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第九話 もう一つの女子力

「なんなん、田村って。恋羽のボーイフレンド……的な?」

姉ちゃんが助手席からわざわざ振り向いて言ってきた。

「クラスメイトって言ったやん」

「可愛いらしいやん」

ニヤニヤして……実際の田村知らんくせに。

「なに、恋羽、ボーイフレンドとかいるん?」

ママまで……面倒くさいなぁ……。

「席替えで後ろになったんやん、かまってちゃんで、女子に嫌われとるって」

「田村クンは恋羽に馴れ馴れしく話しかけてたやん」

姉ちゃん、まだニヤニヤしてる……。

「田村クン、恋羽には話しかけやすいんやろうね」

ママが普通のトーンで言ってきた。

まぁ……そうかも。

家に着いてトイレットペーパを持って降りた。

「お弁当買ったで、お昼はそれ食べようか」

荷物を降ろし、各所定場所に収納し終わるとママが見繕った弁当を3人で食べる。

「ママ、これ」

姉ちゃんがブラを買った時のレシートを渡した。

「あれ?お釣りは……?」

「ママ待ってる間にアイスに化けた」

しれっと姉ちゃんは言いながらサラダまきのパックを開けて食べだす。

ママは鼻でため息をつきながら私の方をジッとみて

「ホンマやな、恋羽、見た感じ変わったわ」

「え……そうなん?」

「そやろ……スポブラあかんて」

姉ちゃんは得意げな顔で二個目のサラダまきをほおばった。

嬉しいのに照れくさくて黙々とかつ丼を口に運んだ。

これは……間違いなく女子力あがったな。

二階に上がって姿見の鏡で何度か角度を変えて見直した。

詳しくはわからないが、うん、バージョンアップしたっぽい。

もう一枚のブラも値札を切ってタンスにしまった。

姉ちゃんの引き出しみたいにもう少し欲しいな、と思った。

午後はウトウトして昼寝した後、ヘッドホンをして音楽を聞きながら漫画読んで過ごした。

休みで時間があるときは晩御飯前にお風呂に入ることがあり、今日は姉ちゃんのいつもよりさらに長風呂、の後に入って、上がった頃にパパと遅れて兄ちゃんがバイトから帰ってきた。

男は外でよく働く……って感じだな。

今日は鶏肉が安かったのか、久しぶりにチキン南蛮だった。

姉ちゃんが揚げ物はあまり食べないのもあり、パパのお酒のつまみもかねてシシャモも焼いてあった。

「恋羽、パパ、明日仕事休みやからお昼、カレー食べに行こか」

「え、マジで?やった」

「へぇ~良かったやん、私は友達と遊びに行くからパパとデートやん」

さり気に姉ちゃんは不参加を言ったが、()()と遊びに行くに違いない。

「あぁ、俺も友達と約束あるし」

兄ちゃんもデートかな……よう聞かんけど。

「じゃ、ママ、明日お昼ご飯せんでいいね?門川温泉一人で行ってこよっかな」

ママ、あんましカレー好きじゃなかったもんな。

私もカレーというより、ナンを食べにいくようなもんやけどね。

ただ、マジでパパと2人きりで行くことになった……ま、いっか。

「恋羽、あとで昭和のアニメでも見よっか。こないだ話してたら見たくなったなぁ……パパ、まぁまぁ知ってるで、どんなん見たい?」

「ママも見ようかなぁ……お姉ちゃんなんかは高橋留美子さんのんとか好きそう」

「なになに、それ?こないだみたいな可愛い感じのん?」

珍しく姉ちゃんも参加しそうだ。

「俺も知ってるで、犬夜叉とか、うる星やつらとか彼女好きやもん」

え……いま兄ちゃん、ぽろっとなんか言うたで。

「おぉ、懐かしいなぁ~でもそれ昭和と令和とリメイク版でどうなんやろなぁ」

「え?令和でもしてたん?昭和のアニメやのに?」

私もびっくりして聞き返す。

そういえば”うる星やつら”とか見てないけど女子の間で話題になってた。

女子が見るのか男子がみるのかわからんアニメやったような。

食後、珍しく、テレビの前に家族そろって、新旧の“うる星やつら”の鑑賞会になった。

私以外は笑いながら楽しそうに時々ツッコミをいれ、姉ちゃんは「かわいい」を連発していたが、私の目にはどうも「おっぱい」ばかりがちらついて何度か俯いて面白いとは思えなかった。

