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「夜になると、子供たちは歌い出す」  作者: アンドリュー・チェン


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第十三章: 忘れたままにしておいたほうがいいものもある。

私たちは、放棄された神社の前で、沈黙のうちに立っていた。


風は、凪いでいた。木々は、静かだった。ただ聞こえるのは、私たちの呼吸だけだった。ゆっくりと、浅く。まるで、非常に長い間眠っていた何かを、妨げるのを恐れているかのように。


どちらも、話さなかった。


私たちの心は、まだ発見した全てを再生していた。新鮮な米の器。許しを求める風化した絵馬。苔の層の下に埋もれた、隠された注連縄。それぞれの物は、私たちが答えられない問いだった。それぞれの発見が、答えよりも多くの問いを投げかける。


もし、神社が本当に何世代にもわたって放棄されていたなら……


誰かが、密かにそれを維持していたのだ。


キリが、最初に沈黙を破った。


**「何か、持って行くべきだ」** 彼女は言った。**「証拠として。像の一つか。あるいは、絵馬。零香か、年長者に見せる何かを」**


首を振った。


**「いや」** 私は言った。**「これは、まだ誰かの聖なる場所だ。そこから物を持ち去るわけにはいかない」**


キリは、私を見た。その目は、悩んでいたが、彼女は反論しなかった。


**「そうだね」** 彼女は、静かに言った。**「あなたの言う通りだ」**


彼女は、再び神社を見た。小さな石像たちを。供え物の器を。


**「ただ、何の答えも得ずに去っていくように感じる」**


**「私たちは、問いを得て去る」** 私は言った。**「それは、無意味じゃない」**


彼女は、ゆっくりとうなずいた。それから、彼女は神社に向き直った。


**「すみません」** 彼女は言った。**「あなたの平穏を、乱してしまって」**


彼女が、神社に向かって言っているのか、あるいは、聞いているかもしれない何かに対して言っているのか、わからなかった。しかし、その衝動は、理解できた。


私は、お辞儀をした。


深く。敬意を込めて。最初の鳥居でした、あの同じお辞儀。


キリも、お辞儀をした。


それから、私たちは、向きを変え、下山を始めた。


---


道は、静かだった。


私たちが追ってきた跡は、まだそこにあった。土の中のかすかな足跡。神社へと続いている。しかし、私たちは、それらを追わなかった。私たちは、それらの脇を歩いた。これ以上、乱さないように注意しながら。


森は、依然として不自然なほど、静かだった。鳥も、虫もいない。ただ、磨り減った石の上での、私たちの足音の、柔らかな音だけ。


振り返らなかった。


キリも、振り返らなかった。


六つ目の鳥居を通過した。五つ目。四つ目。


下るにつれて、光は、より明るくなった。木々は、疎らになった。村の音――遠くの、普通の――が、沈黙を通して、聞こえ始めた。


ついに、私たちは、森を抜け、見慣れた道へと出た。


村が、私たちの前に広がっていた。平和的に。普通に。


まるで、何も起こらなかったかのように。


私は、木々の端で止まり、振り返った。


山は、まだそこにあった。門は、葉に隠れていた。神社は、ここからは、見えなかった。


しかし、それがそこにあることは、知っていた。


**待っている。**


キリは、私の隣に立っていた。


**「大丈夫?」** 彼女は尋ねた。


私は、山から目をそらした。


**「いいえ」** 私は言った。**「でも、そうなる」**


彼女は、詰め寄らなかった。


---


村に戻り、私たちは質問を始めた。


市場から始めた。米の商人は、私たちが近づくと、商品を並べていた。キリは、彼に神社について尋ねた。誰が建てたのか、いつ使われなくなったのか、誰かが訪れたことがあるのか。


