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第14話 巨大ロボット  (2624)

 ノードでもサラルとの戦いは続いていた。ノード南の山岳地帯からノード西のドラ山近くにかけて完成したピラミッド要塞P1~P3は、南の山岳地帯から侵入するサラルを撃退していた。


 サラルは時折、難攻不落のピラミッド要塞を飛び越しノードの発電施設やドームの近くにも現れた。しかし、高い上空を飛ぶサラルはレーダーに捕らえられレーザー砲の餌食となり、山肌に隠れるようにして低空から近づくサラルも警備ロボットの集中砲火を浴びて退散するだけだった。


 ある時、ピラミッド要塞を避けノード東のマーネ山の麓から千匹以上のサラルの群れがノードのドーム付近に襲い掛かった。しかし、各ドームを守る警備隊員やユニコーン型ロボットの反撃とマーネ山とドラ山から発射されたレーザー砲で数百のサラルを仕留め、サラルの群れを撃退した。


 ノード南の山岳地帯からノード西のドラ山近くにかけてピラミッド要塞P1~P3が完成した後、ノード政府はさらなるピラミッド要塞建設ではなく、移動型要塞の建造を開始する事になった。ピラミッド要塞P1~P3にはそれぞれ150名の警備隊員が常駐しており、ドーム南から東方向へのピラミッド要塞を複数造る計画は隊員の確保が困難になっていた。その代わりに浮上した案が移動型要塞の建造だった。この移動型要塞は来襲するサラルの侵入方向に配備する事により、サラルを引き付けて撃退するという実用性も考えられた。


 ノード政府が製造を開始した移動型要塞は全高22メートル、ピラミッド要塞の15メートルを超える高さで、全体を赤白青の目立つペイントを塗られ、まるで巨大ロボットのような外見だった。

 巨大なヘルメットの前部に強化プラスチックに覆われた操縦ドームが有り、数人の隊員が乗り込む。その下部の7階建ての鋼鉄で覆われた胴体部分には兵員室に80名の隊員が乗り込み、銃眼から機銃や連続弓で近づいてくるサラルを撃ち落とす事になる。連続弓は資源節約のため火薬を使わず鉄製の矢を連続発射するクロスボウタイプのばね式の弓だった。足先は巨大な6台のキャタピラーが3台ずつ交互に前進し、歩行を模した動きをする。


 完成した巨大ロボット型移動要塞は、ギリシャ神話の巨人説話から「ギガース」と命名された。このギガースの操縦席の中央には隊長となったライラが乗り込んでいた。

 ライラは15年前に警備隊に入隊してサラルと戦う経験を積み、終にピラミッド要塞P3の隊長となっていたが、巨大ロボット型移動型要塞の完成後は、隊員達の圧倒的支持を得てギガース隊長に任命された。


 ドーム内の公園を家族連れで散歩していた市民は、ドーム外を悠々と移動する巨大ロボットを見て歓声を上げた。巨大なキャタピラーが交互に前進し、鋼鉄製の胴体には無数の銃眼が並び、最上部にあるヘルメット内のドームには操縦室に乗り込んだ隊員たちが見える。まるで昔のアニメに出てくるような外見の巨大ロボット「ギカース」は子供たちに大人気となった。

「ギガースかっこいい!」

「僕もギガースに乗りたい」

「すごいわね、まるでアニメみたい」

巨大ロボット「ギガース」は子供たちどころか大人たちにも人気を集め、その影響か市民防衛隊や警備隊に入隊する市民が増加した。


 ギガースは数週間の訓練の後、ノード南の山岳地帯に出撃した。ピラミッド要塞周辺に出没していたサラルは、ピラミッド要塞を飛び越し、引き寄せられるように巨大ロボット「ギガース」に襲い掛かった。サラルの群れは槍をギガース頭部の操縦席に投げつけたが、操縦席はその攻撃を予想して特に頑丈に造られていたのでサラルの槍攻撃は歯が立たず、胴体部分の銃眼に襲い掛かったサラルは、ハリネズミの様に取り付けられた連続弓によりバタバタと撃ち落とされていった。ギガースへの攻撃に失敗したサラルはその後、ギガースを見ると逃げ出すようになり、ピラミッド要塞にもノードのドーム付近にも近づくことが激減していった。



 ギガースが配備されてから3年後、ノード政府はサラル討伐に大きな成果を上げたギガースのイレーネへの出動を決定した。イレーネは、ノードからの救援により増強された警備隊・ユニコーン型ロボ・警備ロボットでサラルを撃退していたが、レーザー砲台もピラミッド要塞もなく、ノードに比べて防衛体制が劣っていることは明白だった。ノード政府はイレーネからの救援要請を受け、さらなる救援部隊の派遣を決定しイレーネ近辺の危険な状況を考慮して巨大ロボット「ギガース」の出動命令を下した。ライラ隊長と80名の隊員はギガースに搭乗し、イレーネ救援のためノードを出発する事になった。

 ギガースの操縦室のライラ隊長の「ギガース発進!」という指令一下、巨大ロボット型移動要塞「ギガース」はイレーネに向けて移動を開始した。その勇姿を多くのノード市民が讃えた。


 ノードを出発した巨大ロボット「ギガース」はイレーネに向けて走行を続けた。イレーネにあと数キロと言う地点で十数匹のサラルが襲ってきたが、ロボット内部で構える隊員達の連続弓から矢が放たれ、サラル達はたちまち撃ち落とされていく。サラルが逃げ去った後、ギガース後部の車庫から降ろされた二台のバイクがすばやく動き回り、連続弓から放たれた矢を回収していく。ギガース内部には銃も装備されていたがそれらは非常用で、通常の戦闘では繰り返し使用できる矢を放つ連続弓を用いる事になっていた。

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