世界が第三弾を待っていた
「収益化できるかなぁ」
「……あ。」
「申請してなかった......」
とりあえず申請だけ出しておいて、第二弾の編集に取り掛かった。
一方その頃、ブラボーチームは中継施設の設置場所の事前調査と確保に出ていた。
ソルは多大な貢献をしたが、民間人である為に割と自由にさせてもらっている。
第二弾は海兵隊基地の奪還だな。
第三弾が大学からの避難民救出か。
第四弾はショッピングセンターからの脱出だな。
そうなると素材の使い回しも考えないと。
細かい視聴者はツッコミが鋭いらしいからね。
ま、同じ場面を使っても、AI生成動画にはあるあるだからな。
コメント欄には今後チェックは厳しくします......くらいの対応で済ますか。
(脳内で既に視聴者と会話していた)
そして、第二弾動画が仕上がったころ、SAAカスタムも仕上がっていた。
「こんちわ~、出来たって?」
「おう、出来てるぞ!」
「これだ、着けて見るか?」
「うんうん、これはカッコイイ!」
「でも、早く抜くのは練習が要りそうですね!」
「映画の早撃ちはハリウッドが映えるようにでっち上げたもんだ」
「え、そうなの?」
「あんな低い位置にぶら下げてみろ、すぐにどっかで落とすさ」
「座った時とか、邪魔くさくてしょうがねえし」
「本物は、銃全体を覆うようなホルスターが多かったな」
「へぇ、知らなかったです」
「まあ、それはそれ、これはこれです!はい」
第二弾のタイトルは『海兵隊基地の奪還』として投稿を済ませた。
それらが終わるとソルはSAAを磨き、眺め、頬ずりしてはニヤニヤしていた。
その頃、2026年の日本、いや世界がその投稿を待ちかねていた。
映像は、がっしりとした中年のアメリカ人と、少し若い海兵隊の少佐らしき男が、小さな会議室で作戦を打ち合わせる場面から始まった。
「ここは……海兵隊基地か?」
視聴者はすぐに察した。
ここを奪還し、大規模避難所として開放する作戦なのだと。
場面は桟橋へ切り替わる。
クルーザーから上陸した部隊は、徘徊するゾンビを次々と排除し、基地の一角を確保していく。
格納庫を開放し、道路をバリケードで封鎖。
屋上では狙撃手が周囲を監視する。
やがて夜が明ける。
掃討は滑走路の西半分まで順調に進んでいた。
しかし、弾薬の補給を要請しようとしたその時だった。
滑走路の東側から、黒い波のようにゾンビが押し寄せてくる。
「弾が足りない!」
救援に向かう補給班。
危機一髪で届いた弾薬が戦況をひっくり返した。
そして、すべてが終わる頃には、夕日に染まるサンゴ礁の海と、コオラウ山脈が静かに映し出されていた。
観終わった視聴者は、誰一人としてすぐには言葉を発することができなかった。
やがて、コメント欄が動き始める。
「第一弾を超えてきた……」
「映画じゃない。もう体験だ」
「何なんだ、このチャンネル」
「夕日のライティングが完璧すぎる」
「コオラウ山脈の夕日が綺麗すぎる、やっぱりAIだわ」
「いや、ハワイ行ったことあるけど、マジであんな色になるぞ。」
「いやいや、1996年の空気感まで再現できるAIなんてあるか?」
「でも、ちゃんと血しぶきが出ないようになってるとこが規約を守ってるっぽいw」
「第三弾はよ!」
「通知ONにした。」
「寝れないから早く続き頼む。」
「エンドロール終わるまで席立てない映画だわ」
「これ無料で見ていいの?」
「これ、全編完成したら映画館で金払って観たい」
翌日には英語字幕が付き、さらにフランス語、中国語、韓国語をはじめ、世界中の有志が次々と各国語の字幕を作り始めた。
動画は言葉の壁を越え、瞬く間に世界中へ広がっていった。
第一弾、第二弾ともに再生数は伸び続け、それぞれ一千万再生を突破した。
登録者数は、あっという間に百万を突破した。
なおも増え続け、その勢いは衰える気配すら見せない。
世界中が、第三弾を待っていた。
し、しまった。第三弾は大学の予定だったけど、終わらなかった......。
タイトルどうしよう?
