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ハワイ島、武装深部強行偵察!

キーボードを前にして、文字が打てない。

指が動かなかったというのが正しかった。


『やぁ、返信ありがとう。

そんなに似ていたのかい?

たぶんAIがネットのどこかから探し出してきた画像を参考にしたんじゃないかな。

ちなみに、お父さんの名前は?』


これだけの文面を書くのに数時間かかった。

送信ボタンを押したのは、さらに一時間後だった。


『へぇ、そうなんだ。

私たち家族もハワイに住んでるのよ、ずっとね。

1996年のオアフが舞台なんでしょ?当時お父さんも動画みたいに海兵隊だったしね。


よく似てるなぁって思ったんだけど……そうじゃないの。

懐かしいって感じがしたのね。

それで、私が10歳の頃、お父さんは海兵隊を除隊してビッグアイランドのコナへ引っ越したのよ。


ここで私は結婚して、家を離れたけど、近くに住んでるわ。

お父さんとお母さんは悠々自適ね、お父さんは、毎日の様にボートで釣りに出掛けてるらしいわね。

あ、ジョンって言うのよ。』


2026年のジョンは1996年では現役だったんだ......。


『そうなんだね......、

あ、今、凄い事思いついたんだけど!聞きたい?

今、第四弾作ってるんだけど、お父さん......ジョンを、軍に協力してる元海兵隊員の役で登場させてみたい!......どうかな?』


ソルは、決して会うことは無い"2026年のゾーイ"だけど、繋がりは無くしたくなかった。


『そうねぇ......、週末にお父さんのとこへ行くから相談してみようかな。でも、そうしたら、私もお母さんも出演する事になるのかな?うふふ』

『1996年かぁ、お母さん若いよ!綺麗だし。私はまだ五歳か......。だったら可愛く作ってよね』


『よく、家族で話し合ってね』


毎朝一緒にシリアルを食べてるゾーイと2026年のゾーイは違う。

深く考えていくと底無しだ、抜け出せなくなりそう。

まぁ、俺にとってはどっちのゾーイも孫みたいなものだ。


ソルはノートPCを閉じた。

そして、眠りにつくまで無心でモシンを磨いた。


翌日、配給の保存食を受け取りに基地内を歩いていると、フランツさんと、アンジェリカさんに会った。

二人は基地内の病院で働くことになったらしい。

これで医者不足も少しは解消されそうだ。


アンジェリカさんは美人なので、野郎どもが喜びそうだが、残念ながら専門は産婦人科なので涙を流していることだろう。


……もっとも、基地には女性隊員や家族も多い。

実際には、彼女ほど頼りになる医者はいないだろう。


このごろ食料回収班が頑張ってくれているお陰で、配給も少しずつ豊かになってきた。

もう少し生存圏が広がれば農場や牧場にも手を伸ばしたい。

手入れされておらず、放置されていたが、野菜や果物はどうなっているのだろう......


新鮮野菜のサラダが恋しい


ヨットに戻って配給を仕舞い、隣にいたジョンに声を掛けた。

「ねえジョン、ハワイ島の山間部で暮らしてる集落を尋ねてみない?」

「はぁ?なんだ急に」


「やっぱり、野菜が食べたくなった~!」

「ジョンと出会ったマリーナなら、ピックアップがそのまま残ってるんじゃない?」


「そうだなあ、ビッグアイランドならパーカー牧場や大規模な農場が広がってるからなあ、レタスの一個くらい残ってるかもな」

「ひょっとして牛が残ってればBBQも出来そうだな」


「少佐に話してみるか」

「事前偵察ってやつだね!フォースリーコンの本業だ!」

「俺のチームに野菜の出来具合の偵察任務は無かったぞ、がはは」


「と、いうわけで少佐、ジョンとふたりでハワイ島に強行偵察に行ってきます!」

ソルは意気揚々と司令室で宣言した。


ニック少佐はジョンの方をチラっと見た。

「野菜が食いたいらしいぞ」

「ん~......、わかった」


「ただし、ふたりだけじゃダメだ!」

「シールズのブラボーチームを加え、六名。分隊での作戦行動としてなら許可しよう。」

「ありがとうございます!」


「アスパラが手に入ったら俺にも忘れるなよ、あはは」

「了解!」

ソルはピシッと敬礼した。つもりだったがどこかぎこちなかった。


今回の"強行偵察任務"には、カネオヘヨットクラブで回収したクルーザーを使うことになった。

スピードはそこそこだが、燃費が良く、長距離の偵察にはちょうどいいらしい。

早朝に出航すれば夕方には到着できるだろう。


ハワイ島での行動予定は、コナのマリーナで上陸。

ジョンはハワイ島の地図を広げた。


ジョンのピックアップで自宅へ寄る。

海岸沿いにカワイハエを経由して、ワイメアのパーカー牧場を偵察。


その後、東へ向かってホノカアの街。

生存者グループが暮らしているのはそこから入った森の奥だ。


帰りは、ワイメアまで戻り、南下してポハクロア演習場を偵察。

軍が生存圏を確保できていれば接触。

その後、コナから帰還。

約一週間の予定だ。


この一週間はネットは使えない。

YouTubeチャンネルには【お知らせ】を書いておいた。


『取材旅行でハワイに行ってきます。

しばらく投稿はお休みになりますが、帰り次第制作に取り掛かり、早めに再開します』


出航して二時間。

「ソルは射撃訓練な」

パラコードを結んだペットボトルを引いて、それを狙って撃つ。

まあ、当たらない、当たらない。

たまに掠ったりすると、鼻の穴が盛大に広がるソルだった。


『鬼軍曹役は、海軍特殊部隊・SEALsの精鋭だ!

なんてゴージャス!自慢できる!これも動画に残さねば!

ショート動画ならタイトルは......


"豪華クルーザーで射撃訓練!コーチは海軍特殊部隊・SEALsの精鋭だよ!羨ましいか!"

これで良いかな』

(妄想の中だけはカッコイイ)


他のメンバーはトローリング中だ。

なかなか釣れない。

が、デカいシイラが一本だけヒットした、晩御飯に決定だ。


夕方にはコナの街が見えてきた。

ご視聴(ご愛読)ありがとうございました!

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コメント欄の質問には、次の動画(本文)で答えるかもしれません。

次回も、生き残れたらまたお会いしましょう。


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