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「夜になると、子供たちは歌い出す」  作者: アンドリュー・チェン


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第二十章: 伝説の下の伝説。

神社を後にすると、調査員たちは滞在先へ戻った。


私も、彼らについて行った。


そのつもりはなかった。


だが、私の中で、何かが変わっていた。


木の板。

その名前。

ヤマツチウシ。


大地の下にいる存在。


理解する必要があった。


彼らは村の端にある小さな部屋を借りていた。質素な空間だった。低いテーブルと、いくつかの座布団。そして、機材を置くと、ほとんど余裕のないほどの広さしかなかった。


床には、配線が這っている。


テーブルの上では、ノートパソコンの画面が薄暗い部屋を照らしていた。


アイコが、私に座るよう手で示した。


「少し時間がかかります」


彼女は言った。


「全部、転送する必要がありますから」


私は座った。


彼らは素早く、効率的に作業を始めた。


カメラがコンピューターに接続される。メモリーカードが挿入される。


写真が次々と画面に現れ、数百枚もの画像が、数秒のうちにフォルダを埋めていった。


アイコは、それらをカテゴリーごとに整理していった。


神社の彫刻。

六つの鳥居。

絵画。

木の板。

象徴。

ニジエの人物たち。

ヤマツチウシへの言及。


やがて彼女は、いくつかの写真を拡大し始めた。


神社でははっきり見えなかった細部が、鮮明になっていく。


かすかな線。

隠された形。

薄暗い光の中で、私が見落としていた小さな印。


私は身を乗り出した。


「あれは、何ですか?」


尋ねた。


アイコは答えなかった。


すでに画面に集中し、キーボードの上で指を動かしている。


アイコはブラウザを開き、ニジエについて検索を始めた。


異なる漢字や文字の組み合わせを試していく。日本語で検索し、次に英語で検索する。さらに、古い文字の形まで試した。


しかし、手がかりになりそうな情報は、何も出てこなかった。


歴史的な記録もない。

信頼できる民間伝承の資料もない。

現代の記事もない。


あるのは、いくつかの無名のウェブサイトに残された、曖昧な言及だけだった。


どれも、役に立たない。


まるで、ニジエなど、最初から存在しなかったかのようだった。


私は、それを奇妙に感じた。


「もしかしたら、ただの地元の民間伝承なのかもしれません。村が作り出したものとか」


私は言った。


アイコは首を横に振った。


「そうかもしれない。でも、なぜ神社に彫られているの? 存在しないものを、誰がわざわざ彫るの?」


彼女は、古代の画像の一つを拡大した。


小さな人物たちが、今でははっきり見える。


丸い体。細い手足。


その手には、小さな道具が握られていた。


筆だ。


私は気づいた。


絵を描く道具。


その上には、虹があった。


そして、虹の向こうには、別の何かがあった。


形。


存在。


色彩のアーチの向こうから、より大きく、より暗い何かがこちらを見ている。


「より高位の存在……」


アイコが呟いた。


「彼らが仕えていた存在」


彼女は、長い間その画像を見つめた。


「誰かが、これを知っていた」


彼女は言った。


「誰かが、意図的にこれを彫った。これは偶然じゃない。これは、物語だ」


アイコは検索バーに、ヤマツチウシと入力した。


結果は、ほとんど即座に画面を埋め尽くした。


記事。


フォーラムの投稿。


ブログの記事。


古い本への言及。


彼女は最初のリンクをクリックした。


すぐに、何かがおかしいと感じた。


現代の伝説では、ヤマツチウシは神社の記録とは違った姿で描かれていた。


オンライン上の情報では、大地に関わる怪異として語られている。山、地震、震動、怒り、そして破壊。


いくつかの伝承では、巨大な牛のような妖怪に近い姿で描かれていた。


大地の下に住み、何かに擾されると暴れ出す獣。


アイコは眉をひそめ、木の板の写真を画面に呼び出した。


