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不憫な悪役令嬢は、ドリルで常識を穿つ!~国家一級魔導具師のお仕事トラブルコメディ~  作者: 雪見もち子


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第27話:再起の儀式③

安静(という名の軟禁)を耐え抜いた私の手に、一本の小瓶が握られた。



そう、あの禁断の儀式が再び幕を開けた。



「……仕上げですわ。クロード、例のブツを!!」



「承知しました。……さあ、お嬢様、一気に飲み干して再起動リブートを」



カトレアが更に調合を重ね、効果を薄めた『RE・ポーションD(軽量版)』



「元気ぃぃいいい!!!!」



「いっぱあぁぁああああい!!!」



私たちの声が宿の壁を突き抜ける勢いで響いた。



(羞恥心より回復が先。非効率よりも効率ですわ!!)



私はこうして一歩大人の女性、淑女としての一歩を確実に踏んだ。立派な成長である。


「……さて。お母様の言いつけ通り、『休養』はバッチリですわね」



腕を組み、小さく数度頷く。



「では、明日には街へ繰り出しますわよ!!」



疲労の抜けた身軽な身体に私はにんまりと笑った。




――エヴリンの方向性の間違えた成長の一歩を進めたその頃の裏側。



宿の片隅、月の光すら届かない薄暗い自室で、ノアは一人、ブラック・ボックスと対峙していた。



「……解析開始。……魔力回路の展開。ーー箱の開封オープン・コード



ノアが指先から細い魔力糸を伸ばし、箱の表面へと滑り込ませる。


モノクル越しの視界には、瞬時に膨大な演算ログが流れ始めた。 だが、その数値はノアの知る「魔導工学」の範疇を遥かに逸脱していた。



「…………っ、これは」



モノクルに映し出されるのは、理解不能な古代文字の羅列。



――Warning: Unauthorized Access Detected.

(警告:未承認のアクセスを検知)



バグだらけの文字が、ノアの視界を「白」く埋め尽くす。



「……異常を感知、侵入は中断。現地点の表層部で、これですか」



不連続な波形。解析不能なエラー。



「古代文字……不勉強でした」



タラリ、静かに背に伝う一筋の汗。



「――全く、理解が出来ない。解析も、現状不可能」



不気味なまでの静けさ、そして――。再び現れたのは、視界を覆う古代文字の一文。



【ACCESS RESTRICTED BY PROTOCOL】

(プロトコルによりアクセスを制限)



網膜を焼くような「赤」が眼前に飛び込む。


――ゾクリ、


本能が告げる異常の警鐘。悪寒が背筋を通り、脳の先まで突き抜ける。



――Warning: World-Script Decryption Prohibited.

(警告:世界記述の解読は禁止されています)



警告の「白」、そして――。



【Redefinition: Impossible】

(再定義:不可能)



【Do Not Gaze into the Abyss.】

(深淵を覗くな。)


拒絶の「赤」が視界を埋めた、次の瞬間。


――バチンッ!!


何かの意思を持って弾かれた。


「……っ、は……」


チリッと焦げ付くような指先への痛みに、思わず手を引く。


そして、無意識に止まっていた呼吸を整える。


(「古代の叡智」などという生易しいものではない。まるで世界の理そのものが「バグ」を起こしているかのような……)


痛む指先もそのままに、一つの要素も取り逃さぬよう、ノアは観察を続ける。


「……これが、古代のオーパーツ……僕には、手に余る代物ですね」


平常時は淡々とした声が、今ではほんのわずかに震えていた。


ブラック・ボックスは沈黙を保ったまま、ノアの指先に小さな痛みを与え続けていた。



【次回予告】

『第28話:自由の身と不穏な影①』

お嬢「ドリルで穿ってハンマーで叩き直しますわ!!」


【活動報告 / 後書き用】

定期更新:水・金 18時


【※調査団のパトロンになりませんか?】

「面白い」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

ぜひブックマークや【星】での評価をお願いしますわ!


作者の魔力は、皆様の評価でチャージされます。

どうかエヴリンたちの物語を応援してください!


ご意見・ご感想も、ドリルを止めてお待ちしております。


※本作は作者の妄想・パッション・ロマンで構築されています。

多少のご都合主義は、技術屋の愛嬌としてご理解いただけますと幸いです。

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