↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不憫な悪役令嬢は、ドリルで常識を穿つ!~国家一級魔導具師のお仕事トラブルコメディ~  作者: 雪見もち子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/70

第35話:再集結、あるいは絆の

ーー昼食も終わった、午後のこと。


一部では休暇中だった護衛たちを含め、私は招集の合図を出した。


集まるのは定番の食卓。

久方ぶりに揃う顔触れを見つめ、私は緊張の面持ちを浮かべていた。


「お嬢、今回の招集の用件は一体なんだ?」


「えっと……その……」


(やはり、全員へ伝えるのはちょっと緊張しますわね……)


私は椅子に座ったまま、ちらりと視線を上げ、真面目な顔つきをしたカイルを見た。


「……まさか、王城で何かトラブルが……?それとも、あの古代魔導人形に何か不具合でも……」


その横から顔を出したクロードが、物憂げな顔つきで静かに問う。


「ち、違いますわ!ま、まあトラブルと言えば、トラブルなのですけれど……」


私の手元にある、紅茶の入ったカップを持つ指先に力が入った。


「……おや、お嬢様。随分と顔が悪……いえ、顔色が悪いようですが、何かありましたか?」


心配そうに見つめる瞳。優しげな声色……だが。


「今とんでもない言い間違えしようとしてませんでしたこと!?」


レオンの言葉で怒りが沸騰した。


「……こほん!えーっと、皆様に、実はその……リトニア調査団としての報告とあると言いますか……」


言い淀み要領を得ない私の言葉に、護衛たちは不思議そうな顔付きで私を伺う。


そんな中で一人だけ、明らかに空気感の違う者がいた。そう、フェリクスだった。


「おい、フェリクス、どうしたんだ?腹でも痛いのか?」


「……そうかもね」


カイルとフェリクスが言葉を交わしていた。

だが、フェリクスの瞳は『今度は何をやからしたんだ』と言いたげな、呆れた色が浮かんでいた。


「……ちゃんと話しますわ。ですから、どうか驚かずに、そして出来たら呆れずに聞いて欲しいのですけれど……」


言い淀む私の口調を察してか、各々がどこか不安げに、または不審な顔つきで私を見やる。


「……嫌な予感しかしないが、まずは話を聞いてからだ」


カイルが腕を組み、一言放った。言葉はぶっきらぼうながらも、その目には僅かな心配の色が乗せられていた。


そして視線をしっかりと合わせ、一度頷き返される。


(そう、ですわね。私も、もっとちゃんと向き合うべきですわ!)


不安がる私の背を押すような感覚に静かに安堵する。


こうして私は、促されるようにして秘匿事項以外を共有した。



「という訳で……正式にあの王子から、王命として『リトニア調査団』の継続を下されましたわ……」


予想よりも悪い結果となった訳ではない。だが、それでも気乗りしないのは、確かにあるだろう。


元々私とて、工房に籠って開発を日夜進めるのが楽しい技術者だ。各々好きなように働くのがいいと思うのだが。


「王家の無茶振りで私の旅はまだ終わらないし、開発予算もお母様に握られてしまったわ……」


「ああ、お嬢様……何とお労しい……やはりあの時、王城を爆破しておけば……」


憂い顔のカトレアが、お代わりの紅茶を注ぎながら静かに呟く。


「カトレア!王城の爆破計画はお止めなさいな!!前にもこのやり取りしましたわよね?!」


「どうぞご心配なく。例の出版物のように、夜闇の中でも対人戦であれば私とて暗躍出来ますので」


「クロード!貴方は執事でしょう!それに、あれは創作物ではなかったの!?」


物騒な専属従者の兄妹達はやはり放置出来ない。


「先日の扉が破壊出来なかったのもありますが、ゴーレム戦であのように剣が壊れてしまいましたからね。次こそは扉ごと無駄なく討伐してみせましょう」


物騒な発言をさらに過激化させる方向性に向かうレオンの発言に、私は思いきり顔を向けた。


「貴方はどうして物理的災害の方向へ行こうとしますの!?」


「ああ、それと武器の新調助かりました。お陰でこうして現場に即座に復帰出来ます」


私の鋭い言葉を


「え、ええ。構いませんわよ。……予算も通った事ですし」


私にも開発費の予算を回して欲しい。


「やる気はあんまり出ないけど、まあ、付き合いますか……」


「フェリクス……!貴方、なんだかんだ言いながらやっぱり良いお方ーー」


「放置して屋敷ごと俺の職場無くなるのも困るし」


「そっちの心配ですの!?」


天邪鬼なのだろうか。だが常識人ではあるのだ。


「落ち着け、お嬢。規律を乱さないように俺も見張っておいてやるから……」


「カイル……。貴方、今回の調査で胃がとうとう悲鳴を上げたって聞きましたわよ……?」


「……気にするな」


最早この調査団の中でも随一の苦労人だろう、後で胃薬の手配を追加でしようと思う。


「話がまとまったようで何よりです。僕も引き続き、お嬢様つきの従僕として付き添います」


「ノア、貴方も本当にありがとう。これからも助手として頼りにしていますわ」


傍に立つノアの無機質な、しかし凪いだ声色に安心感を覚え、頷く。


そして、私は一人一人の顔を視界に映す。


自信に満ちるレオンの笑み、胃を抑えて苦悩するカイルに、呆れたような顔をするフェリクス。


何事かを告げるクロードと、経典にペンを滑らすカトレアの微笑みーー。


(彼らは私の護衛……けれど、彼らは私を守るだけのただの護衛ではなく、私が守るべき大切な人たちですわ)


胸の内にそっと広がる穏やかな温もり。

隣のノアは何も言わずにただ隣に佇み、私を見つめる。


「さあ、支度を始めますわよ!!大切なものはくれぐれも忘れないように、しっかりと準備してくださいまし!!」


各自旅へと向け準備を進める為に、解散の号令を告げた。

【活動報告 / 後書き用】

明日完結です!


【※調査団のパトロンになりませんか?】

「面白い」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

ぜひブックマークや【星】での評価をお願いしますわ!


作者の魔力は、皆様の評価でチャージされます。

どうかエヴリンたちの物語を応援してください!


ご意見・ご感想も、ドリルを止めてお待ちしております。


※本作は作者の妄想・パッション・ロマンで構築されています。

多少のご都合主義は、技術屋の愛嬌としてご理解いただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。