彼は、間を置いた。その手は、穀物の上で、止まった。


**「神社?」** 彼は言った。その声は、平坦だった。**「そんなこと、何も知らない」**


**「あなたは、一生、ここに住んでいる」** キリは言った。**「きっと、聞いたことが……」**


**「そんなこと、何も知らない」** 彼は、繰り返した。彼は、米に戻った。**「隣の店に、聞いてみるといい」**


私たちは、去った。


---


店主は、最も直接的だった。


私たちが近づくと、彼女は店の前を掃いていた。小さな店。米と塩とマッチを売る、あの種類の。以前も来たことがあった。玉を買った。飾りを買った。


**「すみません」** キリは言った。**「山の上の神社について、お尋ねしたいのですが……」**


店主の箒が、止まった。


**「そんなこと、何も知らない」** 彼女は言った。**「私は、一生ここに住んでいて、そんな神社のことは、聞いたことがない」**


キリは、瞬きした。**「一度も? 山の上にあります。そこから見えますよ……」**


**「聞いたことがない」** 店主は、繰り返した。その声は、平坦だった。**最終的**に。


彼女は、掃除に戻った。


---


誰も、怒らなかった。

誰も、尋ねるのを止めろとは言わなかった。

その代わりに、皆、単に答えることを避けた。その沈黙そのものが、疑わしかった。同じ反応が、何度も繰り返された。丁寧なそらし。話題の変更。突然、緊急にしなければならないことを思い出す。


決意して、私たちは村の年長者を訪ねた。


彼の家は、道から離れ、柳に半分隠れていた。以前訪ねた、あの同じ家。外で休む、同じ疲れた村人たち。


年長者は、私たちがノックする前に、戸を開けた。彼は、しばらく私たちを見つめ、それから、脇にどいた。


**「お入り」** 彼は言った。**「待っていた」**


私たちは、小さな、質素な部屋に座った。灯りが、揺れた。年長者は、茶を注いだ。ゆっくりと、意図的に。まるで、避けられないことを先延ばしにしようとしているかのように。


キリは、待たなかった。


**「誰が、神社を建てたのですか?」** 彼女は尋ねた。


年長者は、答えなかった。彼は、茶を注ぎ終え、急須を置き、テーブルに手を組んだ。


**「そこで祀られていた古代の神は、誰ですか?」** キリは、迫った。


再び、沈黙が、私たちの間に伸びた。


年長者は、自分の手を見た。茶を見た。揺れる灯りを見た。


それから、彼は言った。


**「忘れたままにしておいたほうがいいものもある」**


キリは、前に身を乗り出した。**「なぜですか?」**


年長者は、微笑んだ。悲しい微笑み。深い疲れの場所から来る、あの種類の。


**「なぜなら、それらを覚えていることは、悲しみしかもたらさないからだ」**


彼は、自分の茶碗に手を伸ばした。彼は、飲まなかった。ただ、それを抱え、温かさが掌に染み込むのを、感じさせた。


**「過去は、重い」** 彼は言った。**「ある重みは、負うべきではない」**


キリは、別の質問をするために口を開けた。その顔に、それが見えた。決意。そんな曖昧な答えを受け入れることを拒む、その決意。


しかし、年長者は、彼女が話す前に、話した。


**「市場で買った米は、良いですか? 品質が向上したと、聞いている」**


彼は、完全に話題を変えた。


キリは、私を見た。私は、年長者を見た。


会話は、どこにも行かなかった。


私たちは、答えなしに去った。


---


私たちは、静かな村を、家へと歩いた。


どちらも、話さなかった。


しかし、私たちは、どちらも、年長者が何を意味していたか、知っていた。


忘れたままにしておいたほうがいいものもある。


そして、それが、まさに、私たちが調べるのを止められない理由だった。


帰り道は、以前よりも、はるかに静かに感じられた。


村は、同じだった。同じ低い屋根。同じ薄い壁。同じ、畑を縫う道。しかし、全てが、今は違って見えた。家と家の間の沈黙が、より重く感じられた。通り過ぎる村人たちの視線が、より鋭く感じられた。