『続・海兵隊基地の奪還』は、なんかやくざ映画みたいだし......
『海兵隊基地の奪還パート2』は......前のにパート1って入れて無かったしな......
『海兵隊基地の奪還・最終章』ってのは......
う~ん失敗した、どうしよう
しれ~っとパート2か後編って入れとこ!
それで、概要欄で謝っておこう。うん、そうしよう!
そうだ、アラモアナショッピングセンターの動画をショートで流すか......
その時に第二弾が編集の都合でパート1とパート2に分かれましたって書いておこう。
うん、これだ!
早速ショート動画を編集して投稿した。
『アラ・モアナ・ショッピングセンターでアルマーニのジャケットとロレックス買ってみた~ゾンビも出るよ』
タイトルはこんな感じにしてみた。
その動画はショートと言うには少々長かった。
カメラマン?も含めて六人が隊列を乱さずショッピングセンターの駐車場から音もなく入っていく。
時折、こもった音と、ドサっと崩れる音が聞こえる。
階段と化したエスカレーターを上がり、二階を確認。
徘徊していたゾンビを静かに排除していく。
ひと言も話さず、アルマーニのショップに辿り着いた。
オフホワイトのリネンジャケットと淡いピンクのTシャツを手に取り、バックパックに仕舞う。
次の向かったのは高級時計の店。
同行した兵士がロレックスのデイトナを手に取った。
撮影者はエクスプローラーⅠを無言でポケットへ。
慎重に一階へ降りて駐車場を進み、そこでも静かにゾンビを処理しながらショッピングセンターを出て、クルーザーへ戻るまでの動画だった。
スムーズ過ぎてあっけなく買い物?を済ませたショート動画だ。
【お知らせ】
本来は第二弾として公開する予定でしたが、編集が間に合わなかったため、海兵隊基地編をパート1、パート2の二つにしました。
シリーズ構成が分かりにくくなってしまい申し訳ありません。
パート2は鋭意制作中です。
「ゾンビも出るよ(10秒)」
「タイトル詐欺じゃないけど期待したのと違うw」
「アルマーニより海兵隊見せて」
「ロレックス買ってない(笑)」
「ゾンビがおまけ扱いで草」
「概要欄読んだ。編集頑張れ!」
「パート2待つ」
「許す。でも早く」
「そんなことより第三弾はよ!」
一方、ガチ系ミリオタ界隈での感想は違った。
「ちょっと待て」
「この部隊、動きがおかしい。」
「CQBの動きが……」
「隊形が教範そのままなんだが」
「一般人の考えた特殊部隊じゃない」
「一人が撃ってる間にもう一人が前出てる」
「死角の潰し方が自然すぎる」
「無駄撃ちが一発もない」
「誰か元SEAL監修してる?」
「いや、監修じゃ無理」
「これ、本職が撮影してる」
「またミリオタ始まった(笑)」
元軍人や現役経験者らしきコメントが付き始める。
「……この動きは演技じゃない」
「銃口管理がおかしい」
「遮蔽物の使い方がおかしい」
「声を掛けるタイミングがおかしい」
「普通の俳優には無理」
「本当に訓練を受けた人間の動きだ」
コメント欄はカオスと化した。
本当の答えには、誰もたどり着けなかった。
ご視聴(ご愛読)ありがとうございました!
面白かったら【ブックマーク登録】や【評価(★)】をいただけると励みになります。
コメント欄の質問には、次の動画(本文)で答えるかもしれません。
次回も、生き残れたらまたお会いしましょう。




