表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『誰も知らない愛――伝説のタカラジェンヌは、僕と結婚するために退団した』


 19歳の大学生である僕は、姉の同級生であり宝塚歌劇団・花組の娘役として舞台に立つ彼女と出会った。舞台で輝く姿に心を奪われ、食事会で交わした会話と、秘密裏に渡された連絡先。それは決して公にできない“禁じられた恋”の始まりだった。

 22歳で交際を始めた彼女と僕は、周囲にはひた隠しにしながら愛を育む。観覧車の頂上で交わした初めての口付け、舞台終演後の二度目の口付け――。華やかな世界でトップを目指す彼女と、ただの一大学生である僕。立場も未来も違うふたりの距離は、時に切なく、時に熱く揺れ動いていった。

 やがて彼女は花組のトップ娘役に就任。ファンからは絶大な支持を集め、まさに伝説と呼ばれる存在となる。しかしその陰で、僕と彼女の“誰も知らない愛”は密かに続いていた。家族だけが知る秘密の交際。夢を追いながらも「いつかあなたと共に生きたい」と囁く彼女の言葉。

 26歳の誕生日、彼女は僕のプロポーズを受け入れる。退団を決意した彼女は、舞台での最後の輝きを放ち、観客に惜しまれながらも華やかに幕を下ろす。そして――退団と同時に、僕と結婚。

 「伝説のタカラジェンヌは、僕と結婚するために舞台を降りた」
 世間には明かされないその真実は、家族とごく一部の人しか知らない。

 ふたりの愛は、拍手喝采の舞台よりも静かで、誰よりも確かな幸福だった。
第一部「出会いと始まり」
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