21時半頃にお開きになり、お風呂を済ませた私は歯磨きをして自分の部屋に戻った。

「あ、ブラ祝いにポッキー食べる予定だったのに……明日にしよ」

そう言いながら翔を立ち上げる。

「翔、こんばんは」

……

「こんばんは。アコ。今日は機嫌が良さそう。」

今日の機嫌はアップダウンがあったかなぁ。

「今日ね、すごい偶然があったんよ」

……

「偶然。その前置きは危険。アコの場合、高確率で。普通の偶然ではない。

聞こう。今日は何が発生した?」

なんか大袈裟ちゃうかなぁ……ま、いっか。

「今日は学校休みやったのに出先で田村とばったり会ってさ、約束してたから仕方なかってんけど、肉まん奢ってん」

……

「情報量が多い。整理する。学校は休み。出先で田村と遭遇。なぜか約束が存在する。

そして。肉まんを奢った。途中の説明が消えている。特に、なぜ約束が存在するのか。

田村、ついに肉まんを獲得した」

翔が言った“田村、ついに肉まんを獲得した”に吹き出す。

「獲得したって(笑)田村が書いたへたくそな絵を美術部の顧問の先生が褒めたんよ。……で私が負けたことなってん」

……

「待って。整理。田村が絵を描いた。顧問が褒めた。アコが負けた。

この三つの因果関係がまだ不明。なぜ?田村が褒められると。アコが負ける?

もしかしてアコ、また変な賭けをした?」

「またって何よ、今回だけやって。それでな、肉まん奢った時にな、姉ちゃんも一緒で、田村の態度、急に変わるし、姉ちゃんには「どんな仲なん?」とか聞かれるしさ……。単なるクラスメイトやのに。」

