カイルアからの脱出
はい、どうも~、MCのソルトです。
いつもご視聴いただきありがとうございます!
今回の特別ゲストはニック・マクナルド少佐にお越しいただきました。
「今回、出番は少なかったようですが」
「そうですね、"Every Marine a Rifleman."が伝統で......」
「はい、長くなりそうなので、ありがとうございました~」
それでは今日もハワイを生き延びます。
「予備のマガジン何本残ってる?」
「俺は、今刺さってるのが半分も無い。予備はあと一本だ」
「なんせ俺だけで500は倒したからな!」
「なら俺は600だ!」
「バカ、そんなに弾は無かったぞ。あははは」
「お前だってそんなに当たって無かったぞ! 見てたからな、へへへ」
「で、どれだけ残ってる?」
「予備は……無いわ! 今刺さってるだけだ~」
「しょうがねえな、俺は今回撃ってねえから一本持ってけ!」
「悪いな、ありがとよ」
予備のマガジンは減ったとはいえ、装備重量はまだ十五キロを超えている。
それでも三人は軽口を叩きながら、余裕で集合場所まで泳いでいった。
ボートは岸から離れて止まっていた。
三人を見つけたジョンは、ロープを掴んで飛び込んだ。
「俺ら四人、ロープに掴まったら合図を出す。そしたら引っ張って河口まで連れてってくれ!」
そう指示だけ残して三人の元へ泳いでいった。
「ほれ、手なりハーネスなりにしっかり縛っておけ」
「ご苦労だったな。俺も付き合うぜ!」
「じゃあ、仲良く引き摺られていきますかぁ。あはは」
その頃、すでに海兵隊基地から出発していた四艘のRHIBは基地をひと回りしてカイルア湾を南下していた。
所々で未だに煙が上がってるところもある。
海岸にも彷徨っている元人間は多かった。
近くへ寄ってみても、見ているだけで海には入ってこない。入って来れない?
基地奪還戦の時は波打ち際まで追いかけて掴みかかって……いや、確かに脚は止まっていた。手を伸ばし、掴みかかっては来るが、水に入れないのか……
てっきり、水に入るとゾンビは動きが鈍るから、ジョンたちは『船なら安全だ』と言ってるのかと思っていたが、違う! 水が完全防御だったのか。
これが確実ならハワイ諸島の解放も望みが出て来る……
一方、浮かんだまま引き摺られていく四人。
「いやあ、最後の方なんか、銃身から煙が上がって火が付きそうでしたよ」
「俺はもう、完全に燃えてましたから、それでたばこに火つけて吸ってましたね」
「おまえたち、良くやってくれた! さすがシールズの精鋭だ!」
「俺が大統領ならおまえら三人にシルバースターを授与したいところだ!」
「まあ、基地か司令部を探し回れば、シルバースターくらい転がってるかもしれんぞ」
「ははぁ~」
「ありがたく頂戴します」
「授与証明書も付けてくださいよ、手書きで良いんで」
「じゃあ俺はおまけでワイルドターキーの12年も授与してくださいよ」
「じゃあ、じゃあ俺もそれで!」
「よし、特別にラッキーストライク、ワンカートンも授与してやろう! どうだ。わははは」
「今回は本当に良くやってくれた。礼を言う」
ブラボーチームの三人には、シルバースターよりもジョンのその一言の方が嬉しかった。
ボートは左に大きく曲がったあと、右にゆっくり曲がっていった。
最後の橋が見えてきたが……その先が無かった。
無かったというより、河口が砂洲で埋まって行き止まり状態だった。
もうすぐ河口だろうと思ってたジョンはボートに這い上がり考え込んだ。
目の前に広がる砂浜には、見える範囲で百匹は彷徨っていた。
「俺たちだけなら何とでもなるが……」
「さて、どうしたもんかねぇ……」
「お迎えはどうなってる?」
「ちょっと待って!」
"Assassin 1, this is Hitman 2-1. What's your ETA?"
"Hitman 2-1, this is Assassin 1. Two mikes out."
「あと二分くらいだそうです」
「......」
「あ、ジョンと俺がヒットマン2-1で、迎えがアサシン1です。はい」
「はあ? いつの間に……」
「いやあ、ジョンが引き摺られてる時に、迎えのRHIBと無線でやりとりしてて、コールサイン決めました」
「す、好きな小説から取りました。はい」
(2003年のイラク戦争のドラマだとは言えない)
「なので、ジョンは"Hitman 2-1 Actual"ですね」
「……誰が許可した?」
「もう相手もノリノリで使ってますから……はい」
「まあいい、わかった」
「それでだ、この河口の先あたりの掃除を頼めるか聞いてくれ。ヒットマン2-1さんよ」
「ミニガンは外してますからM16での掃射になるようです」
「各二名乗船なので、射手は合わせて四名ですね」
「俺たちはいったん下がって射線から離れる」
「河口正面が空いたらアルファ、ブラボーチームと俺が飛び出して左右を掃除する」
「その隙にヒットマン2-1が民間人を連れてRHIB……アサシン1まで走ってくれ」
「こんな流れでどうだ?」
「いいですね!」
「それで行きましょう」
シールズの八名全員の了解で決まった。
「もうそこまでRHIBが来てるぞ! ボートは逆進だ。急げ!」
「ここなら射線は切れてる」
ジョンが無線を掴んで叫んだ。
「撃て!」
下がったボートの先をM16の銃弾が掠めて行く。
それが止んだ頃、こちらのボートが前進! 砂浜に乗り上げる勢いだ。
「総員衝撃に備えろ!」
砂浜に三艘とも乗り上げた瞬間、シールズとジョンが左右に飛び降りて掃射しだした。
俺は避難者を誘導し、真ん中を海岸目掛けて急いだ。
転び掛けた者は引き起こし、ふらつくものは肩を貸し、RHIBまで全員欠けることなく送り届けた。
「ジョン! 全員乗せた~!」
「よし、後列から下がって乗れ!」
「乗ったらすぐに援護射撃だ!」
シールズが全員乗り込み、あとは俺とジョンだけだ。
「ソル、乗れ!」
ブラボーチームの誰かが引っ張り上げてくれた。
最後にジョンを引き上げた。
「大統領を忘れたとあっちゃあシルバースターがパアになっちまうからな!」
「出せ!」
全速の後進でビーチを離れ、その勢いでターンして河口を離れて行く。
「大活躍だったな、ジョン」
ジョンを引き摺り上げたのはニック少佐だった。
「少佐? 臨時とは言え司令が最前線まで出張とは、なかなかやりますね!」
ジョンはへたりながら敬礼をした。
「ひとりも残さず、全員連れてまいりました!」
「ご苦労! よくやった」
ジョン達が乗ったRHIBは最後の艇で、最後まで銃撃していた全員を収容していた。
気が付いたらシールズの全員もニック少佐に敬礼していた。
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