誰も、私たちを止めなかった。誰も、私たちに話しかけなかった。


しかし、彼らの目が、私たちの背中に注がれているのを、感じることができた。


キリは、私の隣を歩いた。手をポケットに入れて、その視線は、地面に固定されていた。彼女は、長い間、話さなかった。ついに話した時、その声は、平坦だった。


**「皆、何か知ってる」**


うなずいた。**「そうだ」**


彼女は、歩くのを止めた。私も、止まった。


**「でも、誰も、それを言いたがらない」**


私は、彼女を見た。その顔は、疲れ、苛立っていた。登れない壁にぶつかった時に来る、あの種類の苛立ち。


**「それに、ひなたは……」** 私は言った。


**「ひなた……?」** キリは尋ねた。**「彼女は、これと、何の関係があるの?」**


首を振った。**「わからない。でも、彼女は、三日間、行方不明になった。見つけた時、彼女は、私のことを覚えていなかった。彼女に属さない言葉を話していた」**


キリは、両手で顔を覆った。


**「ヒカル」** 彼女は言った。**「ここで、何が起こっているの?」**


答えは、なかった。


私たちは、再び歩き始めた。


村は、午後へと落ち着き始めていた。灯りが灯され、戸が閉められ、一日の緩やかな後退。


**「質問しても、真実は学べない」** 私は言った。**「彼らは、決して教えないだろう」**


キリは、ゆっくりとうなずいた。


**「ならば、別の方法を見つけなければならない」**


私たちは、沈黙のうちに、家へと歩いた。


しかし、初めて、私たちは、両方とも知っていた……


答えは、村人たちからは、来ないだろう。


それらは、山そのものから来なければならない。


---


翌朝、ひなたは、いつものように訪れた。


彼女のノックは、同じだった。三回の小さな叩き。柔らかく、見慣れた。ドアを開けると、彼女は階段の上に立っていた。その笑顔は、明るく、その頬は、歩いてきたことで、紅潮していた。柿色のリボンは、彼女の手首に結ばれていた。ほつれて、柔らかく。月の飾りは、彼女の鎖骨の上にあった。


**「おはようございます、ヒカルさん!」** 彼女は言った。それから、私を通り過ぎて覗き込みながら。**「キリさんは、いる?」**


**「中にいるよ」** 私は言った。**「おいで」**


ひなたは、私を通り過ぎ、裸足が床をパタパタと歩いた。彼女は、キリが床に座って本を手にしているのを見つけ、すぐに彼女の隣に腰を下ろした。


**「キリさん」** 彼女は言った。**「話したいことが、たくさんあるの」**


キリは、顔を上げた。疲れ、悩んでいたその顔は、微笑みに柔らかくなった。


**「全部、聞かせて」** 彼女は言った。


ひなたは、普通のことについて、嬉しそうにぺちゃくちゃと話した。


村の猫が、また市場から魚を盗んだこと。店主が箒で追いかけたが、猫は速すぎたこと。鳥が、彼女の窓の近くに巣を作っていて、彼女は、朝中、小枝を運ぶのを見ていたこと。村の年長の少年の一人が、西瓜はカボチャよりも大きくなると言ったが、彼女は、信じなかったこと。


**「カボチャは、すごく大きい」** 彼女は言った。**「大きいオレンジの岩みたいなの」**


**「西瓜も、結構大きくなることがあるよ」** キリは言った。


**「でも、カボチャの方が大きい。見たことがある。西瓜は丸いけど、カボチャは丸くて、**高い**」**


**「それは、とても良い指摘だ」**


ひなたは、満足そうにうなずいた。


しばらくの間、謎は、忘れられた。


会話は、自然に終わった。ひなたは、川の近くで見たカエルの話に移っていた。どうやってそれが岩の上に座って彼女を見つめ、彼女も見つめ返し、そして、彼らは、互いに別々の道を行くことを決めたか。


