三人組も様式美③
「今をときめく新入生様が、 オレ達に何か御用でも」
「やっぱりデートの誘いだろー? エーリちゃん」
「入学式をサボろうなんて、 イーケナインダ」
ロン毛はしっかり応えてみせたのに、 続く二人が話を蒸し返して足を引っ張っている。
連携に難あり。
技術点をマイナス一点減らした。
さて御遊びはここまで。
百春は本題を切り出した。
「その娘を離しなさい」
「俺ら触れてもいませんて。 ホラネ紳士でしょーボクタチ」
鼻ピアスが門に手をついたまま言った。
「けどまあ離さないってのは、 的を得ているよ特待生」
「こー見えてモテモテだから。 ねーキヨコちゃーん」
囲まれた少女は口を閉じたままでいる。
しかし冬一郎は見た。
前に立つ人と人との狭い隙間が、 まわりの景色を消して視界を絞る。
その覗き穴から垣間見えた彼女の目を。
やはり我慢できない。
彼は居ても立ってもいられず、 群衆をかき分けて列の前に出た。
「おい! お前ら――」
「いいから、 冬一郎さん」
制した百春と目が合った。
深い紅色が情熱の色を宿している。
彼女も気づいたのだろう。
楽し気に笑顔を絶やさずにいるが、 先程までの調子はすっかり影を潜めている。
もはや人と相対している雰囲気ではない。
油断が許されない相手――霧と対峙している緊張だ。
「なんだテメエ」
坊主頭に突っかかれた。
「知らねーツラだな。 検索にもかかんねー」
「クソ雑魚はすっこんでな」
後の二人も面倒臭そうにこちらを向いた。
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