「これは一致しない」


彼女は言った。


私は画面を見た。


現代の説明を。


古代の記録を。


彼女の言う通りだった。


同じものではない。


神社の記録が描いていたのは、供え物を要求する何かだった。


鎮め続けなければならない何か。


聞いている何か。


一方、オンライン上の伝説が描いていたのは、怒っている何かだった。


破壊的な何か。


理由もなく襲いかかる何か。


「どちらが本当なんですか?」


私は尋ねた。


アイコは、すぐには答えなかった。


画面を見つめたまま、眉をひそめている。


「わからない」


彼女は言った。


「でも、どちらかが間違っている」


そして、私を見た。


「それに、村はどちらが正しいのか知っていると思う」


彼らは、古代の神社の画像を、現代の情報と並べて画面に表示した。


違いは明らかだった。


一方には、現代の伝説。


ヤマツチウシ。


山々の下に潜む破壊的な存在。


怪物。


獣。


怒りに任せて暴れ、地震や震動を引き起こし、動くたびに破壊をもたらす何か。


もう一方には、古代の神社の記録。


そこに描かれていたヤマツチウシは、まったく別の存在のようだった。


古代の村人たちが理解していた何か。


儀式。


供え物。


細心の注意。


そして、耳を傾けること。


そうしたものを通して、彼らが関わっていた存在。


アイコは、二つの画像を見つめた。


「伝説は、時とともに変わったの?」


彼女は呟いた。


「物語は、歪められたの?」


私は神社を思い出した。


供え物。


米。


注意深く整えられた配置。


「もしかしたら、人々は最初の意味を誤解したのかもしれません」


私は言った。


アイコはゆっくりとうなずいた。


「それはあり得る。物語は変わる。細部は失われる。意味も移り変わる」


彼女は再び、古代の画像に目を向けた。


木に彫られた、小さな人物たち。


その上に弧を描く、虹。


その時、彼女は何かに気づいた。


画面に顔を近づける。


彼女の指が、木の板に刻まれた文字をなぞった。


「古代の記録は、ヤマツチウシを邪悪なものとして描いていない」


彼女は言った。


「怒っているとも、破壊的とも描いていない。それは、均衡を保ち続けなければならないものとして描かれている」


彼女は私を見た。


「維持されなければならないものとして」


背筋に、悪寒が走った。


米。


供え物。


隠された縄。


最近、置かれたばかりの新鮮な穀物。


誰かが、均衡を保っていた。


誰かが、ヤマツチウシを鎮め続けていた。


ニジエ。


ヤマツチウシ。


虹の絵描きたち。


古代の存在。


彼らは、あらゆる組み合わせを試した。


ヤマツチウシ+ニジエ。


虹の絵描きたち。


虹の妖怪。


古代の山の神。


地元の神社の記録。


地域の伝説。


何もない。


検索結果は空だった。


二つを結びつける情報は、何もなかった。


まるで、この二つが一緒に言及されたことなど、一度もなかったかのように。


まるで、ニジエの存在そのものが、あらゆる記録から消し去られてしまったかのように。


アイコは、ますます苛立っていった。


より速くキーボードを打ち、さらに深く検索し、異なる組み合わせを試す。


何も見つからない。


「ニジエが、歴史から消えたみたい」


彼女は言った。


「どこにも記録がない。どの文献にも言及がない。どの文書館にも手がかりがない」


彼女は椅子に深くもたれた。


キーボードから手が離れる。


「おかしい。神社に彫られている。確かに、この物語の一部なのに……他のどこにも存在しない」


私は神社を思い出した。


隠された縄。


散らばった紙垂。


注意深く整えられた配置。


そして、初めてあの彫刻を見た時、心に浮かんだ言葉を思い出した。


もしかしたら、誰かが彼らを忘れさせたかったのかもしれない。


その言葉は、止める間もなく口からこぼれた。


「もしかしたら、誰かが彼らを忘れさせたかったのかもしれない」


アイコが私を見る。


部屋が静まり返った。


自分が口にした言葉の重みを、私は理解した。


その意味するところを。