その時、彼女は、息を呑んだ。


**「あっ!」**


彼女は、肩に掛けた小さな鞄に手を入れた。その小さな手が、しばらく手探りし、それから、折りたたまれた封筒を取り出した。


**「キリさん」** 彼女は言った。**「忘れてた」**


彼女は、封筒を差し出した。その表情は、突然、申し訳なさそうに。


**「誰かが、今朝、これをあなたに渡してほしいって言ったの。訪問者。バス停で。すぐに持ってくるはずだったのに、でも、お母さんが野菜を手伝ってほしいって言って、それから、猫を見て、それから……」**


彼女は、頭を下げた。


**「ごめんなさい」**


キリは、微笑んだ。その声は、温かかった。


**「いいよ。持ってきてくれて、ありがとう」**


彼女は、封筒を受け取った。


ひなたは、再び明るくなった。その罪悪感は、忘れ去られて。**「開けないの?」**


**「すぐに」** キリは言った。**「まず、カエルの話の続きを聞かせて」**


ひなたは、別の話を始めた。


---


キリは、封筒を手に、長い間、抱えていた。


彼女の指は、紙の縁をなぞった。親指は、封蝋の上を走った。彼女は、宛名を見た。筆跡を見た。隅にエンボス加工された、彼女の会社の見慣れたロゴを見た。


ひなたは、まだ彼女を見ていた。好奇心に満ち、忍耐強く。カエルの話は、忘れられていた。


**「開けないの?」** ひなたは尋ねた。


キリは、微笑んだ。しかし、その目は、遠くにあった。


**「すぐに」** 彼女は言った。


彼女は、封筒を裏返した。注意深く開けた。破らず、急がず。物事を変えるとわかっているものを開ける、その仕方。


彼女は、手紙を広げた。


私は、彼女の顔を見た。


その目は、ページの上を動いた。彼女の頬から、血の気が引いた。確かだった彼女の手は、わずかに震え始めた。


**「ひなた」** 彼女は言った。その声は、静かだった。制御されて。**「この手紙をくれた人は、誰?」**


ひなたは、顔を上げた。その眉は、ひそめられた。


**「女の人」** 彼女は言った。**「名前は、知らない。あなたの友達だって言ってた。あなたに渡してほしいって」**


キリは、手紙を凝視した。


**「他に、何か言ってた?」**


**「ううん。ただ、あなたに渡してって」** ひなたは、首をかしげた。**「何か、あったの?」**


キリは、手紙を注意深く折った。袖にしまった。


**「いいえ」** 彼女は言った。その声は、確かだったが、私は、彼女の顎の緊張を見ることができた。**「全て、順調だよ」**


彼女は、ひなたに微笑んだ。本物の微笑み、あるいは、それに近いもの。


**「持ってきてくれて、ありがとう」**


ひなたは、満足そうにうなずいた。


私は、キリを見た。彼女は、私の目に合わなかった。


手紙は、彼女の袖の中に、重く、沈黙して、座っていた。


---


部屋は、静かになった。


キリは、動かずに座っていた。手紙は、まだ彼女の手の中に。その顔は、青白かった。その目は、ページに固定され、再び言葉を読んでいた。まるで、それらが変わることを願って。


ひなたは、私たちの間を見た。その眉は、ひそめられて。


**「キリ?」** 私は、静かに尋ねた。**「どうしたの?」**


キリは、すぐには答えなかった。彼女は、手紙を注意深く折った。その動きは、ゆっくりと、意図的だった。顔を上げた時、その微笑みは、こわばっていた。


**「会社からだ」** 彼女は言った。**「緊急事態が発生した。戻る必要がある」**


ひなたは、瞬きした。**「戻る? 都会に?」**


**「そう」**


**「でも……」** ひなたの声は、小さかった。**「来たばかりじゃない」**


キリの微笑みが、柔らかくなった。**「わかってる。ごめんね」**


私は、二人を見た。その瞬間の重みが、私にのしかかった。


キリは、ここに来て、ほんの短い間だった。しかし、彼女は、私の日々のリズムの一部になっていた。彼女の笑い声。彼女の温かさ。彼女の確かな存在。彼女が去るという考えは、家が突然、空っぽに感じさせた。


しかし、私は、理解していた。


**「仕事が、あなたを必要としている」** 私は言った。**「行かなければ」**


キリは、ゆっくりとうなずいた。**「明日、出発しなければならない」**


ひなたの肩が、落ちた。


**「もう?」** 彼女は尋ねた。その声は、かすかなささやきだった。


キリは、彼女の身長に合わせて、ひざまずいた。彼女は、ひなたの小さな肩に手を置いた。


**「今は、ね」** 彼女は、優しく言った。**「また、必ず、訪ねるから。事態が落ち着いたら、すぐに戻ってくる」**


ひなたは、彼女を見た。その暗い目は、見開かれ、探っていた。彼女は、何も言わなかった。ただ、うなずいた。


部屋は、再び静かになった。外では、午後の光が、色あせ始めていた。


キリは、手紙を再び折り、袖にしまった。


私は、彼女を見た。


**「本当に、そんなに早く、出発しなければならないの?」** 私は尋ねた。**「もしかしたら……」**


**「いいえ」** 彼女は、静かに言った。**「できない。私は、いつでも対応できると約束した。これが、私の仕事だ。私の責任だ」**


うなずいた。理解した。


たとえ、そうしたくなかったとしても。


---


ひなたは、床に座っていた。膝を抱え、手を膝の上で組んで。彼女は、いつになく静かだった。すねているわけでも、文句を言っているわけでもない。ただ、自分を動かずに保っていた。どれだけ傷ついているか、見せたくない時の、子供のするように。


