三人組も様式美②
初対面は名乗り合うのが礼儀だと申し出るよりも、 どんな反応を返すか探りの面が強かった。
「ボクタチ、 一般人だからー」
「名乗るほどでもありませーん」
「どうしても知りたいのなら教えてあげるよ。 手取り足取りね」
ヒャヒャヒャと嗤う三人組を見て、 百春はニッコリと微笑んだ。
彼らは真面目で模範的な屑野郎を演じている。
しかも想定していた中で満点に近い回答だ。
レアイベントが発生したという手応え。
テンプレートが機能したという確信。
アカデミー生活が楽しくなるという予感。
そんな明るい希望を屑共から見い出せたのだから。
しかし手放しに喜んではいられない。
神が敷いた軌跡を忠実に辿らないと、 あっという間に因果律は狂う。
テンプレートも破綻してしまうだろう。
なれば――。
「知る必要なさそうね」
彼女はセオリーにのって高飛車な女を演じてみた。
ツンツンした台詞に喝采をあげる三人組。
どうやらテンプレートは継続らしい。
「あららーフラれちゃったホクチャン」
「オマエの誘い方はなっちゃいねえよ」
「お嬢さん、 よかったら素敵なベッドがあるインファマリーまでいかが」
チャラい格好したロン毛と鼻ピアスが、 見た目どおりな振る舞いを見せた。
古典的な直球に横文字を加えた変化球。
わかりやすいほど基本に忠実な欲望アピールだと、 百春は下品さの採点にプラス一点を加えた。
「こっちの話を続けてもいいかな」
その上で完全無視を決め込み、 どう反応するか話題を振ってみた。
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