2026年へLINEしてみた
司令部は、そのままスコフィールド陸軍基地の救援に派遣する隊員の選抜に取りかかり、ブラボーチームと、ジョンもそれに参加。
俺はヨットに戻って編集の続きに取りかかった。
カイルアの水路をジョンたちを引きながら河口に向かっていくところまで切り貼りしていたら、ジョンがもどって来た。
「ちょっといいか?」
「いいよ、俺も少し休憩する」
「キャシーは晩飯作ってて、俺は邪魔らしい」
「じゃあここで。コーラでいい?」
「わりいな」
「で、どうなったの?」
「四十人出す事になった」
「大人数だね」
「俺と、ブラボーチームの四人はブラックホークで先行する」
「スコフィールドのアルファチームと合流だ」
「陸軍の生き残りは、三百くらいらしいが、弾薬庫と食料倉庫へ辿り着けないらしくて、打って出られん」
「そこで俺たちが立て籠もってる各拠点に物資の配達だ」
「それで、各拠点の位置、座標を確定したら、残りの三十五名と、フォード島の残りのSEALsと合流して各拠点に送り込む」
「ブラックホークが六機出せるとよ」
「あ、ワーグナーは掛けねえぞ!がはは」
「海軍の埠頭が確保できたからヘリの燃料も何とかなるらしい」
「スコフィールドって、内陸の......っていうか、オアフの真ん中だよね?」
「まあそうだな、だから海に落とす作戦は使えない」
「今回陸戦での掃討戦になるのかぁ」
「......それなら、2m角の檻ってなんとかならない?」
「そんなもんどうする?」
「それに、スピーカーとオーディオセット入れて、滑走路の真ん中に降ろして大音量で鳴らす!そしたら集まってくるよね!そこに向けて十字砲火?って感じにすれば纏めて倒せないない?」
「ヘリからミニガンでも良いし......」
「地上部隊は撃ち漏らしの処理だけでいけないかなぁ......」
「ここでやった時の、RHIBの代わりにブラックホークでやったらカッコイイよね!」
「基地の上空を低空で周回してスリラー流しながら集めても良いかも!」
「そして、どこかで架線か何かに引っ掛かって不時着?それをハンビーで救出?『騎兵隊が来た~!』ってだれかが叫んだりして......まさにモガディシュじゃん!ぐふふ」
ゴンッ!
「縁起でもねえこと考えるな!」
「特に陸軍では禁句だ!あのモガディシュの戦闘を経験した者も、ここに居るかもしれん」
「あ、そうですね、配慮が足りませんでした」
「でも、作戦としてはイケると思うんですよね」
「......もうすぐ晩飯だってのに、ソル、今から少佐んとこ行くぞ!」
ソルは引き摺られように司令部へ連れて行かれた。
「少佐、提案があるのですが......こいつが!」
「な、なんだ?聞くのが恐ろしい気もするが、言ってみろ」
「かくかくしかじか......です。はい」
「ジョンはどう思う?」
「俺はイケそうな気がしますね」
「それに鉄の檻くらいなら直ぐに出来るでしょう」
「中身が壊されないように頑丈に作ってくださいね、音が切れると折角集めた集団がばらけてしまいますから」
「そうだな、早速制作にかかろう、第二陣の出撃迄には完成させる!」
ようやく解放されて戻って来れた。
少々遅くなったがキャサリンさんはにこやかに夕食を出してくれた。
「日本人ってのは考え方というか、見え方自体が違うんだな」
「どうも俺たちは視野が狭くなってるのか知れん」
「平和ボケな国で生きて来たからですかね、あはは」
「平和ボケの国生まれにしちゃあエグイ事、平気で言うからな」
「しかし、これで俺たちの危険度も下がる!」
そろそろ新鮮野菜も在庫切れだ。
次は近くの農場で放ったらかしの野菜でも回収してこよう。
その夜遅く、第四弾が仕上がった。
タイトルはどうしよう。
『大学で避難民を救助した帰りに、ショッピングセンターでの救助に行く羽目になったよ』......かなぁ
『今日は二か所の救助にいったらゾンビの集団に絡まれかけたので、全力で逃げたよ、危なかった~』......かなぁ
それとも......
『今日は救助に行く日、途中でSEALsの隊員と合流したら別のSEALsから救援要請が来た!とうとう俺の出番か!』......これ良いかも!ぐふふ
ふと、置いてあったスマホの画面を見た。
LINEの未読の赤い印が目についた。
『そろそろ現実と向き合う時期かもしれないなあ......
あの日、1996年に戻って自分も30歳若返ったなんて、2026年の家族にどう話せば良いかわからなかった。
スターリンクが繋がらないままだったら悩まなかっただろう。
2026年と繋がった今、話をしなければならない事も......
若返ってはしゃぎ過ぎた事も......
先延ばしにしていた事も解っている。
全部わかってはいる』
震える指でLINEのアイコンをタップした。
家族グループからだった。
メッセージが流れていく。
向こうには既読が付いてることだろう。
『よう!元気にしてるか?』
なにが「元気にしてるか」だ......
他になにか言う事があるはずだった。
他に......
何も出てこなかった。
何も書けなかった。
そのまま送信ボタンをタップしてしまった......
2026年10月中旬、佐藤家では夕食の真っ最中だった。
LINEの着信が家族四人のスマホから同時に聞こえた。
娘の雪乃がスマホを見た。
「え、お父さんからLINE来た!」
全員食事の手を止め、スマホを手に取った。
「ほんとだ」
「行方不明らしいって聞いてたけど」
「当てにならないものね」
「でもAISが切れたっていってたよね」
「無人島にでも流れ着いたんじゃない?」
「トムハンクスの映画みたいに」
「なら、今、救助されたんだ」
「生きてた......」
「無事だった......」
「お母さん、返事書いて!早く!」
「なんて返事すればいいの?」
「ねえ、ゆきちゃん書いて」
「お母さんがまず返事書かなきゃ」
「そ、そうね」
『お父さんも元気?』
そのまま返信した......
「え?それだけ?」
「だってぇ、何書いたら良いか判らなかったし......」
『今、ハワイに居る。遭難したわけじゃ無い、無事だ』
『それなら良かったんだけど』
『AISって言うのが切れちゃって......』
『故障でもしたの?お父さん』
娘と息子も入ってきた。
『とにかく無事は無事だ』
『それと、口座は解約しないでくれよ、スターリンクとか引き落としが出来ないとネットが使えなくなるからな』
『それは、結構面倒だからまだそのままだよ』
『こっちはもう夜中だからまた今度LINEするわ』
『ちょっと安心した、また今度』
その後、夕食を再開したが、聞きたい事、話したい事が多すぎた。
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次回も、生き残れたらまたお会いしましょう。




