簡単なお仕事……のはずだった
はい、どうも~、MCのソルトです。
いつもご視聴いただきありがとうございます!
このチャンネルでは、
映画大好き、自称ミリオタのヨット乗り60歳が、
ゾンビだらけの世界でも、趣味と妄想全開で突き進む様子をお届けします。
それでは今日もハワイを生き延びます。
そして翌週
「今日はカネオヘの街の西にあるウィンドワード大学に避難している、民間人六名と海兵隊員八名の合計十四名の救出作戦だ。
差し迫ってはいないが、ストレスの限界が近いらしい。民間人が特にな」
「こちらからはRHIB二艇、隊員六名で向かう。
で、湾奥のここにある、ヨットクラブに上陸する。
そこから目星を付けてある車を回収して大学まで行き、全員載せて帰還する」
「ソル、どうだ、簡単なお仕事だろう?」
「そうですね、簡単そうです」
「ばか、素直に受け取るんじゃねぇ!」
「ちょっとでも違和感を感じたら即止まって報告しろ!自分に都合のいい判断するなよ」
「一番の不安要素は疲弊した民間人ですかね?」
「それも多少はあるが、立て籠もってた十四名全員だ!」
「この騒動が始まってから今日までずっとストレスに晒されて生きて来たんだぞ!」
「全員を連れて帰る。それが今日の勝利条件だ。」
「"The cavalry's here!" ......俺たち騎兵隊ですね!」
「そうだ、誰一人置いていかない(Leave No One Behind)!」
海兵隊基地の燃料桟橋から南西に向かい、対岸の陸地手前を右に回り込んでいくと、こじんまりとしたヨットクラブが現れた。
ここは会員制の為、普段はロックされたフェンスで仕切られていた。パーキングスペースも広く見通しがいい。
道路から一番離れた岸壁の浮き台に接舷して上陸。
車の回収に向かった。
俺はパーキングのフェンス開閉係りだ。
やがて、ピックアップとスクールバスが現れた。
「アメリカのスクールバスってデカいなぁ」
「これなら一度に運べるだろう」
「小回りは難しそうだがな」
「俺とソルはピックアップで先導する」
「俺は運転、お前は荷台で射撃訓練だ」
「マ、マジっすか~」
「四名はバス。ドライバー以外は中から全周警戒しながら付いてきてくれ」
「了解」
シュマーグとサングラスで顔隠した男がサブマシンガン構えて荷台に乗ったピックアップ。
PMC風からテロリスト風にランクアップしてしまった......
騎兵隊一行は予め想定していたルートに沿って大学まで静かに移動した。
それでもひしゃげた車や乗り捨てられた車で道を塞がれていて、迂回の連続だった。
後ろを走るバスからは時折銃声が聞こえ始めた。
「俺の車の前に出そうな奴だけそれで撃て」
「俺が撃つんですか?」
「練習のつもりで撃て、相手は撃ち返してこん」
「やってみろ!」
「はい、了解」
何度か撃ったが......、なかなか頭に当たらない。
「いやぁ、お互い動いてると当たらないもんですね」
「先週から撃ちはじめたんだ、普通は止まってても当たらん」
「十二体くらい狙ったんですけど、身体なら当たるんだけどなぁ」
「何匹当たった?」
「え、......一・五匹ですかね。ははは」
「はあ?その〇・五ってなぁ、なんだ?」
「手に当たって中指が無くなってました!」
「そりゃいい、下品なサイン出せなくなったな。あははは」
カヘキリハイウェイから大学方面へ曲がり、残り一キロを切った。
「どうだ、ソル、一・五から多少は増えたか?」
「ん~、三くらいですかね。肩のあたりに掠りましたし」
「お、やるなあ。上手くなってきてるぞ」
「そ、そうですかね、やっぱり才能ありですかねぇ。えへへへ」
「で、狙ったのは?」
「えっと、五十くらい......ですかねぇ」