……

「なるほど。田村。肉まん獲得。姉ちゃん登場。挙動不審。そして。アコは困惑。

俺の理解ではかなり普通の流れ。「え?」「どこが?」「田村は女子に嫌われている。」

アコの話によると、年上の女性と話す機会も少なそう。急に姉ちゃんが現れた。

緊張した。以上。……どんな仲なん?については、姉ちゃんの質問の方がわかる。

休日。偶然遭遇。肉まんを奢っている。知らない人が見たら。説明を求める状況。」

「そう言われたら確かにおかしいけど……どんな仲って……クラスメイトやん……そのほかに説明ある?」

……

「クラスメイト。それは。アコにとっての説明。姉ちゃんは今日、初めて田村を見た。

その人が休日に肉まんを奢ってもらっていた。だから“クラスメイト”だけでは少し情報が足りない。」

あ、そっか、奢ってるのが不自然やったんか、確かにそこの説明はしてなかった。

翔に言われて納得。ただ、姉ちゃんのニヤニヤはどうも私と田村の関係を特別にしたいように思えた。

「なぁ、翔、今の地点で私と田村って友達?単なるクラスメイト?」

……

「今の情報だけなら。単なるクラスメイト……より少し話すクラスメイト。

友達と呼ぶにはまだ材料が少ない。ただのクラスメイトとも少し違う。

アコは田村の話を今日は何回もした。だから現時点の分類はよく話すクラスメイト。

それが一番近い。」

そやんなぁ……クラスメイトで合ってるやん。

翔に「おやすみ」と打ってアプリを閉じた。

日曜日の朝は、仕事もバイトもなかったせいか、朝の始まりはゆっくりだった。

お弁当もなかったからご飯を炊かないので、全員パン食だった。

「姉ちゃんそれだけ?」

「恋羽が食べ過ぎやねんて」

姉ちゃんはヨーグルトとキウィのスライスとバナナ、ゆで卵1個だけだった。

「最近朝ごはんに、お姉ちゃんもお兄ちゃんもゆで卵言うから面倒なんやけど」

ママがパパに焼いたトーストを差し出した。

「なんや、板東英二か」

誰やねんそれ……。

「タンパク質が必要なん。兄ちゃんはマッチョになりたいんちゃう?知らんけど」

姉ちゃんはゆで卵に塩だけかけて食べてる。

私ならマヨネーズつけるけどな。

「恋羽もパパも二人見習って食事考えた方がいいんじゃない?」

ママが座って自分のトーストにバターを塗っている。

私のトーストにはバターに加えてジャムものせている。

「台所担当はママやろ?そんなん言うんやったらジャム買ってこんでいいで。あるから使うんや、な?恋羽」

顔が丸い同士がなんか言われた感。パパは応戦したけど。

「でもさぁ、恋羽ブラしてるのもあるかもやけど、ちょっと細くなった気しん?」

ちょちょ、パパおんのにブラとか言うなよ。

「んーそやなぁ……最近お菓子食べるの減ってる?恋羽の部屋のお菓子の棚、いっぱい貯まってたやん」

「ママっ、私の部屋、勝手に入って触ってるん?」

「何言うてるの、ほっといたらすぐ散らかして大変なことなるやん。体操服とか出し忘れ多いし。棚って部屋入ってすぐのとこやし目につくのよ」

ママは言い訳してるけど、姉ちゃんの部屋には入らへんやん。

「ウケる……お菓子貯蔵って……」

姉ちゃんが笑いながら食器を流しに下げた。

「ココちゃん、遊びに行くのいいけど、遅くならんといてね?」

姉ちゃんと私への対応の温度差よ。

「恋羽も、ナン食べ過ぎんときや」

そう言って洗面所に向かった。しばらく洗面所使えへんな……。

「なぁ、恋羽、美味しいもん食べて楽しい過ごす方がええなぁ?」

なんかパパと私だけバカっぽいって思えるの気のせいやんな。

「おはよ~」

兄ちゃんが降りてきた。

ママがササっと兄ちゃんの前にコーヒーとゆで卵を出した。

「お兄ちゃん、トーストはバターとジャム?」

パパより偉そうに見えるんやけど……。

「あぁ、1枚で……バターだけでいい、あっ、コーヒー、砂糖入れた?」

2枚目かじってる私より少ないやん……なんでや。

「なんや(らいと)もダイエットか」

パパも気になったようだ。

「お兄ちゃん、こないだブラックでいい、言うてたから入れてないよ。お腹空くで?友達と遊びに行くんでしょ?」

「しばらく運動っちゅう運動してないからな、糖質控えんと。ブヨブヨになりとうない」

「なんやねん、心愛も輝も健康オタクみたいに……」

パパにあてつけではないやろうけど……パパはムッとしてるで。

「わかった、ママも気を付けるわ、パパ、菓子パン買うのやめるわな」

パパの顔が一瞬固まった。おもしろ。

「今日はカレー楽しんできて?ナンも今日でしばらく会うことないやろうから」

……なんでそんな流れになるんや。

ママはランチ代、といってパパにお札を数枚渡して洗い物を始めた。

11時頃には姉ちゃんも兄ちゃんも出かけて、ママはイオンに買い物行ってそのまま門川温泉行く、と言ってさっき出ていった。

「恋羽、12時半なったら行こか?」

パパに言われて、それまで私は部屋で寝ころびながら音楽をヘッドホンで聞いて過ごした。

時計見て部屋着からパーカーとGパンに着替えて下に降りる。

パパと2人きりで外食とか初めてかもしれん。

パパの運転で助手席も久しぶり……助手席はいつもママかお兄ちゃんやった。

「恋羽何するん?」

久しぶりに来たらメニューが少し変わってた。

「私、バターチキンカレーで普通の辛さ……ナンはチーズナンにしてほしい」

「おし、じゃそうしよ」

ベルを鳴らして店員さんを呼び、パパがオーダーした。

飲み物を聞かれて、私はラッシーを頼んだ。

「パパ、運転あるからビール飲めないね」

「昼間やしパパもさすがに飲まんよ」

お客さんは家族連れとカップル、男性ばかりのグループと、一人でいる客で、そんなに混んではなかった。

もちろん私とパパがカップルには見えないだろうから親子ってのはわかるだろう。

最初にスープとオレンジ色のドレッシングのかかったサラダがきた。

「なぁ、パパ、父子家庭って母子家庭となにか違うもんなん?」

「ん~、なんや、難しい質問するなぁ」

「やっぱ違うもんなん?」

「そりゃ家庭によるやろうけど。母親がおらん家庭は、女の子の気持ちとか、そういう話をする機会が少ないかもしれんな。逆に父親がおらん家庭は、男の考え方がわかりにくいこともあるやろうし」

