第二十章: 伝説の下の伝説。
神社を後にすると、調査員たちは滞在先へ戻った。
私も、彼らについて行った。
そのつもりはなかった。
だが、私の中で、何かが変わっていた。
木の板。
その名前。
ヤマツチウシ。
大地の下にいる存在。
理解する必要があった。
彼らは村の端にある小さな部屋を借りていた。質素な空間だった。低いテーブルと、いくつかの座布団。そして、機材を置くと、ほとんど余裕のないほどの広さしかなかった。
床には、配線が這っている。
テーブルの上では、ノートパソコンの画面が薄暗い部屋を照らしていた。
アイコが、私に座るよう手で示した。
「少し時間がかかります」
彼女は言った。
「全部、転送する必要がありますから」
私は座った。
彼らは素早く、効率的に作業を始めた。
カメラがコンピューターに接続される。メモリーカードが挿入される。
写真が次々と画面に現れ、数百枚もの画像が、数秒のうちにフォルダを埋めていった。
アイコは、それらをカテゴリーごとに整理していった。
神社の彫刻。
六つの鳥居。
絵画。
木の板。
象徴。
ニジエの人物たち。
ヤマツチウシへの言及。
やがて彼女は、いくつかの写真を拡大し始めた。
神社でははっきり見えなかった細部が、鮮明になっていく。
かすかな線。
隠された形。
薄暗い光の中で、私が見落としていた小さな印。
私は身を乗り出した。
「あれは、何ですか?」
尋ねた。
アイコは答えなかった。
すでに画面に集中し、キーボードの上で指を動かしている。
アイコはブラウザを開き、ニジエについて検索を始めた。
異なる漢字や文字の組み合わせを試していく。日本語で検索し、次に英語で検索する。さらに、古い文字の形まで試した。
しかし、手がかりになりそうな情報は、何も出てこなかった。
歴史的な記録もない。
信頼できる民間伝承の資料もない。
現代の記事もない。
あるのは、いくつかの無名のウェブサイトに残された、曖昧な言及だけだった。
どれも、役に立たない。
まるで、ニジエなど、最初から存在しなかったかのようだった。
私は、それを奇妙に感じた。
「もしかしたら、ただの地元の民間伝承なのかもしれません。村が作り出したものとか」
私は言った。
アイコは首を横に振った。
「そうかもしれない。でも、なぜ神社に彫られているの? 存在しないものを、誰がわざわざ彫るの?」
彼女は、古代の画像の一つを拡大した。
小さな人物たちが、今でははっきり見える。
丸い体。細い手足。
その手には、小さな道具が握られていた。
筆だ。
私は気づいた。
絵を描く道具。
その上には、虹があった。
そして、虹の向こうには、別の何かがあった。
形。
存在。
色彩のアーチの向こうから、より大きく、より暗い何かがこちらを見ている。
「より高位の存在……」
アイコが呟いた。
「彼らが仕えていた存在」
彼女は、長い間その画像を見つめた。
「誰かが、これを知っていた」
彼女は言った。
「誰かが、意図的にこれを彫った。これは偶然じゃない。これは、物語だ」
アイコは検索バーに、ヤマツチウシと入力した。
結果は、ほとんど即座に画面を埋め尽くした。
記事。
フォーラムの投稿。
ブログの記事。
古い本への言及。
彼女は最初のリンクをクリックした。
すぐに、何かがおかしいと感じた。
現代の伝説では、ヤマツチウシは神社の記録とは違った姿で描かれていた。
オンライン上の情報では、大地に関わる怪異として語られている。山、地震、震動、怒り、そして破壊。
いくつかの伝承では、巨大な牛のような妖怪に近い姿で描かれていた。
大地の下に住み、何かに擾されると暴れ出す獣。
アイコは眉をひそめ、木の板の写真を画面に呼び出した。
「これは一致しない」
彼女は言った。
私は画面を見た。
現代の説明を。
古代の記録を。
彼女の言う通りだった。
同じものではない。
