三人組も様式美④
挑発する相手を替えたのか、 それとも素で話しているのか。
判断をつきかねた冬一郎は黙って引き下がった。
三人組の口汚い追い打ちにも耳を貸さない。
ここで百春の足を引っ張るわけはいかないのだ。
「もう一度言うわ。 その娘を離しなさい」
百春が罵声をぶった切る。
「だーかーらー。 離さないって言ってんだろ」
ヤレヤレと大袈裟な身振りをしてロン毛は言った。
「誘われたら誰とでもヤッちゃうから予約でいっぱいナノー。 都合のいいマドンナ。 それが鴛海淑子チャン。 みんなヨロシクネー」
淫らに身体をくねらせる鼻ピアス。
「そこのオメーも列に並ぶか?」
横の坊主頭が挑発的な笑みを浮かべた。
これは露骨すぎだと冬一郎は無視する。
そう足を引っ張ってはいけないのだから。
「だったらわたしが相手になってあげようか」
百春が満面の笑みで言った。
「へえ」
三人組の声が合わさった。
間違いなく彼女の挑発に喰いついた証。
「英莉」
「わかってる冬一郎さん。 よーくわかった」
百春は意志の問いにうなずいて答えた。
一言「わかった」と返して、 冬一郎は二歩三歩と離れた。
「意味わかってんのか特待生!」
三人組が念を入れて問い質してきた。
何を今更と百春は思った。
その問いはすでに彼へ答えたというのに。
ふぅとため息をついてロン毛を指差した。
「その懐に忍ばせてる得物はお飾りかしら」
ご指名の男は目を細めて嗤った。
「フーン。 わかってるよコイツ」
そう言ってフォグコートのファスナーを開く。
三人組は手ぶらであっても無防備ではなかった。
分解されたマジックスピアが裏地に吊るされていた。
お読みいただき、ありがとうございました。
次回は明日16時過ぎに更新予定です。
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