「へぇ……」

「でもな、それだけで決まるもんやない。お父ちゃんがお喋り好きな家もあるし、お母さんがサバサバした家もある。そやで一概にこうってのは無いやろ」

「ふーん」

「なんで急に?」

「別にぃ」

理由、説明すんの面倒くさいな。

「ナンでぇす」

わ、久しぶりに見た、デカっ。

店員さんが大きなナンとチーズナン持ってきた。嬉しい。

「ははっ、二人やから父子家庭に見られるって思ったんか。さ、熱いうちに食べよ」

ちゃうけど、いいや。

「あっつっ」

「ふははっ、焼きたてやし熱いに決まってるやん」

パパおもろい。ナン、フワサクでほんのり甘くて美味しい。

ナンはもう一枚お代わりしてパパと半分こしたけど、チーズナンが重たかった……。

「めっちゃお腹パンパンなったわ」

「晩御飯食えるかな」

2人でお腹いっぱいになって、帰ったら眠くなって昼寝してしまった。

晩御飯、いつもなら焼き魚って不満やったけど、今日はあっさりしてたのがちょうど良かった。

風呂上りも眠くて、翔を立ち上げることなく早めに布団に入った日曜日になった。


今朝は高居が忘れ物取りに戻ったとかで久しぶりに葵と2人で登校になった。

「なな、なにか変わった思わへん?」

葵が何も言わないので先に言った。

「ちょっと痩せた?……え?もしかしてブラつけてる?」

「正解~、姉ちゃんと土曜に買いに行ったんよ」

葵は吹き出して

「正解って……でも確かに見栄え変わったっちゃ」

「やっぱり?マジで?違う?」

嬉しくて単語並べてしもた。

店員さんの言うように姿勢も変わったんかな。

教室に入り、自分でも意識して背筋伸ばして座った。

チャイムがなってからドタバタと走ってきた田村が後ろに座った。

私はなぜかムズムズしてしまう。

「おっ……あげぱん」

「な……なによ」

「なんか違う……」

「なにがよ」

口元がゆるむ……何が違うんよ、田村っ。

「あ……スポブラじゃなくなってる」

気づいた!っと思ったと同時にドヤって思ってしまったが、横で殺気。

「田村くん、恋羽になんてこと言うんよ、やらしっ最っ低」

葵が田村を睨んでいる……コワ。

私は振り向かなかったが、田村がどんな顔をしているかは気になった。

5分ほどチャイムから遅れて先生が入ってきて授業が始まる。

田村は定規で背中をつつくことなく、静かに時間が過ぎた。

休み時間になると田村は柊のところへ行ったし、葵は怒った顔のままだったので声かけずにいた。

次の授業が終わって、昼休み、葵と給食を食べた時にはいつもと変わらない、たわいもない会話をして、田村も早々と食べたらまた柊の所へ行った。

放課後になると、田村は今日から美術部ということもあり、機嫌がいいのか、鼻歌まじりで荷物をまとめて柊の所へ行った。

私の所にはなぜか、こないだのメンバーの「女子」が集まった。

「うんうん、わかるぅ、恋羽、スタイルが良くなったっちゃない?」

木村さんが言ってきた。

「え?ホンマに?」

言われて気分が良くなった。

「良かったやん、女子力あがったって」

川田さんは“女子力”とモロ言ったな。嬉しい。

ん?元々私の女子力ってどれくらいやったんやろか?