神社の記録が描いていたのは、供え物を要求する何かだった。
鎮め続けなければならない何か。
聞いている何か。
一方、オンライン上の伝説が描いていたのは、怒っている何かだった。
破壊的な何か。
理由もなく襲いかかる何か。
「どちらが本当なんですか?」
私は尋ねた。
アイコは、すぐには答えなかった。
画面を見つめたまま、眉をひそめている。
「わからない」
彼女は言った。
「でも、どちらかが間違っている」
そして、私を見た。
「それに、村はどちらが正しいのか知っていると思う」
彼らは、古代の神社の画像を、現代の情報と並べて画面に表示した。
違いは明らかだった。
一方には、現代の伝説。
ヤマツチウシ。
山々の下に潜む破壊的な存在。
怪物。
獣。
怒りに任せて暴れ、地震や震動を引き起こし、動くたびに破壊をもたらす何か。
もう一方には、古代の神社の記録。
そこに描かれていたヤマツチウシは、まったく別の存在のようだった。
古代の村人たちが理解していた何か。
儀式。
供え物。
細心の注意。
そして、耳を傾けること。
そうしたものを通して、彼らが関わっていた存在。
アイコは、二つの画像を見つめた。
「伝説は、時とともに変わったの?」
彼女は呟いた。
「物語は、歪められたの?」
私は神社を思い出した。
供え物。
米。
注意深く整えられた配置。
「もしかしたら、人々は最初の意味を誤解したのかもしれません」
私は言った。
アイコはゆっくりとうなずいた。
「それはあり得る。物語は変わる。細部は失われる。意味も移り変わる」
彼女は再び、古代の画像に目を向けた。
木に彫られた、小さな人物たち。
その上に弧を描く、虹。
その時、彼女は何かに気づいた。
画面に顔を近づける。
彼女の指が、木の板に刻まれた文字をなぞった。
「古代の記録は、ヤマツチウシを邪悪なものとして描いていない」
彼女は言った。
「怒っているとも、破壊的とも描いていない。それは、均衡を保ち続けなければならないものとして描かれている」
彼女は私を見た。
「維持されなければならないものとして」
背筋に、悪寒が走った。
米。
供え物。
隠された縄。
最近、置かれたばかりの新鮮な穀物。
誰かが、均衡を保っていた。
誰かが、ヤマツチウシを鎮め続けていた。
ニジエ。
ヤマツチウシ。
虹の絵描きたち。
古代の存在。
彼らは、あらゆる組み合わせを試した。
ヤマツチウシ+ニジエ。
虹の絵描きたち。
虹の妖怪。
古代の山の神。
地元の神社の記録。
地域の伝説。
何もない。
検索結果は空だった。
二つを結びつける情報は、何もなかった。
まるで、この二つが一緒に言及されたことなど、一度もなかったかのように。
まるで、ニジエの存在そのものが、あらゆる記録から消し去られてしまったかのように。
アイコは、ますます苛立っていった。
より速くキーボードを打ち、さらに深く検索し、異なる組み合わせを試す。
何も見つからない。
「ニジエが、歴史から消えたみたい」
彼女は言った。
「どこにも記録がない。どの文献にも言及がない。どの文書館にも手がかりがない」
彼女は椅子に深くもたれた。
キーボードから手が離れる。
「おかしい。神社に彫られている。確かに、この物語の一部なのに……他のどこにも存在しない」
私は神社を思い出した。
隠された縄。
散らばった紙垂。
注意深く整えられた配置。
そして、初めてあの彫刻を見た時、心に浮かんだ言葉を思い出した。
もしかしたら、誰かが彼らを忘れさせたかったのかもしれない。
その言葉は、止める間もなく口からこぼれた。
「もしかしたら、誰かが彼らを忘れさせたかったのかもしれない」
アイコが私を見る。
部屋が静まり返った。
自分が口にした言葉の重みを、私は理解した。
その意味するところを。
「つまり……」
私は言い始めた。
「もしかしたら、物語はただ失われただけなのかもしれません。時間とともに。物事は、失われていくものですから」