「つまり……」


私は言い始めた。


「もしかしたら、物語はただ失われただけなのかもしれません。時間とともに。物事は、失われていくものですから」


アイコは何も言わなかった。


ただ、ペンを手に取った。


そして、ノートに何かを書き込んだ。


彼らは、再び写真に戻った。


アイコは彫刻を一つずつ拡大していった。


ニジエの人物たち。


虹。


背景の山々。


彼女は、それらを注意深く調べた。


その時、また何かに気づいた。


「ニジエは、ヤマツチウシと戦っているようには描かれていない」


彼女は言った。


「それを崇拝しているようにも描かれていない」


彼女は画面を指さした。


「見て。どの彫刻でも、彼らは虹を描いている。山々の周りに。村々の周りに。でも、ヤマツチウシとは直接関わっていない」


私は画像を見た。


彼女の言う通りだった。


小さな人物たちは、いつも同じ姿勢をしていた。


筆を手に。


腕を上げ。


空に、色彩のアーチを描いている。


虹の向こうにいる存在は、そこにいる。


だが、遠い。


見ている。


「虹は、何を表しているの?」


アイコは呟いた。


彼女はいくつかの異なる彫刻を表示し、画面上に並べた。


どの彫刻でも、虹は何かの後に現れていた。


災害。


地震。


ひび割れた山々。


破壊された建物。


倒れた木々。


そして、虹。


アイコは画像を凝視した。


眉をひそめ、唇をわずかに動かしながら、その順序を追っている。


そして、ゆっくりと何かに気づいた。


「もしかしたら、虹は神の象徴じゃなかったのかもしれない」


彼女は言った。


私は彼女を見る。


「じゃあ、何だったんですか?」


彼女は画面を指さした。


虹を。


それを描いているニジエを。


「もしかしたら……それは、応答だったのかもしれない」


再び、背筋に悪寒が走った。


「何への応答?」


彼女は私を見る。


「災害への。破壊への。ヤマツチウシが擾された時に起こしたことへの」


彼女は一度、言葉を切った。


「もしかしたら、ニジエは召使いじゃなかったのかもしれない。別の何かだったのかもしれない。もしかしたら……彼らは、後から来た者たちだったのかもしれない」


彼女は画面を見た。


「修復した者たち。空に、色を取り戻した者たち」


私は、もう一度画像を見た。


ひび割れた山々。


倒れた建物。


その上に弧を描く虹。


ニジエは、象徴を描いていたのではない。


彼らは、約束を描いていた。


世界は、再び美しくなる――と。


そのウェブサイトは古かった。


デザインは時代遅れで、レイアウトもぎこちない。


何十年も前に作られ、そのまま放置されたような、そんな種類のサイトだった。


だが、そこには日本の民間伝承が集められていた。


数百もの物語、伝説、神話が、一か所にまとめられている。


アイコは項目をスクロールしていった。


ほとんどは、見覚えのあるものだった。


狐。


天狗。


鬼。


いつもの妖怪たち。


その時、彼女の指が止まった。


数百もの物語に埋もれるようにして、ヤマツチウシについての短い項目があった。


その描写は、また違っていた。


この版によれば、ヤマツチウシは単なる怪物ではなかった。


破壊をもたらす獣でもなかった。


それは、大地の下で眠る存在として描かれていた。


擾されれば、地面を震わせる。


怒らせれば、山々を揺らす。


だが、ニジエへの言及はなかった。


虹についての言及もない。


召使いについても。


絵描きについても。


約束についても。


アイコは、そのページを保存した。


それから、画面を見つめた。


「三つの異なる伝承……」


彼女は言った。


最初のものを指さす。


「インターネットの伝説。怪物。破壊者」


彼女は別のウィンドウを開いた。


神社の写真。


「古代の記録。均衡を保たなければならない存在」


そして、第三のウィンドウを開く。


古いウェブサイト。


「そして、これが何なのかは分からない。眠る者。擾されると、震える者」


彼女は私を見た。


その目は困惑に曇っていた。