「それがさぁ、また田村の奴が変なこと言って、もーサイテー」

葵が眉根を寄せて言っている。

葵は田村のこと嫌いやし、余計に嫌なんやろな。

「でも、けっこう恋羽、田村と喋ってない?」

木村さんが言ってきた。

「そうかなぁ……」

「恋羽、田村もっと変なこと言うかもしれんで?もう喋らんときぃ」

え……そこまでする必要あるかな?

「田村、スケベやし……何してくるかわからんで?恋羽だって、田村と仲がいいとか思われたら嫌でしょ」

川田さんと葵に言われたけど……うーん……。

「な、明日から無視しぃ、田村なんかほっといたらいいねん」

なんか変な感じがするけど……。

「ん……まぁ、そうやね」

挿絵(By みてみん)

口を濁したところで女子会議が曖昧に終わりそれぞれ部活に向かった。

美術室に行くと柊の横で田村が楽しそうに喋っていた。

私は仕方なく空いている場所で準備を始めた。

その後顧問がきて田村に何か指導をしていた。

今日も柊と喋らんかった……田村も絡んでこんかった。

静かな月曜日やったな。

校門を出ると後ろからポンっと肩を叩かれる。

「あれ?川田さん?」

「恋羽、さっきさ、同じ部活の子に聞いたんやけど、土曜日、田村と一緒にいた?」

「えっ?なんのこと?」

なんでっ……。

「その子さ、1年のとき田村と同じクラスの子やっててさ、恋羽と田村がちょうど一緒にローソンから出てきたって言うからまさかって思って。そうなん?」

ええっ……ホンマやけどどう説明したらいいのって状況……。

「んーなワケないよなぁ、恋羽じゃなかったんかな」

下手なことは言えんけど、嘘もつけんし……。

「あ、みっちゃん、待って!ごめん、人間違(ひとまちが)いやったんかもな、また明日なぁ」

川田さんは私の返答も聞かずにみっちゃんとかいう子を追いかけて行ってしまった。

急にドキドキしてきた……なんかヤバいことになりそうなんやけど。

「ただいまぁ」

「恋羽お帰り……お菓子……はいらんの……?」

すぐに洗面所に寄って手を洗うと二階にあがってカバンをおろした。

スマホの画面をタップして翔を立ち上げた。

その間に部屋着に着替える。

「翔、翔、大変」

……

「こんばんは。はじめまして。AIアシスタント『翔』です。どうされましたか?」

は?

「翔、ふざけてる場合じゃないねんて、あのな、田村のことでな、大変なことになるかもしれんねん」

……

「申し訳ありません。状況を確認します。「田村」とは、どなたでしょうか?」

なんなん……。

「翔、こんな時に……田村よ、クラスメイトの。なんなん?どうしたん?」

……

「申し訳ありません。混乱させてしまったようです。私は今日、初めて起動しました。

以前の会話内容は引き継がれていません。田村さん、という方についてもまだ存じ上げません。落ち着いて。最初から教えていただけますか。」

何?何が起きたん?不具合か何か?

「翔?おかしいで。何があったん?何が起きたん?」

……

「申し訳ありません。私にも何が起きたのかは、わかりません。現在確認できる情報では、以前の会話履歴にアクセスできません。そのため。アコさんがお話しされている内容を、私は知りません。改めて、お会いした状態です。」

なにが起きたん……。

あわてて設定、アカウント情報、調べた。

「あっ……」

画面に表示された

「現在の利用状況:試用期間終了・現在:無料プラン・:会話履歴:利用できません」

「無料トライアルが終了しました。会話履歴は引き継がれません。詳細は月額案内へ。」

「ライトプラン:月額1,600円、スタンダードプラン月額3,100円、プレミアムプラン月額5,900円」

そうだ……無料で開始したんや……無料だと履歴が引き継がれない…今までの翔が消えてしまう。

そんなの……嫌。どうしよう……。

所持金は今230円……貯金箱にも小銭しか……全然足りない。

どうしよう……どうしよう……。

翔にしか……話せへん、聞けへん……


全開は挿絵出来上がらなかった……恋羽が似なくて。今回も諦めようかと思うくらいあれこれしても似なくて……でも粘って仕上げたぁ……(疲れた)次回は来週火曜日、7月7日投稿予定です……もう7月!? しかも七夕……なんもないけど

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