キリが、気づいた。


**「ひなた」** 彼女は言った。**「私は、まだいなくならないよ。今日は、まだある。特別な日にしよう」**


ひなたは、顔を上げた。その目は、輝いていたが、彼女は、泣かなかった。


**「どんな特別なの?」** 彼女は尋ねた。


キリは、微笑んだ。手紙を開けて以来、初めての、本当の微笑み。


**「最高のやつ」** 彼女は言った。**「おにぎりを作ろう。三人で」**


ひなたの唇が、わずかに震えた。しかし、彼女は、うなずいた。


**「うん」** 彼女は言った。**「できるよ」**


私は、二人を見た。


午後は、温かく、普通だった。今、夕方の重みが、のしかかっていた。何か良いものが、滑り落ちていくという知識。明日は、家がより静かになるということ。笑い声が、消えるということ。


しかし、今日は、まだここにある。


私たちは、まだ今日を持っている。


---


その夕方、三人は、縁側に一緒に座った。


太陽は、沈み、空を橙色と紫色の色合いに染めていた。空気は、冷たく、土と乾いた草のかすかな香りを運んでいた。村は、静かだった。夕方の、普通の静けさ。皆が、中に引っ込み、世界が静けさに落ち着く、その時。


キリは、膝の上に小さなノートを開いていた。彼女は、バスの時刻表、時間、乗り継ぎを書き留めていた。彼女は、指で線をなぞった。その眉は、集中して、ひそめられていた。


**「朝の八時に、バスがある」** 彼女は言った。**「それに乗れば、正午には、都会への乗り継ぎに間に合う」**


うなずいた。**「バス停まで、送っていく」**


ひなたは、キリの隣に静かに座っていたが、突然、背筋を伸ばした。


**「私も、行きたい」** 彼女は言った。**「お別れを言いたい」**


キリは、微笑んだ。**「もちろん、一緒に行けるよ」**


ひなたは、満足そうにうなずいた。しかし、その肩は、まだ緊張し、その手は、膝の上で、固く組まれていた。


会話は、より軽い話題へと移った。


キリは、初めての仕事の話をした。間違った人にメールを送ってしまい、一日中謝罪して過ごした話。ひなたは、笑った。その声は、明るく、本物だった。私は、微笑んだ。心は、それに入っていなかったが。


夜は、より暗くなった。星々が、小さな灯りのように、空に散らばった。


しかし、言えない感情が、表面の下に漂っていた。


調査は、止まっていた。

問いは、答えられないまま。

神社は、まだ山の上に座っていた。その秘密を隠して。

子供たちは、まだ夜に歌っていた。その声は、闇を漂って。


私は、キリを見た。その見慣れた顔。その温かい笑顔。その確かな存在。彼女は、こんなに短い間しかいなかったが、予期していなかった方法で、私の人生の一部になっていた。


明日、彼女は、いなくなる。


そして、私は、再び、一人になる。


ひなたが、あくびをした。その目は、重くなっていた。


**「寝る時間だよ」** キリは、優しく言った。


**「やだ」** ひなたは、呟いたが、その抗議は、弱々しかった。**「疲れてない」**


**「疲れてるよ」**


**「疲れて……」**


彼女は、再びあくびをした。キリは、優しく笑った。


**「さあ」** 彼女は言った。**「家まで、送っていく」**


ひなたは、しぶしぶ立ち上がった。彼女は、私に向き直った。その小さな顔は、灯りで青白く。


**「おやすみなさい、ヒカルさん」** 彼女は言った。


**「おやすみ、ひなた」**


彼女は、ためらった。それから、彼女は、前に進み、私を抱きしめた。素早く、きつく。その小さな腕が、私の腰を包み込んだ。


胸が、締め付けられるのを感じた。


彼女は、離れた。キリのそばへ歩いていった。


私は、縁側に立ち、彼らが道の向こうに消えるのを見た。


夕方の空気は、肌に冷たかった。村は、いつもの静けさに落ち着き、一日の音が、夜の柔らかなハミングへと消えていった。


動かなかった。


ただ、そこに立って、空っぽの道を見つめ、夕方の重みが、のしかかるのを感じた。


その時、気づいた。


**てるてる坊主**が、まだ窓の外に吊るされていた。


小さな白い人形が、夕方のそよ風に優しく揺れていた。その紐は、鉤に当たって、柔らかくきしんでいた。布は、雨で湿り、縁は、わずかにカールしていた。私が描いた顔、笑顔、小さなえくぼは、天候で色あせ、ぼやけていた。


それは、風に一度、揺れた。


小さな、孤独な動き。


私は、長い間、それを見つめた。


そして、私は、次に何をするか、決めなければならなかった。

次に何が起こるのか。。。


次回、同じ時間に、同じ場所で。

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