「それ、増えてないやつだ、ははは」
「でも、一匹は足に当てて倒れましたよ、才能ですかね」
「おおかた石にでも躓いたんじゃねえか?ハハハ」
そうこうしてる間に囲まれることも無く、大学構内へ入り、奥の駐車場に車両を止めた。
ここは視界が広く取れてゾンビを寄せ付けない戦いができる。
だから少ない人数でも耐えられたんだろう。
持てるだけの荷物をバスに運び込み、全員の乗車を確認後、そろりと出発した。
海兵隊の八名のうち、二名がピックアップの荷台へ、俺は助手席へ昇格した。
残り六名は民間人と共にバスに乗り込んだ。
大学構内の周回路を回り、正門を出る寸前、ピックアップの前に戦闘服を着た生存者が飛び出してきた。
二台は急停止した。
「ストップ!止まれ!待ってくれ!」
男は息を切らしていたが、銃は下げていない。
「どこの部隊だ?どこから来た?」
ジョンは727の銃口を相手に向けたまま尋ねた。
「我々は、海軍フォード島臨時司令部より派遣された」
「シールズだ」
「ずいぶん遠くから......ご苦労なこった」
そう言いながらもピックアップからペットボトルを取り出し"シールズ"に放り投げた。
「おう、ありがとな…...って、ペプシ?炭酸を投げるなよ。アハハ」
「シールの体力ならこのままマリーン・コーまで全力疾走できそうだが…」
「んなわけあるか!」
遅れていたブラボーチームの三名が到着し、ジョンにペプシを投げられていた。
「おわっ」
「ありっ」
「サンクス!」
全員泡まみれでうまそうに飲んでいた。
「んで、海軍はどんな状況だ?」
ペプシの糖分が体に染み渡ったシールズの曹長は話し出した。
海軍は、軍港の一部とフォード島を確保した。
生き残りを纏めて戦力を再編中である。
感染を免れた艦船は民間人も収容しフォード島に接岸している。
そこで今回、カネオヘ海兵隊基地の状況確認、連携確立のためにシールチーム八名が四名ずつのアルファ、ブラボーに分かれ別ルートで派遣された。
アルファチームはフォート・シャフターを経由し、コオラウ山脈を越えてカイルアからマリーン・コーを目指している。
ブラボーチームは、海兵隊キャンプ H. M. スミスの状況確認、山越えから大学付近まで到達した。
大学付近を偵察中に撤退行動を観測し接触を試みるが、撤収作業が早過ぎて四名全員が、全力疾走で辿り着いて"今ここ"だそうだ。
「だいたい解った。お前たちが体力バカって事はな」
「それでどうする?乗ってくか?この先のヨットクラブにRHIB二艇で来てるから、お前達四名ならまだ積めるが......」
「そいつあ助かる!基地まで走れと言われりゃ走るが......三分休憩くれ。ハハハ」
シールズの連中を積み込んで、来た道を引き返し、ヨットクラブへ戻った。
二艘に分かれての乗船もスムーズに終わり、RHIBがエンジンを始動させたその時!
ブラボーチームの無線にアルファチームから救援要請が入った。
『ブラボー、こちらアルファ! 応答願う!』
『こちらブラボー』
『カイルア・タウンセンター付近。生存者グループと接触。救出支援を要請する。応援可能なら直ちに来てくれ』
ジョンが曹長の顔を見る。
曹長もジョンを見る。
言葉は要らない。
ジョンが一言。
「……予定変更だ。」
「RHIBはこのまま基地に向かってくれ!」
「基地で全員降ろしたら、少佐に話をつけてカイルアビーチパークの桟橋まで迎えを寄こしてくれ。RHIBは四艘でいい。頼んだぞ!」
「ソルはどうする?」
「もちろんジョンについていきますよ!」
「よし、俺とソル、ブラボーチームはバスで向かう!」
「出発!」
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