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第13話 イレーネへの支援  (2627)

 イレーネの危機的状況に対処するため、ヨーセフ大統領は就任すると直ちに対サラル防衛策についてノード政府に支援を要請した。ノード政府は警備隊員とユニコーン型ロボット・警備ロボットを派遣する事を確約した。ノード政府はイレーネの窮状を伝え聞いており、サラルの襲撃からイレーネを守る事がノードを守る事に繋がると判断していた。


 ヨーセフ大統領の要請から4日後、ノードからユニコーン型ロボット12台と警備隊員百名を乗せた24台のジープの隊列がイレーネに向けて出発した。一日も早くイレーネの要請に応えるため、警備隊の志願者を緊急招集したので、出発には式典も市民の見送りも行われなかった。


 ノードを出発した警備隊のジープの隊列が各所で破断した舗装道路を進んで行く。イレーネに近づくにつれて、ジープ隊の前方にサラルの群れが現れはじめた。サラルの群れは次第に数を増し、イレーネの自由の女神像が見える地点で百匹近い集団となってジープの隊列に襲い掛かってきた。サラルの群れを迎え撃つことになった警備隊員とユニコーン型ロボは、手慣れた射撃で近づくサラルを十数匹撃ち落とし撃退した。


 その数時間後、ジープの隊列がイレーネに到着した。ノードの警備隊員達が見たイレーネは、市民の姿がなく街中はまるでゴーストタウンのような状態だった。政府関係者が出迎えたが歓迎式を行う余裕はなく、百名の警備隊員とユニコーン型ロボット12台は直ちにドーム周辺の防衛陣地を支援するために移動していった。防衛陣地で苦しい戦いを強いられていたイレーネの警備隊員達は、ノードからの支援部隊を歓迎した。

「ありがたい!ノード警備隊に感謝する!」

「我々は兄弟だ!兄弟が困っているときに助けない奴は人間ではない!」

「一緒にサラルをやっつけよう!」

 その日も防衛陣地にサラルの群れが押し寄せてきたが、ノードからの支援部隊の到着で戦力を増強したイレーネ警備隊は、防衛陣地の前面に配備された12台のユニコーン型ロボットの一斉射撃でたちまち十数匹のサラルを撃ち落とし、サラルを撃退した。


「久しぶりにユニコーン型ロボットを見たがやっぱり頼りになる!」

「ユニコーンも俺に任せろと言ってるな」

「まだまだ、今度はノードから警備ロボットが応援に来るらしいぞ」

「あのデカい警備ロボットが来たら、サラルどもは怖くて近寄ってこれなくなるだろう」


 その数日後、予告通りノードから警備ロボット6台と警備隊員50名を乗せたジープの隊列が追加支援としてイレーネに到着した。警備ロボットはイレーネのドーム周辺を取り巻くように配置された。その日イレーネに接近しようと上空から近づいてきたサラルの群れは警備ロボットの正確な射撃に気付き、早々にUターンして逃げ去って行った。この日以降、イレーネは余裕でサラルの攻撃を撃退し、サラルはドーム周辺に姿を見せなくなった。


 二十年前にノードから移住しイレーネ市を建設して以降に生まれた若者や子供たちは、ユニコーン型ロボットも警備ロボットも目にした事は無く、目を丸くして驚く者が多かった。6台の警備ロボットの頼もしい姿にやっと安心してドームの外に出て来るようになったイレーネ市民は、ノードから来てくれた警備隊員達に感謝の声を上げた。

「ノード警備隊の皆さんに感謝します!」

「警備ロボットやユニコーン型ロボットにも感謝します!」

「これでやっとドームの外を歩けます」


 ジュリアも久しぶりにルーク・クレア・エリックの3人の子供達を連れてドームを出て防衛陣地に出かけ、ノードの警備隊に笑顔で手を振った。子供たちは警備ロボットの姿を見て興奮を抑えきれない様子だった。この年に16歳になったルークは18歳になればすぐに警備隊員になる事を決意していた。14歳のクレアも10歳のエリックも警備隊員になると言い出した。


 これ以降、ノードとイレーネ政府はサラル対策を共有する事となり、毎月の様にノードとイレーネ間の人と物資の往来が始まった。イレーネからノードに避難する市民は子供連れの家族が多かった。逆にノードからイレーネに向かう若者たちの姿もあった。サラルとの共存を目指していたイレーネに興味を持った若者たちは、新天地を旅行する感覚でイレーネに向かう者もいた。ノードに避難していった市民の住んでいたドームに、ノードからの転入者が入居するという皮肉な現象もみられた。


 イレーネは、ノードからの支援によりサラルの侵入を撃退し、普通の生活を取り戻した。イレーネ市民は通勤通学ショッピングに外出できるようになり、イレーネ市街は賑やかさを取り戻すことになった。しかし、イレーネがサラルの群れに包囲されている事実に変わりはなく、イレーネの発電施設や農場は危険な状況が続いていた。イレーネ市民は警備ロボットに守られた狭小な農地からの作物を食糧とする生活を余儀なくされていた。

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