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【書籍化決定】転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした  作者: 鳥助
第五章 オルディア教の前教皇

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192/196

192.奇跡は起こすもの

「そ、そんな馬鹿な! 私のドラゴンが負けるなんて!」


 ドラゴンの体が黒い煤のように消えていくのを見て、レイナは絶望した顔で絶叫した。


 ドラゴンは倒した。だけど、召喚したレイナをどうにかしなければ、また召喚されてしまう。


 レイナは貴重な敵側の人間。生かしておいて、色々と情報を聞き出さないといけない。ということは、無力化をして捕まえるのが最適解。


「だったら、召喚魔法を封じなくちゃ」


 召喚魔法の魔力の波動は分かっている。その波動を抑えるものを作ればいい。


 魔力を高めて、変異させる。召喚魔法を封じる力を生成して、その力を作った鉄輪に宿す。その鉄輪をレイナの首目掛けて放った。


「な、何っ!?」


 突然、鉄輪をされたレイナは戸惑った。外そうともがくが、鉄輪はそう簡単には外れない。


「これで、レイナは召喚魔法を使えなくなったよ」

「まさか、そんな……! 出ろ、魔物よ出ろ!」


 召喚魔法を発動させようとするが、魔物が現れる気配はない。狂ったように召喚魔法を発動させていると、キリアが前に出てきた。


「あの者を捕らえなさい!」


 キリアが命じると兵士がレイナを拘束した。


「そんな、私が、負けるなんてっ!」


 レイナは身をよじり、抵抗した。だけど、召喚魔法を使えなくなったレイナは普通の人と変わらない。そうして、レイナは地下牢へと連れていかれた。


 ようやく落ち着いた。そう思って周りを見渡すと、荒れ果てた大聖堂が良く分かる。それに、けが人の多い。


「戦いは終わったけど、これは酷い……」

「被害はとても甚大です。今は出来る限りの事をしましょう」

「何をすればいい? あたしも手伝う」

「ランカも! 力仕事なら任せて!」


 とにかく、この状況をなんとかしないと。そう思っていると、オルディア様の姿が目に入った。ふらふらとした様子で、大聖堂を出ていった。


 その後を付いていき、教会の外に出た。すると、悲惨な光景が目に入ってくる。崩れた家屋。怪我をした人々。壊れた屋台。


 祭りで賑わっていた通りがめちゃくちゃに壊されていた。それを見ていたオルディア様の表情は暗い。


「オルディア様、大丈夫ですか?」

「……ちょっとショックな光景ですよね。数時間前まであんなに笑顔が溢れていたのに、今は……」


 いつもふざけていたオルディア様は沈痛な様子で眺めていた。それは人を心配する神のようだった。


 悲し気に目を細める顔は今まで見たことがない。こういう顔もするんだ、と少しだけ驚いていた。やっぱり、オルディア様は立派な創造神なんだ。


「どうにかして、みんなを助けたいですね。私、なんでもします。だから、ユナも協力してくれますか?」

「もちろんです。でも、何からしたらいいか……」


 出来ることは沢山ある。傷ついた人を癒やすこと、壊れた物を直すこと。それが町全体だ。到底、手が足りない。


「……いや、出来るかも」


 空気中の魔力と同調すれば、全てをもとに戻せるかもしれない。だけど、町全体だとしたら、到底魔力が足りない。


「オルディア様って祈られた時の力、残ってますか?」

「はい、もちろんありますよ。それがどうしたんですか?」

「その力を私の魔力に変換する事が出来ますか?」

「問題なくできます。まさか……ユナの魔力でどうにかするんですか?」

「どうにか出来ると思います。じゃあ、行きましょう」


 私はオルディア様の手を引いて、教会の中に戻ってきた。


「ユナ、どこに行くんだ?」

「今から全部直してくる!」


 クロネに簡単に説明すると、鐘楼を目指す。階段を上って、目的地にたどり着いた。高いところから見ると、町の被害が良く分かる。


「ユナは本当に元に戻せるんですか?」

「出来ると思います。だから、力を分けてください」

「……分かりました」


 お願いすると、オルディア様は胸元で手を組んだ。そして、体が発光してその光が私を包み込む。


 とてつもない力が体に宿っているのが分かった。これを使えば、町を元通りに戻せる。


 すぐに、空気中の魔力に自分の魔力を同調させた。そして、オルディア様から受け取った魔力を町全体へと広げる。


 光があっという間に町を包み込んだ。あとは、この魔力を変異させればいい。


 意識を集中させて、町に意識を重ねる。怪我をした人はその傷を癒やす力に。壊れた家屋や屋台を修正するために魔力を覆う。


 直すべきもの全てに意識を重ねた。そして、一気に魔力を変換させる。すると、光に触れていた人たちの怪我が治り、壊れた物が修復されていく感覚を覚えた。


 その途端、町から歓声が沸き起こった。空気を震わせるほどの大きな歓声。どうやら、無事に全てを直せたみたいだ。


「わぁ! 見てください、ユナ!」


 すると、オルディア様が声を上げた。下を指さしていて、何かと思って覗いてみた。すると、教会の前には沢山の人が詰めかけ、こちらを見上げて歓声を上げているところだった。


 どうやら、あの光の原因が私たちだということがバレてしまったらしい。ものすごい熱量で歓声が上がって、圧倒されてしまう。


「ユナのお陰で、人も町も元通りになりました! 本当にありがとうございます!」

「いえ……オルディア様の力がなければ無理でしたよ」

「そんなことありません! ユナの力があったからこそ、出来たんです!」


 そう褒められると悪い気がしない。私たちは歓声の中、元通りになった町を見下ろした。安堵の気持ちでいっぱいになって、ようやく終わったんだと自覚した。

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