閑話④:聖域の番人、あるいは歪な愛の檻(クロード視点)
※カトレア視点の裏側、クロード視点のエピソードです。
当時:少年クロード(14歳)から、そして現在(23歳)へーー
妹が見た「光」の裏側で、少年が選んだ「闇」と「執事」の原点。
妹のカトレアは、盲目だ。
あの日、絆創膏一つで世界を塗り替えられたあの日から、彼女はエヴリンお嬢様という「光」しか見ていない。
お嬢様は確かに、俺たちが失ったすべてを肯定してくれた。ーーだが、世界は依然として残酷だ。
カトレアのあの美貌を、世間は中身など見ようともせず、「見た目だけの女」だとレッテルを貼り、その繊細な心を土足で踏み荒らす。
ーーならば、いっそ。この醜悪な世界そのものを、彼女たちの視界から消し去ってしまえばいいのではないか。
カトレア。俺の隣にいるのが当たり前で、俺がいなければ呼吸の仕方も忘れるような、危うい片割れ。
お前がそこまでお嬢様を敬愛し、その平穏を願うというのなら。俺は「闇」に落ちよう。
お嬢様が調律に没頭する静寂。
カトレアがその隣で、誰にも邪魔されずに心酔できる時間。
ーー二人だけの「狭い世界」を脅かす不純物は、すべて私が『処理』する。
……これは、執事としての役割だ。
(だが――それは、建前だ)
「あら、クロード。またそんな物騒なものを作っていますの……?」
「はい、お嬢様。これは単なる、害虫駆除の道具ですよ」
お嬢様が失敗作と呼ぶ、暴発寸前の魔導具。
それを手にするたび、
――俺の心は、冷たく昂る。
これを起爆剤にして、お嬢様を怖がる無知な輩も、カトレアに嫉妬の牙を剥く愚か者も、まとめて粉砕してしまえばいい。
カトレアの心の安寧は、お嬢様の隣にしかない。
そして、お嬢様の安全は、俺という「壁」の内側にしかない。
「でも、何だか最近、貴方の『害虫駆除』の処理が過激すぎて、屋敷周りに本物の虫一匹もいなくなってしまった気がしますわ!! ちゃんとリチャードの言うこと聞いてますの!?」
叱責を飛ばしながらも、彼女はふい、と視線を逸らして頬を染める。
「……でも、その、貴方が守ってくれているから私は安心して過ごせますわ。……ですから、貴方の貢献に報いる程度の感謝は、持ち合わせていなくもなくてよ?」
――その瞬間、クロードは静かに、深く頭を垂れた。
影の中に隠された口角が、凶悪なまでに吊り上がっていることなど、お嬢様は知る由もない。
例え、その先に――混沌と焦土しか残らなくとも。
カトレアが三歩下がった距離で控えるのなら、私がお嬢様の三歩前で、望むがままに道を切り開きましょう。
【活動報告 / 後書き】
定期更新日は水・金の18時です。
本作へ初評価をいただき、ありがとうございます!
とても励みになりました。
感謝の気持ちも込めて、別作品ではありますが、
スレ形式で少しだけ気持ちを書いております。
『秘密結社D.R.I.L.L. よしよし観察スレ』
https://ncode.syosetu.com/n8115mb/3
【※調査団のパトロンになりませんか?】
「面白い」「続きが気になる!」と思ってくださった皆様、
ぜひブックマークや【星】での評価をお願いしますわ!
作者のモチベーションという名の魔力は、皆様の評価でチャージされます。
どうかエヴリンたちの物語を応援してください!
(※この物語は作者の妄想・パッション・ロマンにて構築されております。
多少のご都合主義は、技術屋の愛嬌としてご理解いただけますと幸いです!)




