楢橋学園
神谷 悠真
1年生/左投げ左打ち/軟式野球部
主人公
真面目で野球に対しては一直線
美咲と交際中
試合会場で楢橋学園のチアリーダーをついチラッと見てしまい、美咲に怒られる
本人には悪気はなく、ほんの一瞬だったが、美咲にはしっかり見られていた
左肩の状態もあり、今回のトーナメントでは無理をしないことを意識している
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高橋 美咲
2年生/軟式野球部マネージャー/悠真の彼女
チームを支えるマネージャー
悠真のことを大切にしている
普段は優しいが、悠真が他の女子を見ていると少しヤキモチを焼く
今回も悠真が楢橋学園のチアリーダーを見たことを見逃さず、しっかり注意する
ただし本気で怒っているわけではなく、悠真とのやり取りを楽しんでいる部分もある
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黒田 蓮
2年生/内野手/軟式野球部
悠真の先輩
二人の関係を知っているため、悠真と美咲のやり取りを面白がっている
悠真がチアリーダーを見てしまったときも、後ろから笑いをこらえていた
試合になると真剣になり、チームを引っ張る存在
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楢橋学園
夏のトーナメント一回戦の対戦校
女子生徒が多いことで知られている高校
応援席には多くの女子生徒が集まり、さらにチアリーダーも応援に来ている
一見すると華やかな学校だが、野球部はしっかり鍛えられており、昨年も上位まで勝ち進んだ実力校
悠真たちにとって、夏の全国制覇への最初の壁となる。
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楢橋学園チアリーダー
楢橋学園の応援団
試合会場を華やかに盛り上げる存在
元気な声援で選手たちを応援する
悠真が思わずチラッと見てしまい、美咲のヤキモチを引き起こす原因となった。
第十五話 楢橋学園――チアリーダーに目を奪われるな!
夏のトーナメント。
俺たちの一回戦の相手は――。
楢橋学園。
試合会場に到着した俺たちは、相手チームの姿を見ていた。
「……あれ?」
俺は思わず声を漏らした。
「どうした、悠真?」
黒田先輩が聞いてくる。
「いや……女子、多くないですか?」
「そうだな」
楢橋学園の応援席を見る。
選手の家族や関係者だけではない。
女子生徒がかなり多い。
そして、その中央には――。
チアリーダー。
華やかな衣装。
大きなポンポン。
元気な声。
「頑張ってー!」
「楢橋ー!」
「絶対勝ってー!」
スタンドから次々と声が飛んでくる。
俺は思わず――。
チラッ。
一瞬だけ見てしまった。
その瞬間。
「悠真」
背後から声がした。
「……はい」
振り返る。
美咲先輩が立っていた。
笑っている。
……いや。
笑っているように見える。
「今、何見てたの?」
「いや、その……」
「チア?」
「……はい」
「へえ」
美咲先輩の笑顔が、さらに怖くなった。
「悠真」
「はい」
「試合前だよね?」
「はい」
「何しに来たの?」
「……野球です」
「そうだよね?」
「はい」
「じゃあ――」
美咲先輩が俺の肩を軽く叩いた。
「よそ見しない」
「すみません!」
黒田先輩が後ろで笑いをこらえている。
「悠真……」
「何ですか?」
「命、大事にな」
「先輩!」
美咲先輩が黒田先輩を見る。
「黒田先輩も笑わないでください」
「すみません!」
黒田先輩が慌てて姿勢を正す。
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「でも……」
俺は小さく呟いた。
「楢橋学園、女子が多いですね」
「まだ言う?」
「すみません!」
美咲先輩がため息をつく。
「もう……」
そして、少しだけ笑った。
「そんなに見たいなら、試合で勝ってからにして」
「え?」
「勝ってからなら、応援席を見るくらいはいいでしょ」
「……本当ですか?」
「ただし」
美咲先輩が俺を見る。
「私の目の前で堂々と見ないこと」
「はい!」
「あと――」
「まだあるんですか?」
「私より可愛いとか言ったら、今日のスポーツドリンク作らないから」
「絶対言いません!」
黒田先輩が吹き出した。
「お前ら、試合前から何やってんだよ」
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しかし――。
笑っていられる時間は長くなかった。
楢橋学園の選手たちがグラウンドへ出てきた。
「……」
俺たちの表情が変わる。
さっきまで見えていた華やかな応援席とは違う。
グラウンドにいる選手たちは、真剣そのものだった。
身体も大きい。
動きも速い。
守備練習を見ただけで分かる。
「強いな」
黒田先輩が呟いた。
「はい」
俺も頷いた。
楢橋学園は、ただ女子が多い学校というわけではない。
野球部もしっかり鍛えられている。
一回戦から簡単な相手ではない。
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「悠真」
美咲先輩が声をかける。
「はい」
「さっきのことは忘れて」
「はい……」
「今は試合だけ考えて」
「分かりました」
俺はグローブを握った。
さっきまで気になっていた応援席は、もう見ない。
目の前にあるのは――。
グラウンド。
相手チーム。
そして、全国制覇への第一歩。
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「両チーム、整列!」
審判の声が響く。
俺たちは一列に並ぶ。
向こう側には楢橋学園。
スタンドから声援が飛んでくる。
「楢橋ー!」
「頑張れー!」
チアリーダーの声も聞こえる。
俺は一瞬だけそちらを見る。
……いや。
見ない。
美咲先輩を見る。
美咲先輩がこちらを見ている。
「……」
無言。
俺は慌てて前を向いた。
黒田先輩が小声で言う。
「学習したな」
「はい」
「よし」
両チームが礼をする。
「お願いします!」
そして――。
主審が右手を上げた。
「プレーボール!」
俺たちの夏のトーナメント、一回戦。
相手は楢橋学園。
女子の多い華やかな学校。
チアリーダーまでいる。
でも――。
俺たちがここへ来た目的は一つ。
全国制覇。
今度こそ、よそ見はしない。
……たぶん。
後書き チアリーダーとは?
今回、悠真が思わず目を向けてしまった「チアリーダー」
そもそもチアリーダーとは何なのか?
チアリーダーは、スポーツの試合などで選手や観客を応援し、会場を盛り上げる役割をする人たちのことです。
掛け声を出したり、ポンポンを使ったパフォーマンスをしたり、チームの応援を華やかに盛り上げたりします。
今回の楢橋学園では、女子生徒が多い学校という設定もあり、応援席には大勢の女子生徒。
その中でもチアリーダーは特に目立つ存在でした。
そして――。
悠真は、ほんの一瞬だけチラッと見てしまった。
しかし、その瞬間を美咲は見逃さなかった。
「悠真」
「……はい」
「よそ見しない」
試合前なのに、まさかの彼女からの注意。
悠真にとっては、相手チームとの戦いだけではなく、美咲との戦いまで始まってしまったようです。
果たして悠真は、最後までよそ見せずに野球へ集中できるのか。
そして楢橋学園との一回戦を突破できるのか。
夏のトーナメントは、まだ始まったばかりです。




