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不憫な悪役令嬢は、ドリルで常識を穿つ! 〜国家一級魔導具師が、古代遺跡を調査しますわ!〜  作者: 雪見もち子


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第1話:悪役令嬢は、淑女の嗜みにスパナを隠す①

(R8.4.16)新規エピを交えてのリメイクを行なっております。




淑女としての品格、技術者としての矜持。


そして――


「いいですわね。不具合は叩けば直る。直らなければ――ドリルで穿つのみですわ!!!」


――私の物語は今、ここから始まる。


と、格好よく締めておきながら、現実の私はというと……



「私、友人がほぼいないのですけれど」



はっきり言ってしまえば、“ゼロ”である。


――話は、そこから始まる。




大陸の端に位置する小国、アリステリア共和国。 我がリトニア領屈指の技術と浪漫の詰まった、中心地「クロフト街」は国内でも、変人な技術者が集う、機械仕掛けの街。



国を守るための「国防」の要から、民の暮らしを潤す「生活基盤インフラ」に至るまで。 この国を支える『魔導具』という技術改革は、他国の追随を一切許さない。



高く聳える時計塔。

それは複雑怪奇な内臓を晒している。大小様々な歯車が、互いの存在をぶつけ合うようにキリキリと鳴き、蠢く。



――共和国の技術を詰め込んだ、巨大な「心臓シンボル」である。



鉄と煙が立ち込める要塞のようなこの街は、今日も誰かの息遣いと、絶え間ない金属音に満ちていた。




「お嬢! スパナ型の苺味飴、新作できたんだ。これもってけよ!」



「あら、このフォルムはとてもよく再現されていて可愛いですわね。実用品にも向くかしら? ありがとう。早速いただくわ」



「見て見てお嬢様! この煤汚れ『超魔落ちくん』の素晴らしさ! 頑固な油汚れもこれで真っ白よ!」



「まあ、本当に見事なほどに真っ白ですわ。私もよく汚しますから『超魔落ちくん』にはお世話になっていますの。我が家のメイドも太鼓判を押していましたし、また買いに行かせますわね」



馴染みのある商会の青年や売り子の娘たちは、気さくに私へ声をかける。 だが、こうした会話ができるのは、古くから馴染みのあるこの街だけ。



不機嫌そうに吊り上がった鋭いルビー色の瞳。 腰下までの輝かしいシャンパンゴールド。ストレート状のツインテールを赤いリボンで結び、風にふわりと優雅に揺らし遊ぶ。



――愛らしい花のような白やピンクより、棘を持つ薔薇のように華美な色彩が似合う私。



この街から一歩外に出れば、私は巷を賑わす流行小説に出てくる『悪役令嬢』と呼ばれる存在だと囁かれる。



(――でも、わたしの本性は、ただの技術好きでちょっと変わり者なだけ。中身だって、その辺にいる普通の女の子と何ら変わらない)



見た目こそ高貴で崇高な上位令嬢。 だが内側は実に平凡、かつ一部が非凡。リトニア子爵家の三女にして、その本質は「重度の魔導具オタク」という仕様。



唯一、胸を張って告げられる事実があるとすれば――



わたくしが「国家一級魔導具師」である、その一点のみですわ)



――ガリッ



商人の青年にもらった庶民的な味の飴を齧る音が口内に響く。 それと同時に、回路で煮詰まった私の脳内が晴れる音がした。



しかし思い浮かんだのは、晴れやかな感覚とは違う、重く塞いだ記憶だった。



(ああ、あの頃はまだ少女らしい、淡い思いや期待があったものだったわ)



――それは今から十年前の記憶。



ーーーー

観測日記(Log-001-A)


【対象】:エヴリン・リトニア(16歳)

    リトニア家子爵令嬢 三女

    『国家魔導具師一級』の称号所持者


【状況】:領地巡回(という名のスパナ飴回収)中


【観測】:友人関係値……真空ゼロ



【警告】:十年前の記憶への侵入アクセスを開始。……記録します。

【活動報告 / 後書き用】

定期更新:水・金 18時


【※調査団のパトロンになりませんか?】

「面白い」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

ぜひブックマークや【星】での評価をお願いしますわ!


作者のモチベーションという名の魔力は、皆様の評価でチャージされます。

どうかエヴリンたちの物語を応援してください!


ご意見・ご感想も、ドリルを止めてお待ちしております。


※本作は作者の妄想・パッション・ロマンで構築されています。

多少のご都合主義は、技術屋の愛嬌としてご理解いただけますと幸いです。

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