「三つの異なる物語。三つの異なる伝承。なのに、すべて同じものについて語っている」


彼女は椅子に背を預けた。


「どれが本当なの?」


私は答えなかった。


ただ、神社のことを思った。


供え物。


注意深い維持。


隠された縄。


誰かが、真実を知っていた。


そして、彼らは語ろうとしなかった。


アイコは椅子に寄りかかり、膝の上でノートを開いていた。


タケシは窓の近くに立ち、腕を組んでいる。


ケンジは床に座り、壁に背を預けていた。


その装置は、彼の脇に置かれたまま忘れられていた。


「もしかしたら、元の物語は意図的に変えられたのかもしれない」


アイコは言った。


「誰かが、時間とともに細部を変えた。ヤマツチウシを、眠る者ではなく怪物にした」


「あるいは、村が独自の物語を作り出したのかもしれない」


タケシが言った。


「何が起きているのかを説明するために。自分たちが状況をコントロールできていると思うために」


「あるいは、現代の伝説は、まったく別の地域から来たのかもしれない」


ケンジが付け加えた。


「別の物語が、これと混ざった。名前が混同され、細部が融合することはある」


アイコはゆっくりとうなずいた。


「ヤマツチウシは、もともとはまったく別の何かだった。私たちが記録を持っていない何か。ここにしか存在しない何か」


「そして、ニジエは?」


タケシが言った。


「後の記録から消された。あるいは、そもそも公式の物語には含まれていなかった。失われた、ただの地元の細部だった」


「あるいは、この神社には、完全に未知の地元の神話が残されている」


ケンジが言った。


「この谷の外には決して広まらなかった何か。それを信じた人々とともに、死んでしまった何か」


誰も結論を出すことはできなかった。


理論は積み重なった。


可能性は増えていった。


だが、そのどれ一つとして証明することはできなかった。


確認することもできなかった。


やがてアイコは、ノートパソコンを閉じた。


「昔の物語を知っている誰かを見つける必要がある」


彼女は言った。


「覚えている誰か。教えられた誰か」


私は、村の年長者を思い出した。


村の端にある、彼の家。


疲れた目。


慎重な沈黙。


そして、彼の警告。


忘れたままにしておいたほうがいいものもある。


私は、彼の名前を口にしなかった。


私は、彼らが作業を続ける間、静かに座っていた。


アイコはキーボードを叩く。


タケシは写真を整理する。


ケンジは録音を見直し、データを前に眉をひそめていた。


私は、彼らを見ていた。


そして、重要なことに気づいた。


超常現象調査員たちは、もはや単に幽霊を追っているのではなかった。


彼らは、噂から始めた。


物語から。


オンラインで広まり、人々の好奇心を引きつける、そんな種類の伝説から。


だが、彼らは本物の何かを見つけていた。


現在の村よりも前から存在していた何か。


村人たちが、話題にしたがらない何か。


隠された――あるいは、忘れられた――あるいは、意図的に消し去られた何か。


彼らは、ヤマツチウシを見つけていた。


大地の下にいる存在。


眠る存在。


聞いている存在。


そして、彼らはニジエを見つけていた。


虹の絵描きたち。


災害の後に、約束を描いた者たち。


歴史から消し去られた者たち。


そのことが、なぜか私の心に引っかかった。


誰かが、彼らを消した。


誰かが、ニジエは忘れられるべきだと決めた。


誰が?


そして、なぜ?


私は、古代の神社の写真を見た。


それはまだ画面に表示されていた。


山々の上に弧を描く虹。


絵を描く小さな人物たち。


そして、そのすべての背後にある、暗い存在。


ただの写真だった。


彫刻。


画面上で揺れる、光と影の戯れ。


あるいは――少なくとも、私はそう自分に言い聞かせた。


私は目をそらした。


調査員たちは、作業を続けていた。


夜は、さらに暗くなっていった。


そして、山は待っていた。

次に何が起こるのか。。。


次回、同じ時間に、同じ場所で。

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