アイコは何も言わなかった。
ただ、ペンを手に取った。
そして、ノートに何かを書き込んだ。
彼らは、再び写真に戻った。
アイコは彫刻を一つずつ拡大していった。
ニジエの人物たち。
虹。
背景の山々。
彼女は、それらを注意深く調べた。
その時、また何かに気づいた。
「ニジエは、ヤマツチウシと戦っているようには描かれていない」
彼女は言った。
「それを崇拝しているようにも描かれていない」
彼女は画面を指さした。
「見て。どの彫刻でも、彼らは虹を描いている。山々の周りに。村々の周りに。でも、ヤマツチウシとは直接関わっていない」
私は画像を見た。
彼女の言う通りだった。
小さな人物たちは、いつも同じ姿勢をしていた。
筆を手に。
腕を上げ。
空に、色彩のアーチを描いている。
虹の向こうにいる存在は、そこにいる。
だが、遠い。
見ている。
「虹は、何を表しているの?」
アイコは呟いた。
彼女はいくつかの異なる彫刻を表示し、画面上に並べた。
どの彫刻でも、虹は何かの後に現れていた。
災害。
地震。
ひび割れた山々。
破壊された建物。
倒れた木々。
そして、虹。
アイコは画像を凝視した。
眉をひそめ、唇をわずかに動かしながら、その順序を追っている。
そして、ゆっくりと何かに気づいた。
「もしかしたら、虹は神の象徴じゃなかったのかもしれない」
彼女は言った。
私は彼女を見る。
「じゃあ、何だったんですか?」
彼女は画面を指さした。
虹を。
それを描いているニジエを。
「もしかしたら……それは、応答だったのかもしれない」
再び、背筋に悪寒が走った。
「何への応答?」
彼女は私を見る。
「災害への。破壊への。ヤマツチウシが擾された時に起こしたことへの」
彼女は一度、言葉を切った。
「もしかしたら、ニジエは召使いじゃなかったのかもしれない。別の何かだったのかもしれない。もしかしたら……彼らは、後から来た者たちだったのかもしれない」
彼女は画面を見た。
「修復した者たち。空に、色を取り戻した者たち」
私は、もう一度画像を見た。
ひび割れた山々。
倒れた建物。
その上に弧を描く虹。
ニジエは、象徴を描いていたのではない。
彼らは、約束を描いていた。
世界は、再び美しくなる――と。
そのウェブサイトは古かった。
デザインは時代遅れで、レイアウトもぎこちない。
何十年も前に作られ、そのまま放置されたような、そんな種類のサイトだった。
だが、そこには日本の民間伝承が集められていた。
数百もの物語、伝説、神話が、一か所にまとめられている。
アイコは項目をスクロールしていった。
ほとんどは、見覚えのあるものだった。
狐。
天狗。
鬼。
いつもの妖怪たち。
その時、彼女の指が止まった。
数百もの物語に埋もれるようにして、ヤマツチウシについての短い項目があった。
その描写は、また違っていた。
この版によれば、ヤマツチウシは単なる怪物ではなかった。
破壊をもたらす獣でもなかった。
それは、大地の下で眠る存在として描かれていた。
擾されれば、地面を震わせる。
怒らせれば、山々を揺らす。
だが、ニジエへの言及はなかった。
虹についての言及もない。
召使いについても。
絵描きについても。
約束についても。
アイコは、そのページを保存した。
それから、画面を見つめた。
「三つの異なる伝承……」
彼女は言った。
最初のものを指さす。
「インターネットの伝説。怪物。破壊者」
彼女は別のウィンドウを開いた。
神社の写真。
「古代の記録。均衡を保たなければならない存在」
そして、第三のウィンドウを開く。
古いウェブサイト。
「そして、これが何なのかは分からない。眠る者。擾されると、震える者」
彼女は私を見た。
その目は困惑に曇っていた。
「三つの異なる物語。三つの異なる伝承。なのに、すべて同じものについて語っている」
