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卵が焦げる朝に

作者:高見もや
最新エピソード掲載日:2026/04/22
カークス・ピコピコドリルにとって、姉フランの作る卵焼きの匂いは「世界が続いている証明」だった。両親を亡くしてから五年、フランはすべてを背負い、何事もなかったかのように日常を守り続けてきた。だから信じていた。明日も、同じ朝が来ると。

だが、その日は違った。
目覚めても、匂いはない。台所は冷えきり、フランの姿はどこにもなかった。

残されていたのは、青白く光る“液体”の痕跡だけ。

それは、町で囁かれていた悪夢の証だった。
――人間を「人工培養液」に変え、意識を保ったまま閉じ込める魔法使い。

やがて現れた旅の少女ロッタは告げる。
フランは、弟を守るために自らその魔法使い――マリウスのもとへ向かったのだと。

守られてばかりだった自分。何もできないまま、失うだけで終わるのか。
選択の余地はなかった。

「――行く。フランを、取り戻す」

初めて自分の意志で家を飛び出したカークスは、ロッタと共に東の廃村ルートへ向かう。そこは“消えた人間”が最後に目撃された場所。だが待っていたのは、現実を侵食する魔法と、「人の意志そのものを奪う」という狂気の力だった。

触れれば終わり。
意識を保ったまま、“液体”に変えられる。

なぜ人は狙われるのか。
なぜフランは、自らその場所へ向かったのか。
そして――間に合わなければ、もう二度と戻らない。

世界が溶けていく中で、少年は初めて選ぶ。
守られるだけの存在を捨て、自分の足で進むことを。

これは、喪失から始まる物語。
そして――“取り戻すために戦う”物語。
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