは無かった......


「パールハーバーと同じくらいか?なら、報告は一万五千くらいでいいか、かなりのゾンビが処理できたな」

「残りの撃ち漏らしは三、四人のパトロールでイケるだろう」


「ところで、俺たちの最高位は誰だっけ?」

「大尉か少佐かだったかが居たと思うが......」

「陸軍の最高位者を探して、そいつらを引き合わせて後は任せよう」


「後始末は明日だ!」

「もう動けねえ」

「まずはここの食糧庫を開けて、飯だ!」


「お役御免でいいよな」

「ビーチで寝転がってビールでも飲みたいぜ、まったく」

「お、それいいな!」


そこへ、連絡を受けた後続部隊が小電力の通信設備を持って到着し、陸軍の指揮官と話していた。

「お、帰れそうだぜ!」

「シャーッ!」

海兵隊の声が揃った。


その日の夕方、海兵隊とSEALs混成部隊はそれぞれの基地へ帰還の途に就いた。

ジョンたちは最初の便に乗せてもらえた。


「スコフィールドが機能し始めたらオアフ中央から北部の制圧も早いな」

「問題はホノルルだな」


「どれくらいゾンビが潜んでるか見当が付かねえ......」

「観光客がピークの時期だったからな」


「あの、ガンショップから脱出した時は笑えたぜ」

「ショウウインドウが『ガッシャ~ン』って割れた瞬間、人生終わったと思ったな」

「そうそう、俺もだ、がはは」


「しかし、あん時のソルは大したもんだったな、日本人なのに、チビらずに付いて来たもんな」

「そうそう、牽制射撃も出来てたしな、当たってはなかったが。ははは」


「ヤツらを近づけなかっただけで御の字だぜ」

「あいつは俺が育てた!」


「ん、何か言ったか?」

一行を乗せたブラックホークはコオラウ山脈を越え、カネオヘ基地が眼下に見えてきた。


そのころハワイ島では、ポハクロア演習場からワイメアのパーカー牧場へ、拠点の移設が始められていた。


第一陣の二百名がワイメアの街を掃討。

残りの百名で資材の梱包、コンテナへの詰め込み。

島内で集めたローリーに各種燃料を満載して待機。


幸いにして、小さな街の人口は少なく、ワイメアに繋がる道路上にはバリケードが築かれ、一週間かからずに生存圏が確保された。

その連絡を受けて、あわただしく物資の移動が進んでいる。


そして、ソルは第五弾、ハワイ島の動画の構成と編集に没頭していた。


『前編は、クルーザーでの射撃練習は結局オープニングにして、マリーナからジョンの家、プールもあったし、豪邸だと思ったんだけど、こっちでは普通なのかなあ。


それからあの生存者の集落では意外な広さにビックリだったわ!

家畜小屋や農場で青々とした野菜が映えるな。

久しぶりの新鮮野菜は美味かった~。

で、パーカー牧場での指導協力をお願いして出発するとこで、前編終了かな。


後編はそこから演習場まで行って、厳重なゲートはしっかり入れて、コバヤシ中佐とご対面。

それと、宝探しも入れて、ゲットしたモノを紹介?これは軽くにして、紹介動画でガッツリやるか。


マウナケアの天文台まで行けば良かったな、いい絵が撮れただろうなぁ。

そこからマリーナでクルーザーに乗って、トローリング風景と、基地の桟橋でサバ一匹でした!で笑いを取って終わりにしよう』


考えも纏まったので、編集作業に取りかかった。

ご視聴(ご愛読)ありがとうございました!

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コメント欄の質問には、次の動画(本文)で答えるかもしれません。

次回も、生き残れたらまたお会いしましょう。


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