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ド陰キャ聖女に百合キスは荷が重すぎる!~唇への祝福が最強だとバレてしまい、キラキラ王子様系姫騎士と包容力おばけな女傭兵に迫られています~  作者: 鳥助
第一章

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8.幼馴染魔法使いアイリス

 あぁ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ! 私……本当に二人に狙われている!


 あの距離感は普通じゃありえない! あんな言葉は普通は言わない! がっちり、バッチリ、口説きに来ている!


 あぁ、私のせいだ! 私が好きな人じゃなきゃ唇のキスはしないって言ったから、本気で口説きに来ている!


 私なんかが二人のキスを奪っていいわけがない! こんな……こんなホコリの私なんかが、最前線の英雄をぉぉっ!


「ちょっと! リアナ、祝福の時間でしょ!」


 布団を被ってゴロゴロしていると、ミレイアさんの声がした。ずかずかと部屋に入ってきて、私の布団をはぎ取っていく。


「嫌なことはすぐに終わらせればいいでしょ。そんなちんたらしていたら、嫌な気持ちが溢れるだけじゃない」


「い、いや……今は別のことを考えていてですね……」


「別の事ー? 何を考えたっていうの」


 不思議そうな顔をして、ミレイアさんが私のベッドに腰かけた。


 うっ、これは話を聞く態勢。私のためにそこまでしなくてもいいのに、申し訳なくなる。でも、ちょっとだけ聞いて欲しいというか……。


「フィオナ様とシグリッドさんが最近妙に距離が近くて……。狙ってきているんですよぉ、最強の祝福を! なんか、私のせいで複雑怪奇な状況になっちゃいまして、本当に自分の馬鹿と頭を叩きたく所存! あぁ、私があんなことを言わなければ、お二人も嫌な役目を背負わずにぃ……あぁああっ!」


「あぁ、最強の祝福ね。狙っているの? そうは見えないけど……。どっちかっていうと、ただ心配しているようにしか見えないわよ。気にしすぎじゃない?」


「でも、いつもよりも会いに来るの多くないですか!? 距離近くないですか!?」


「あぁ、それは二人がリアナに対して優しいから、ちょっと気にかけてあげてって私が言ったんだよ」


 ……えっ? ミレイアさんが原因?


「二人に優しくされて、少しは元気になったんじゃないの?」


「そ、それはっ!」


 こ、ここはなんて言えばいい!? ミレイアさんには普段からお世話になりっぱなしだから、余計な心配をかけたくないし! それに、私のことを考えての行動だったから、ちょっと困ったなんて言えないし!


 うぅ、ミレイアさんには嫌われたくない。いつも、迷惑かけてばっかりで、本当に申し訳ないし。その気持ちを蔑ろに……あぁっ!


「……す、少しは元気になりました」


「なら、良かったじゃない。さっ、祝福の業務に行くわよ」


 ぐいっと手を引っ張られて、私は部屋を連れ出された。


 ◇


「……しんどい」


 膝から崩れ落ちるように床に座り込んだ。ふ、ふへへ……今日もなんとか、祝福業務を終わらせたぜ。


「ちょっと、リアナ。大丈夫?」


「ちょ、ちょっとだけ休ませてください……。隅でホコリになっていれば、回復しますから……」


 そう、私に必要なのは孤独。この心の闇を深くしてくれるのは、孤独しかない。もういっそ、隅から動かなければ……。


「なんじゃ。今日も辛気臭いのう」


 俯いていると、久しぶりの声が聞こえてきた。バッと顔を上げると、そこには金髪エルフの少女――アイリスが立っていた。


「ア、ア、アイリスゥ……」


「変な噂が耳にしたから心配して見に来たんじゃが、相当参っているみたいじゃったな」


 久しぶりの友人の姿に心の重みが一気に軽くなった。私の幼馴染で魔法使いのアイリス。私が王都を追放されたのに、一緒に着いてきてくれた唯一の親友だ。


「あら、久しぶりじゃない。最近、仕事が忙しかったの?」


「ちょっと、魔王軍に怪しい動きがあってな。それで、駆り出されていたんじゃ。私がいない間、ミレイアにはリアナの事で世話になったのう」


 二人がやり取りをすると、アイリスがしゃがんでくれた。


「どれどれ、私がいない間に大変なことになっておったのう。なんでも、唇のキスをすると最強の祝福になるとか」


「うっ! そ、その噂……広がっている?」


「ほんの一部だから、安心せい。そこまで広がっていないし、やりたい奴もいないじゃろう! な!」


 笑顔でそう言いますけれど、現実は違うんですよ! 言いたいけれど、言い出すのが恥ずかしいというか、申し訳ないというか……。


 その時、頭にチョップされた。


「いたっ」


「また、色々と考えておるのじゃろ。何があったか、説明せい」


「それは、その、あの……」


 なんだか言い出せなくてもじもじしていると――。


「実はね、最強の祝福を貰いたいがために、唇のキスを狙っている人がいるらしいっていうのよ」


「ミ、ミレイアさん!」


「別に悪い人たちじゃないし、いいんじゃないとは思っているんだけど」


「ミレイアさんっ!?」


 何を思って、そんなことを言い出したのか、私には分かりません! 本当にどうしてそうなった!?


「……はーん、本当に狙っているのか」


 アイリスが目を細めて、低い声でいう。なんか、一気に不機嫌になってませんか? そして、その目線で私を見てくる。


「リアナはそれを受け入れているのか?」


「いや、受け入れてないですよ! ただただ、相手に申し訳ない気持ちなので、出来れば止めていただきたいと……」


「そうなの? 結構、仲いいじゃない。いい線、いっていると思うんだけど」


「ミレイアさんっ!」


 もうこの人は、もう! でも、強く出れない! 本当にいつもお世話になっているから!


「……詳しい話を聞かせてもらおうかの。ミレイア、ちょっとリアナを借りてもいいか?」


「今日はこの後の業務はそんなにないから、別に良いわよ。司教には言っておくから」


「よし、リアナ。詳しく話を聞かせてもらおうかのう」


 そう言って笑うアイリスの圧が強いような。……ただ、聞かれるだけだよね? 別になんでもないよね?


「あっ、出来れば借りる理由とかあれば嬉しいかも。その方が司教も納得するでしょ」


「理由か……。じゃったら――唇のキスは最強なのか検証してくる、とな」


 と思ったら、なんかあったーーー! どういうことーー!?

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