彼女は椅子に背を預けた。
「どれが本当なの?」
私は答えなかった。
ただ、神社のことを思った。
供え物。
注意深い維持。
隠された縄。
誰かが、真実を知っていた。
そして、彼らは語ろうとしなかった。
アイコは椅子に寄りかかり、膝の上でノートを開いていた。
タケシは窓の近くに立ち、腕を組んでいる。
ケンジは床に座り、壁に背を預けていた。
その装置は、彼の脇に置かれたまま忘れられていた。
「もしかしたら、元の物語は意図的に変えられたのかもしれない」
アイコは言った。
「誰かが、時間とともに細部を変えた。ヤマツチウシを、眠る者ではなく怪物にした」
「あるいは、村が独自の物語を作り出したのかもしれない」
タケシが言った。
「何が起きているのかを説明するために。自分たちが状況をコントロールできていると思うために」
「あるいは、現代の伝説は、まったく別の地域から来たのかもしれない」
ケンジが付け加えた。
「別の物語が、これと混ざった。名前が混同され、細部が融合することはある」
アイコはゆっくりとうなずいた。
「ヤマツチウシは、もともとはまったく別の何かだった。私たちが記録を持っていない何か。ここにしか存在しない何か」
「そして、ニジエは?」
タケシが言った。
「後の記録から消された。あるいは、そもそも公式の物語には含まれていなかった。失われた、ただの地元の細部だった」
「あるいは、この神社には、完全に未知の地元の神話が残されている」
ケンジが言った。
「この谷の外には決して広まらなかった何か。それを信じた人々とともに、死んでしまった何か」
誰も結論を出すことはできなかった。
理論は積み重なった。
可能性は増えていった。
だが、そのどれ一つとして証明することはできなかった。
確認することもできなかった。
やがてアイコは、ノートパソコンを閉じた。
「昔の物語を知っている誰かを見つける必要がある」
彼女は言った。
「覚えている誰か。教えられた誰か」
私は、村の年長者を思い出した。
村の端にある、彼の家。
疲れた目。
慎重な沈黙。
そして、彼の警告。
忘れたままにしておいたほうがいいものもある。
私は、彼の名前を口にしなかった。
私は、彼らが作業を続ける間、静かに座っていた。
アイコはキーボードを叩く。
タケシは写真を整理する。
ケンジは録音を見直し、データを前に眉をひそめていた。
私は、彼らを見ていた。
そして、重要なことに気づいた。
超常現象調査員たちは、もはや単に幽霊を追っているのではなかった。
彼らは、噂から始めた。
物語から。
オンラインで広まり、人々の好奇心を引きつける、そんな種類の伝説から。
だが、彼らは本物の何かを見つけていた。
現在の村よりも前から存在していた何か。
村人たちが、話題にしたがらない何か。
隠された――あるいは、忘れられた――あるいは、意図的に消し去られた何か。
彼らは、ヤマツチウシを見つけていた。
大地の下にいる存在。
眠る存在。
聞いている存在。
そして、彼らはニジエを見つけていた。
虹の絵描きたち。
災害の後に、約束を描いた者たち。
歴史から消し去られた者たち。
そのことが、なぜか私の心に引っかかった。
誰かが、彼らを消した。
誰かが、ニジエは忘れられるべきだと決めた。
誰が?
そして、なぜ?
私は、古代の神社の写真を見た。
それはまだ画面に表示されていた。
山々の上に弧を描く虹。
絵を描く小さな人物たち。
そして、そのすべての背後にある、暗い存在。
ただの写真だった。
彫刻。
画面上で揺れる、光と影の戯れ。
あるいは――少なくとも、私はそう自分に言い聞かせた。
私は目をそらした。
調査員たちは、作業を続けていた。
夜は、さらに暗くなっていった。
そして、山は待っていた。
次に何が起こるのか。。。
次回、同じ時間に、同じ場所で。




