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ド陰キャ聖女に百合キスは荷が重すぎる!~唇への祝福が最強だとバレてしまい、キラキラ王子様系姫騎士と包容力おばけな女傭兵に迫られています~  作者: 鳥助
第二章

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14.思いやり

「じゃあ、最後の荷物を運んでおきますね」


「うん、お願い。それが終わったら、休憩に入ってもいいって」


 ミレイアさんとやり取りを済ますと、木箱を持ち上げる。ぐっ……重い。こんな小さな木箱を持つので精一杯だなんて……私、本当に子供にも力で負けるのでは?


 いやいや、こんなことも役に立てないのは、流石にみんなに申し訳ない。普段から迷惑ばかりかけて、役に立たないんだから、踏ん張らないと。


 全身に力を入れて、なんとか木箱を外に倉庫に運んでいく。だけど、段々力が入らなくなっているような……。このままだと、落としちゃうっ。


 手がプルプルと震えて、足も前に進まなくなってきた。こ、ここで休んだ方が――。


 その時、手から木箱がなくなった。驚いて隣を見てみると、フィオナ様がいた。


「重そうだったから、手伝うよ。これはどこに置けばいい?」


「え、あ、お手を煩わせる訳には……」


「辛そうな顔をしているリアナを見たくなかったからね。手伝わせてほしいな」


 断ろうとしたけれど、極上の笑顔で遮られてしまった。うっ……その笑顔は私に効く。


「じゃ、じゃあ……庭の倉庫の方に」


「分かったよ。案内して貰ってもいい?」


「は、はい。こちらです」


 前に出ると、フィオナ様を先導していった。庭に出て、倉庫に着くと、フィオナ様は木箱を置いた。


「これでいい?」


「はい、ありがとうございます。お陰で助かりました」


「いいんだよ。あ、でもお礼は欲しいね」


「な、何でも言ってください! 叶えられるものでしたら、なんでも叶えます!」


「ふふっ、大きく出たね」


 私に出来ることがあるか分からないけれど、お世話になりっぱなしのフィオナ様に何か返したい。でも、私なんかがいいのかな……。それどころか、迷惑だったのでは!?


「……なんでそこで暗くなるの?」


「わ、私なんかの申し出は迷惑でしたよね!? 私に出来ることは限られていて……うぅ、私は役立たず……」


「そこまで卑下しなくてもいいと思うけれど。それに私の願いは、一緒に話すことだから。これだったら、リアナでも出来るでしょ?」


「そ、そんなのでいいんですか?」


「さぁ、来て」


 そう言って、私の手を握ると引っ張った。抵抗もせずについていくと、庭に置かれたベンチにたどり着く。二人で並んで座ると、ようやく落ち着いた。


「リアナは時間は大丈夫?」


「はい。この後、休憩時間に入る予定でしたから」


「そうか、良かった。じゃあ、この後の時間を私に全部くれるかな?」


「そ、それで良ければ……」


 改めてそう言われると、なんだか恥ずかしい気もする。でも、また口説いてくるんだろうか? それはそれで、困るんだけど……。


 そう思って身構えていると、フィオナ様が深いため息をついた。横顔を盗み見すると、いつもより疲れているような……。いや、これは疲れている。


「フィオナ様、ちゃんと休まれていますか?」


「えっ? 夜はちゃんと寝るようにしているけれど……」


「夜だけじゃありません。寝る時以外にも休まないと体に毒ですよ」


「しかし、今は忙しい時期だし……休むわけには……」


 これは、また一人でこなそうとしている。あれほど、一人で何もかも背負い込む必要なないって言ったのに!


「ダメです、ちゃんと休んでください! せめて、数十分でも仮眠を取れば楽になりますよ!」


「だけど、ようやくリアナと一緒にいるのに……。リアナと話したい、触りたいのに」


「そ、それだったら……膝枕しますから、それでいいですよね?」


 それだったら、触れていながら休める。うん、この案は良い。ちょっと恥ずかしいけれど、フィオナ様を休ませる方を優先させるべきだ。


 目を丸くして呆然としているフィオナ様に向かって、膝を叩いた。


「ど、どうぞ。あんまり肉付きは良くなくて、寝心地は悪いかもしれませんが、ベンチよりは役に立つと思います」


 すると、フィオナ様がゆっくりと私の膝に頭を乗せる。太ももにフィオナ様の感触がして、緊張してしまう。大丈夫、枕の気持ちになれば、きっとフィオナ様も満足してくれるはずだ。


「ど、どうですか?」


「……とても嬉しいよ。リアナが膝枕をしてくれるなんて思ってもみなかったから。心地よくて寝たくない」


「そ、そんな! それだと困ります! 普段から休まれていないのに、こんな時でも休めないのは体の毒です!」


 あの日から大分マシになったけれど、フィオナ様は職務漬けには変わりない。いつもどこか疲れているような気配がして、見ていられなかった。


 横になっていたフィオナ様がこちらに顔を向ける。それは少し驚いているような顔だ。


「……どうして、私のことが分かるの?」


「そ、それは……見てましたから。今日は疲れているな、とか。今日は嫌なことがあったのかな、とか。見ていたら、分かります」


「……見ていてくれていたの?」


「あっ、いや、そうではなくて! き、気持ち悪かったですよね! そんな風に見ていて! こ、今度から見ませんから!」


 そ、そうだよ! そんな人のことをジロジロ観察するような事をして、それを悪気もなく言って、普通だったら気持ち悪いよ!


 あぁ、私はなんてことを! 絶対に引かれたに違い! 恐る恐るフィオナ様を見ると、嬉しそうに笑っていた。


「私を心配してくれていたんだね。リアナが少しでも気にかけてくれて嬉しい。少しは私に気があるって思ってもいい?」


「そ、それは、その……」


 期待された視線を向けると、心臓に悪い。だって、その先にはキスが待っているんだから……。


「そ、そんな事よりも! 早く寝てください! 体が心配ですから!」


「こうしているだけでも疲れが癒えるよ。だから、リアナの気持ちを聞かせて。そうしたら、もっと元気になるから」


「そ、そんなこと言っても駄目です! 眠るのが一番いいんです!」


 膝枕をしているのに、なんで寝てくれないの!? これだと、逆に逃げられない! わ、私にも心の休息を下さい! 


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