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ド陰キャ聖女に百合キスは荷が重すぎる!~唇への祝福が最強だとバレてしまい、キラキラ王子様系姫騎士と包容力おばけな女傭兵に迫られています~  作者: 鳥助
第二章

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13.意外と人気

「聖女様、わざわざお越しくださってありがとうございます。これで、しばらくは問題なく過ごせます」


 そう言って、その人はお辞儀をした。私はなんとか一言二言を言葉を残すと、そそくさとその場を離れた。


 ……はぁ、出張祝福も辛い。なんで出張してまで百合キスをしなければいけないんだろう……。出張百合キス……本当に何それ。いつもの業務に出張が重なると、本当に辛い。あぁ、私は何を――。


「リアナ!」


 その声を聞いて、一瞬で現実に戻ってきた。前を見ると、フィオナ様が駆けてくるのが見えた。


「あっ……フィオナ様、こんにちは」


「良かった……今日はギリギリ間に合ったみたいだね。今、終わったばかり?」


「はい。滞りなく終わりました」


「じゃあ、教会まで送らせてもらうよ。その方が安全でいいでしょ?」


 フィオナ様も自分の仕事があるのに、いつも気を使ってもらって申し訳ない。でも、安心出来るから本当にありがたい。


 ……こうして、どんどん絆されていくような気がする。その内、なんでもいう事を聞くようになってしまうかもしれない。


 恐ろしい……恐ろしいぞ、フィオナ様! そうやって、人の心をたやすく篭絡して、キスを奪ってくるに違いない。私は絶対に絆されない、絆されないぞ!


「リアナ、何を考えてる?」


「はっ! いや、それは、フィオナ様に絆されないように、自分に強く……って、そういう話じゃなくてですね!」


「私のことを考えてくれた? ……嬉しいね。もっと考えてよ、一日中とか」


 なんか、私……フィオナ様が嬉しくなるようなことを言った!? そ、そんなつもりは……! どうしていつも、思い通りにならないんだぁっ!


 頭を抱えて悶えていると、隣から笑い声が聞こえる。うぅ、またからかわれた? くっ、フィオナ様の思い通りには――。


「あっ、聖女様じゃない?」


 その時、声が聞こえた。通りを歩いていた女性たちがこちらに気づき、駆け寄ってくる。


「聖女様が歩いているなんて珍しい! また、祝福かけてください!」


「ここで祝福をかけてもらえますか?」


「えっ……いや、それはちょっと……」


 あっという間に距離を詰められて、引き腰になってしまう。女性たちは楽しそうに話しかけて距離を縮めてくる。正直言って、業務以外の絡みは苦手だ。


 どう断ろうか悩んでいると、周辺から視線を感じた。女性たちがこちらを見て、私に気づいた。


「あっ、聖女様! 祝福、かけてください!」


「ちょうど、抽選に落ちちゃって困ってたんですよね。ここでもいいので、かけてください」


「今、時間ありますよね? 祝福、お願いします」


「あ、あ、あ……うぅ……」


 あっという間に囲まれてしまった。どうして、私の祝福がこんなにも人気なのか分からない。というか、色んな人が歩いている通りで百合キスなんて出来るかぁっ!


 でも、迫ってくる女性たちを断り切れない。だけど、ここでなんて百合キスなんて出来ない。うぅ、ど……どうしたら。


「悪いけど、聖女は業務外よ。ちゃんと、祝福の申請を通してから来て頂戴」


 すると、フィオナ様が前に出て女性たちに向かって言ってくれた。それで、少しはホッとするけれど――女性たちはもっと詰め寄ってきた。


 こ、これは……逃げられない? 大人しく従った方がいいのかな……。このままだと、フィオナ様にも迷惑が――。


 そう思っていた時、体がふわりと浮いた。驚いて顔を上げると、フィオナ様が私をお姫様抱っこした。


「捕まって、逃げるよ」


「えっ、あっ……はいっ」


 ギュッとフィオナ様の服を掴むと、女性たちを避けて駆け出した。


 うわっ、速いっ! 怖いっ!


 その速さに驚いて、服を掴む手に力を籠める。その後、すぐにフィオナ様は私の体を強く抱えてくれた。落ちないように気を遣われている?


 そのちょっとした動作に心の不安が不思議と消えていく。体を託してジッとしていると、走る速度が落ちて立ち止まる。


「この辺なら大丈夫かな? リアナ、大丈夫だった?」


「は、はい……お陰様で助かり――」


 ホッとして顔を向けると――近い! 物凄く顔が近い! 女神のように整った、麗しい顔が近い! し、心臓に悪い!


 そ、それに……お姫様抱っこされている!? ぜ、絶対重かったに違いない! 腕が骨折しているかもしれない! わ、私はなんて罪深いことをっ!?


「お、下ろしてください!」


「どうして?」


「お、重たいですよね!? このままだと腕が骨折してしまいますよ! そ、そんな怪我をさせたくありません!」


 そうだ、そうだ! 腕が骨折する前に下ろせーっ! 決して、密着して女神の顔が近いからという理由ではないっ! 心臓に悪いからではない!


 慌ててそう言って訴えると、フィオナ様の顔が不機嫌に変わった。


「……重い? これで? 吹けば飛ぶように軽いんだけど……リアナはちゃんと食事取っている?」


 こ、これは……私が怒られている? な、なぜ? こ、ここは私が強く出る場面では?


「正直言って、こんな体で一人で出張に行かせるのはどうかと思う。こんなんじゃ、子供の力でもリアナを拘束出来るのでは?」


「い、いや……流石にそんなに弱くないですよ?」


「……いや、危険だ。リアナの身に何かあったら、私が悲しい。ずっと、傍で守って上げられないのが悔しい。いっそ、教会を騎士団の本部にしてしまうという手も……」


 そ、そこまで考える!? 流石にそれは申し訳ないというか、私なんかがフィオナ様の手を煩わせるわけには……。


「とにかく、リアナを通りを歩かせるのは心配。このまま教会に行こう」


「……このまま?」


 いや、今……お姫様抱っこされているんですけれどぉっ!? こ、このままぁ!? は、恥ずかしすぎて、壁に埋まりたいんですけどぉっ!?


「い、いや……私はそんなことをされるような人間では……」


「そんなことをされる人間だよ、リアナは。私にとっては大切な人だからね」


 極上の微笑みを浮かべてそう言われると、鼓動が高鳴る。いや、こんな至近距離でそう言われるのは迫力がありすぎて、死ぬぅぅっ!


 ってか、教会まで本当にこのまま? く、口説かれ死してしまうっ!

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